「父」へのリスペクト
その思いがつむぐ
物語…♫
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「パパ、ハイドン」。
- 交響曲の「父」であり、
- そして、弦楽四重奏曲の「父」…
さらに、忘れてはならないのが、モーツァルトにとっての
- 音楽上の「父」としての、
ハイドン…。
そんなモーツァルトの「父へのリスペクトの思い」が生んだ名曲弦楽四重奏曲集、
今回は、素晴らしい名曲ばかり…♫♫♫
モーツァルトの《ハイドン・セット》!!
解説とおすすめ名盤の紹介です。
- 【解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
- 【各曲ひとこと解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
- 【おすすめ名盤3選】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
- 【まとめ】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
【解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
モーツァルトの言葉
私のもっとも親愛なる友人(ハイドン)よ、これが取りも直さず、私の6人の息子です。(中略)今後私はこの子たちに対する一切の権利を、あなたにお譲りいたします。それゆえ、父の贔屓目(ひいきめ)が見のがしたかも知れない過ちを、大目に見てやって下さり、そんな過ちがありましても、あなたの寛大な友情をこんなに大事に思っている私に対して、その友情をいつまでもつづけてお持ち下さるよう、お願いいたします。
出典:柴田治三郎 著「モーツァルトの手紙」(下巻)P115より引用
以上がモーツァルトが作曲した弦楽四重奏曲6曲、《ハイドン・セット》の楽譜の初版に添えられた一文です。
これに先立ち1785年1月15日と2月12日の2日間、モーツァルトはウィーンの自宅にハイドンを招いて弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》を披露する場を作りました。
そこではモーツァルト自身が好きな楽器であるヴィオラを担当して、弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》を演奏します。
これを聴いたハイドンは痛く感動し、同席したモーツァルトの父レオポルトに対してこんな言葉を伝えています。
「神様にかけて誓いますが、あなたの息子さんは、わたしの知っている誰よりもすぐれた作曲家です」
出典:志鳥栄八郎 著 「新板 不滅の名曲はこのCDで」P242より引用
そして、もともと《ハイドン・セット》作曲の動機は、ハイドンが作曲した6曲の弦楽四重奏曲である《ロシア四重奏曲》に感動したことがキッカケでした。
そして、普段のモーツァルトは作曲スピードが異様に早いのですが、この弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》全6曲を作曲した際には2年という長い歳月をかけています。
もちろん、この2年の間には他の曲も書いていましたが、そうは言ってもモーツァルトにしては珍しく時間がかかっています。
かなり入念に、そして綿密に構想を練りながら腰を据えて作曲したのでしょうか。
普通ですと、あまりにも入念に綿密に考えすぎて作曲すると
- 硬い印象や
- 流れの滞ったイメージ
の曲になりやすいのですが、さすがはモーツァルトといったところでしょうか?
聴いていて、そんな感想が浮かぶことはありません。
ともあれ、そんなモーツァルトの真剣な姿勢を知っただけで、ハイドンに対する尊敬(リスペクト)の思いが伝わってくるのは確かです。
【各曲ひとこと解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
弦楽四重奏曲第14番《春》
《春》と名付けられるだけあって、
- 可愛らしく
- あたたかく
- モーツァルトらしい…
そんな《ハイドン・セット》始まりの曲。
弦楽四重奏曲第15番
移り気な音符、
彷徨(さまよ)う…
弦楽器たちから漏れてくる…
- 嘆き
- ささやき
- ため息…
暗い曲調の中から感じられる深い神秘性…。
弦楽四重奏曲第16番
- 明るさ
- 憂い…
- そして、優しさ♫
色んな要素や感情がひっそりこっそり隠れてる…。
弦楽四重奏曲第17番《狩り》
光が差し込むバルコニー
明るく、澄んだ風を感じよう
モーツァルト《ハイドン・セット》の中でも特に有名で演奏される機会も多い名曲中の名曲。
弦楽四重奏曲第18番
ベートーヴェンもこよなく愛した《弦楽四重奏曲第18番》。
- とこしえ
- こんこん
- あふれる…泉♫
ふと気づくと始まって…
気づくと消え入り終わりゆく…
弦楽四重奏曲第19番
「カオスの大地から咲く花」のような第1楽章
「艶やかな色彩をもつさざなみ」、第2楽章
「さわやかな酸味」を含んだ第3楽章
そして、
第4楽章では「色とりどりの花が咲き乱れていく」
