始まりはカオス…
…からの…花、咲き!
彩られた名曲♫
- 「カオスの大地から咲く花」のような第1楽章
- 「艶やかな色彩をもつさざなみ」、第2楽章
- 「さわやかな酸味」を含んだ第3楽章
そして、
- 第4楽章では「色とりどりの花が咲き乱れていく」
ハイドン・セット最後の弦楽四重奏曲にして最高傑作
さて、今回は、そんなモーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》の解説とおすすめ名盤を紹介です。
- 【解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
- 【各楽章を解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
- 【名盤3選の感想と解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
- 【まとめ】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
【解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》についてのこんな解説があります。
絶えまなく転調し、果てしなく半音階の続く最初の2楽章は、和音でも前例のない大胆さを示し、演奏中どんなに溜息を呼んだろうか?だが、第3楽章《メヌエット・アレグレット》で、少し酸味のあるいわゆるメヌエットのあとにトリオの無類のメロディーが流れはじめたとき、私は(モーツァルトの父)レオポルトが涙を禁じ得なかったろうと確信する。
出典:アンリ・ゲオン 著「モーツァルトとの散歩」p224より引用
ハイドンを招いて開催された弦楽四重奏曲6曲の演奏会、これに対しハイドンは最大の賛辞をモーツァルトの父レオポルトに対して贈っています。
このことから、解説にありますように同席したモーツァルトの父レオポルトも深い感銘を受けたことが想像できますよね。
【各楽章を解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
それでは、各楽章について解説します。
モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。
第1楽章 アダージョ(ゆっくりと):アレグロ(速く)
始まりの「カオス」の何ともいえない
- 肌寒さ
- 恐ろしさ
- 不安感…
なのに、そのカオスを抜けた途端に現れる、
降りそそぐ光の世界のまぶしさ、美しさが、ひときわ美しい…♫
たしかにモーツァルトには、こんな明るい光は存在したし、それを引き出すべく
- 苦しみ
- うめき…
そして、それゆえにこの世に存在する
- 「音楽」に、歓喜した
そんなモーツァルトの感興が伝わってくるようです。
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ(歩くような速さで歌うように)
続く第2楽章は第1楽章とは打って変わっての「静かな喜びと思いやりに満ちたひととき」。
時に優しく、またある時にはさみしさの表情をのぞかせます。
そして、そんなかすかな表情の変化の中に、モーツァルト特有のキラメクような旋律をのせて展開します。
第3楽章 メヌエット(踊るように)
ノリが良くって明るくて…そしてワクワク楽しく舞い踊るような楽章です。
途中、なんとも憂いを秘めたような悲しい旋律を持った展開を見せますが、再び間もなく明るく転調。
陽気で明るい曲調へと戻って歌います。
第4楽章 アレグロ(速く)
モーツァルトの感性がまぶしい楽章!
光を集めて飛び散る水滴たちの、嬉しそうに笑うさまがありありと見えるよう!!
- シャキッと新鮮!
- みずみずしい!!
- まるで弾ける花火のごとく!!!
モーツァルトの名作四重奏曲群、ハイドン・セットの最後にして最高傑作《不協和音》は、そんなキラキラとした光をはなちつつフィナーレを迎えるのです。
【名盤3選の感想と解説】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
アルバン・ベルク弦楽四重奏団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
アンサンブルの精緻さに舌を巻きます。
そして、そんな演奏が《不協和音》の始まりのカオス、つまり、
- 肌寒さ
- 恐ろしさ
- 不安感…
をこの上なく表現していますし、その後のスカッと明るい展開の嬉しさ楽しさを、よりコントラスト強く表していて、素晴らしい名盤です。
第2楽章の静けさも美しく整っています。
そして、そこからさらなる展開を見せる第3楽章から第4楽章へ向けての飛翔感も心地よい名盤でもありますね。
モザイク弦楽四重奏団
アルパカのおすすめ度★★★☆☆
【名盤の解説】
ピリオド楽器を使用した素朴な響きと、その中にあるホッとする温かみの感じられる名盤です。
現代的に磨き抜かれた美感で聴くモーツァルトも素晴らしいものですが、こんな古風な響きを聴いても安心感を覚えます。
彩りの鮮やかな演奏で、めくるめく体験をしたあとに少し彩度をおとした落ち着いた雰囲気で聴くモーツァルトも違った意味で格別ですね。
イタリア弦楽四重奏団
アルパカのおすすめ度★★★☆☆
【名盤の解説】
アルバン・ベルク四重奏団と同じく明るい名盤ですが、ひと味違う。
それはどことなくほっこりとした楽天的な雰囲気のあるところの名盤であるということ。
「弾む」感じも楽しいですが、この軽いイメージを好まない方もいらっしゃるかも…。
ただやっぱりモーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》のイイところはやっぱり底ぬけな明るさ。
イタリア弦楽四重奏団の品のある演奏も魅力となっていますので、聴いてみたい名盤のひとつというところですね。
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【まとめ】モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》
さて、モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番《不協和音》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
- 第1楽章の「カオスから咲く花」のような展開
- 第2楽章から見える「艶やかな色彩をもつさざなみ」
- 第3楽章で味わう「さわやかな酸味」
そして、
- 「色とりどりの花が咲き乱れていく」第4楽章
様々な表情を見せて彩り豊かなハイドン・セット最後の弦楽四重奏曲にして最高傑作、オススメですよ。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。