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作曲当時のべートーヴェンの心情を色濃くピアノに反映させた稀有なるジャンル。後世の作曲家たちにも大きな影響を及ぼしました。この記事では「ピアノ音楽の新約聖書」とも称されるベートーヴェンのピアノソナタを厳選して紹介します。
ベートーヴェンのピアノソナタを何から聴いていいか迷ったら、ぜひ記事を参考にしながらたっぷり楽しんでくださいね。
ベートーヴェン:ピアノソナタ【おすすめ11選】
ベートーヴェンのピアノソナタは、クラシック音楽全体として見ても重要な意味を持っており、その魅力は多岐にわたります。技術的な高みを目指しながら、ベートーヴェンの人生を織りなした心情が曲中に表現されています。
ベートーヴェンのピアノソナタは、あらゆる要素を兼ね備えた芸術作品として、多くの人々を魅了し続けています。全32曲あるベートーヴェンのピアノソナタの中から11曲を紹介。
ピアノソナタ第8番《悲愴》
初期ピアノソナタの最高傑作といわれており、リリックな第2楽章は多くの編曲があって有名です。ベートーヴェンのピアノソナタの中で副題を付けたのはこの《悲愴》と《告別》のみといわれています。
ピアノソナタ第14番《月光》
ベートーヴェンのピアノの生徒であり、想いを寄せていたジュリエッタに献呈されています。《月光》という副題は、ドイツの詩人であり音楽評論家のルートヴィヒ・レルシュタープが形容した下記の言葉がもとになっています。
「スイスのルツェルン湖の風景の中で、月明かりに照らされながら波に揺らぐ小舟…」。
ピアノソナタ第17番《テンペスト》
「私は今までの作品に満足していない。今後は新しい道を進むつもりだ」といった言葉が残っています。耳の疾患による難聴が悪化して有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれた時期でもありました。
本音に近い感情や葛藤を素直に表現することを目指したロマン派の音楽を彷彿とさせる名曲です。
»詳しくはコチラの記事へ ピアノソナタ第17番《テンペスト》
ピアノソナタ第21番《ワルトシュタイン》
ベートーヴェンがワルトシュタイン伯爵に献呈したことが副題の由来です。ベートーヴェンは失恋や耳の病気のため自殺を考えましたが、ワルトシュタイン伯爵の支援で立ち直ります。
同じころ、ワルトシュタイン伯爵からフランスのピアノ制作会社エラール社のピアノがベートーヴェンに送られ、それが創作意欲を再燃させました。
»詳しくはコチラの記事へ ピアノソナタ第21番《ワルトシュタイン》
ピアノソナタ第23番《熱情》
ロマン・ロランは、ベートーヴェンが耳の病気から精神的に立ち直り、名作を生み出した時期を「傑作の森」と呼びました。
3大ピアノソナタのひとつで、弟子のチェルニーは「強大かつ巨大な計画を完璧に遂行した」と評価。
ピアノソナタ第24番《テレーゼ》
伯爵令嬢テレーゼ・フォン・ブルンスヴィックに献呈されています。テレーゼの妹、ヨゼフィーネは「不滅の恋人」として有力候補です。ベートーヴェンは当時、テレーゼのピアノ教師でした。ちなみに有名な《エリーゼのために》のモデルと考えられている「テレーゼ」とは別人です。
ピアノソナタ第26番《告別》
ベートーヴェンの《別れの曲》ともいえるピアノソナタ第26番。1809年のフランス軍のウィーン包囲で疎開を余儀なくされたルドルフ大公との別れが副題に反映されています。
ルドルフは音楽を愛する大公で、ベートーヴェンを師としていました。ベートーヴェンにとって良き弟子でありパトロンでもありました。
ピアノソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》
「ハンマークラヴィーア」はベートーヴェンの晩年に作曲されました。第3楽章のアダージョだけで通常のピアノソナタ1曲分に相当する長さを持つ深遠な名曲。演奏が難しく、当時のピアニストには技術が追いつきませんでしたが、ベートーヴェンは「50年経てば人も弾く」と語っていました。弟子への手紙で「自己最大の作品」と書き残してもいます。
»詳しくはコチラの記事へ ピアノソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》
ピアノソナタ第30番
後期三大ピアノソナタ第30番〜32番の中では、趣きが違っています。散文的で情緒的な特性が強く全体的に和やかでのんびりした雰囲気です。同時期にミサ・ソレムニス、ディアベリ変奏曲、第九交響曲のスケッチも行っていました。ミサ・ソレムニスを中断してピアノソナタ第30番の作曲に取り組みました。
ピアノソナタ第31番
抒情的な第1楽章が美しく、ベートーヴェン自身が「嘆きの歌」と名づけた第3楽章は悲痛な旋律がフーガ風に歌われて美しい。実質的には、ベートーヴェンが人生最後に完成させたピアノソナタです。
ピアノソナタ第32番
《昇天ソナタ》や《天国ソナタ》とでもいえるピアノソナタで、第2楽章のアリエッタ変奏曲が耽美の極み。晩年のベートーヴェンに特徴的な頻繁に表れる「フーガ」と「苦悩から歓喜へ」のテーマがピアノソナタ第32番にも流れています。
まとめ
ベートーヴェンのピアノソナタの、主だったもを集めてみました。べートーヴェンの作曲当時の心情を反映させた全32曲のピアノソナタは「ピアノ音楽の新約聖書」と呼ばれるほどの影響を後世に与えています。
ベートーヴェンのピアノソナタを楽しむ上で、少しでも参考になったなら幸いです。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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