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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲【全16曲まとめ】

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弦のみ、静か

深まる葛藤

流浪する心…

ベートーヴェンにとって弦楽四重奏曲は、弦のみのシンプルな編成ながら力強さと抒情性をあわせ持っているといった特徴があります。迫力と躍動感の交響曲と、形式の改革といった印象の強いピアノソナタも代表的なジャンルです。

弦楽四重奏曲はハイドンやモーツァルトが築いたカタチを土台にしながらも誰にも及ばない心境にまで到達してしまった感があります。

この記事では、過去書いたベートーヴェンの弦楽四重奏曲の記事をまとめながら振り返ります。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 全16曲

第1番〜6番(初期弦楽四重奏曲)

 

弦楽四重奏曲第1番

第7番から第9番のいわゆるラズモフスキー四重奏曲からベートーヴェンの個性が全面に表れてきますが、その基礎となった6曲です。部分的には斬新さが感じられますが、全体としてはハイドンやモーツァルトが書いた弦楽四重奏曲のような心地良さがあります。

 

第7番〜11番(中期弦楽四重奏曲)

弦楽四重奏曲第7番(ラズモフスキー第1番)

第7番(ラズモフスキー第1番)

音楽好きのロシア貴族、ラズモフスキー伯爵は自分でお抱えの四重奏団を持っていました。ベートーヴェンに四重奏曲の作曲を依頼し完成したのが、別名「ラズモフスキー」と称される弦楽四重奏曲第7番〜9番です。

第6番の作曲から6年の歳月を経ていまいしたが、この第7番から革新性のようなものが発露してきます。明朗な曲調から、まるで「青春四重奏曲」とよんでも過言ではないくらいの明るい曲です。

 

第8番(ラズモフスキー第2番)

ラズモフスキーの3曲の中では唯一の短調の曲で暗い情感のこもった重厚な1曲です。いわば「情感四重奏曲」ともいえるもので深みのある1曲になっています。

 

第9番(ラズモフスキー第3番)

ラズモフスキーのラストの3曲目は、明るいハッピーエンドといったところ「華やか四重奏曲」といった印象ですが第2楽章で短調の曲が挟まれているため、ただ楽天的なだけではない奥深さがあります。

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第10番《ハープ》

《ラズモフスキー弦楽四重奏曲》から3年後、第10番《ハープ》が作曲されますが、喜ばしい感情と自由な発想が聴き取れます。ラズモフスキーから第10番が生まれるさまは蛹(さなぎ)から羽化する蝶のような飛翔のようです。親しみやすいメロディが基調になっていて聴きやすい1曲に仕上がっています。

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第11番《セリオーソ》

「セリオーソ」というイタリア語は「厳粛な」とか「真剣な」 といった意味になります。短い曲でありながら「深遠さ」や「哲学性」が深く、メロディも美しいです。

いきなりユニゾン(全楽器が同じ旋律で奏でる)で劇的に始まるあたりは有名な「運命交響曲」を思わせます。

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第12番〜16番(後期弦楽四重奏曲)

大フーガ 変ロ長調

第12番(ガリツィン・セット)

第11番を作曲から14年間は弦楽四重奏曲が書かれませんでしたが、第12番からは哲学性の深みがさらに増していきます。しかし、第12番は、前期から中期にかけての軽快さがまだ残っていて後期弦楽四重奏曲の中でも聴きやすい1曲です。

ちなみに弦楽四重奏曲第12番は、第13番、第15番と合わせてロシア貴族であるニコライ・ガリツィンからの依頼で作曲されました。全3曲は依頼主の名前からとって「ガリツィン・セット」と呼ぶこともあります。

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第13番|大フーガ(ガリツィン・セット)

全6楽章で構成されていてもともとの最終楽章は巨大なフーガで締めくくるというものでした。演奏後、最終楽章を差し替えて欲しいとの周囲の意見に対して気難しいベートーヴェンにしては珍しく要求を受け入れています。新たに作曲して差し替えたところをみるとベートーヴェンもフーガの難解さを理解していたのでしょう

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第14番

「このあと、私たちに何が書けるというのだ…?」とは、曲に対するシューベルトの言葉です。全7楽章あり演奏に40分近くかかるというのに楽章の切れ目がなく演奏される第14番。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中でも「最高傑作」と言われることが多く劇的であり斬新でもあります。

「言葉にならない…人間の芸術と創造で成し遂げられる極限にまできている…」という言葉を残したのはシューマンでした。

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第15番(ガリツィン・セット)

想像すら難しいベートーヴェンの病の苦しみから発された名曲で、これほど生の心情が表れた曲も珍しいです。日常の出来事にも翻弄されながら、右に揺れ左にと揺れる感情の動きと不安を歌っているようでもあります。

病に苦しめられながらも作曲は続け、病の苦しみが癒えた際の心情をも音楽にするベートーヴェンの音楽への情熱が伝わってきます

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第16番

「やっとついた決心…」「そうでなければならないのか…」「そうでなければならない…」。

ナゾの言葉を譜面に書きとめるベートーヴェン。後期弦楽四重奏曲群で、音楽的な深みと重厚感を増していきました。しかし、最後の第16番に至って4楽章の形式に戻り曲調も牧歌的で穏やかなものに回帰しています。

ベートーヴェンが生涯に渡って音楽に込めてきた様々な思いや強いこだわりから開放された際の心の表れだったのかもしれません。

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まとめ

交響曲、ピアノソナタとともに重要といわれるベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全16曲をまとめてみました。後世の作曲家がいくら頑張ったところで誰にも及ばない心境にまで高めてしまった感のあるベートーヴェンの弦楽四重奏曲です。

ぜひ各曲の記事も訪れてみてくださいね。

 

そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

弦楽四重奏曲全16曲の各記事一覧

(各記事内で名盤を解説紹介しています。)

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