ハイドン・セット最後の弦楽四重奏曲にして最高傑作。
【おすすめ名盤3選】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
アルバン・ベルク四重奏団
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アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターの座にあったギュンター・ピヒラーが中心になって結成された四重奏団ですね。
アンサンブルと、いち音いち音に対する
- 緻密さ
- 繊細さ
- 正確さ
には定評のあるアルバン・ベルク四重奏団。
「水も漏らさぬ…」という言葉がありますが、その完璧さがコップの表面張力で盛り上がった水のよう…。
ほんの少しのブレや揺れが加わっただけで音楽そのものがあふれて出てしまって壊れてしまいそうな感覚です。
とても緊張感がありつつ、音の艶やかさや柔らかさも失わない名盤ですね。
スメタナ四重奏団
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アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
アルバン・ベルク四重奏団が登場するまではスメタナ四重奏団のアンサンブルの素晴らしさが話題になっていました。
1972年に行われた世界初の商用デジタル録音では、スメタナ四重奏団の演奏がレコーディングされました。
実は、このスメタナ四重奏団が選ばれたことには、私の個人的な思い入れもあったのです。
デジタル録音にはデメリットもあります。それは音が良すぎることです。
今までの録音方法より格段にクリアな音で録音できてしまうため、演奏者の技量がはっきりわかってしまうのです。
上記のサイトに詳しいですが、スメタナ四重奏団はひとつの曲を録音するまでに3年の月日をかけていたとのことです。
つまり、
- 1年目に人里離れた別荘で練習
- 2年目はチェコの首都プラハで演奏
- 3年目になると世界中を回るリサイタルでも演奏
そしてようやく4年目にして録音というスタイルの活動をしていたそう。
気の遠くなるような話で深く感動しました。
わたくしアルパカが高校生の頃、モーツァルトの《ハイドン・セット》のCDを初めて買ったのがこのスメタナ四重奏団のアルバムでした。
当時、日本では初めて「消費税が導入」された頃。
CDジャケットには定価が記載されていながら、その上から「消費税込みの価格の書かれたシール」が貼られていたのを覚えています。
日本での消費税導入後、初めて購入した名盤がこのスメタナ四重奏団のCDだったので思い出深いです。
もちろん、それ以上に思い出深いのはスメタナ四重奏団の名盤の演奏の素晴らしさ。
完璧なアンサンブルの中にチェコの演奏家らしい温かみや優しさを感じて大好きになった記憶を鮮明に覚えています。
当時、CDは全体的に値下がりしてきていて手が出しやすくなってはいましたが、税抜きで1枚¥3,300。
《ハイドン・セット》は6曲全て集めるとなると3枚分、つまり¥9,900かかります。
当時アルパカはアルバイトをしてはいましたが大変大きな出費だったという思い出もあります。
まあ、色んな意味で思い出深い名盤ですが、今もって《ハイドン・セット》における名盤の地位は揺るがない素晴らしい演奏ですね。
エステルハージ弦楽四重奏団
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アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
ピリオド(古楽器)を使った演奏の名盤はたくさんありますし、どれもいい意味で古色蒼然とした素朴な味わいがあって素晴らしいです。
その中でもピリオド(古楽器)演奏のはしりとも言えるエステルハージ四重奏団の名盤は無骨な感じもありながら、柔らかさも含まれていて好ましいですね。
もっとピリオド(古楽器)の持つ「枯れた味わいの強い名盤」でしたらクイケン四重奏団やモザイク四重奏団もおすすめです。
【まとめ】モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》
さて、モーツァルト:弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
- 交響曲の「父」
- 弦楽四重奏曲の「父」
そして、モーツァルトにとっての
- 音楽上の「父」
モーツァルトが尊敬してやまなかったハイドン…。
そんな「父へのリスペクトの思い」が生んだ名曲弦楽四重奏曲集《ハイドン・セット》。
美しい旋律とひとつひとつの弦楽器の持つ
- あたたかみ
- 柔らかさ
- 優しさ
がジンワリと伝わってくる、そんな魅力で満載の名曲群です。
ぜひ一度、ゆっくりとした時間を持って6曲を聴いてみてくださいね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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