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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番【解説と名盤3選】深みへの転換前、四重奏曲の名曲♫

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後期へのはじまり

長い沈黙から放つ

朗らかな歌♫

「後期弦楽四重奏曲」(12〜16番)の始まりであり、本格的に深まりを増していく前の聴きやすい名曲。

今回は、ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番

1809〜10年の《ハープ》と《セリオーソ》でその様式に大きな転換のきざしが現われたベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、しかしそれから実に10年あまりもの間、ただの1曲も書かれることがなかった。(中略)50代の半ばに達したベートーヴェンが、いっそう自由な形式の中に熟しきった音楽的想念と四重奏書法とを思うままに展開したこれら5曲(12〜16番)は、その著しく独創的な表現と、音楽が語り出す精神の底知れぬ深さによって、音楽史上に強い光彩を放ちつつそびえ立っているのである。

出典:大木正興・大木正純 共著 「室内楽名曲名盤100」P74より引用

ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲(12〜16番)は、番号を重ねるごとに深みを増していきます。しかし、第12番は、前期から中期にかけての軽快さがまだ残っていて後期弦楽四重奏曲の中でも聴きやすい1曲といえます。

解説にありますが、大きな様式の変化を遂げた中期の弦楽四重奏曲が作曲されてから10年あまりの間(14年間)、弦楽四重奏曲は作曲していません。

第11番《セリオーソ》が中期の最後の曲ですが、後期のはじまりである第12番の作曲に着手したのは1824年。14年もの間、ベートーヴェンは弦楽四重奏曲を作曲することはなかったわけです。同じ時期に作曲されたのは、後期3大ピアノソナタ(30番〜32番)や有名な交響曲第9番

成熟の極みにあった名曲群が矢継ぎ早に生み出された勢いが、そのまま後期弦楽四重奏曲が作曲されることにつながったように感じます。

弦楽四重奏曲第12番は、第13番、第15番と合わせてロシア貴族であるニコライ・ガリツィンからの依頼で作曲しました。全3曲は依頼主の名前からとって「ガリツィン・セット」と呼ぶこともあります。

初演は1825年3月6日に行われましたが、奏者の準備が行き届かずに不評を買います。しかし3月23日に再び行われた演奏会では好評でした。

初演:1825年3月6日
編成:ヴァイオリン×2、ヴィオラ×1、チェロ×1

 

【各楽章を解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番

第1楽章 マエストーソ|アレグロ (荘厳に、速く)

弦を重厚に響かせながら始まりますが、間もなく曲調が変わり明るく元気な印象で進んでいきます。深刻な表情を見せますが一瞬のこと。全体的に朗らかに歌う楽章でベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の中でも聴きやすい1曲です。

 

第2楽章 アダージョ・マ・ノン・トロッポ・エ・モルトカンタービレ (ゆっくりと、しかし過度にはせずに歌うように)

変奏曲形式の楽章になります。ゆったりと歌う主題を基本にしながら弾んだり、静かに歌ったりしながら変幻自在に曲調を変化させていきます。全体としては瞑想的に平和的に歌う楽章になります。

 

第3楽章 スケルツァンド・ヴィヴァーチェ|プレスト(軽快で快活に、急速に)

軽やかで、弾むように楽しい楽章です。力強く推進力があり、どこまでも積極的さがあり、屈するすること無く展開していく音楽に爽快感すら感じさせます。

 

第4楽章 ファイナル (終曲)

終始、陽気な雰囲気の終楽章で、弦楽四重奏曲第12番で貫かれた朗らかさや力強さがそのまま終楽章にまで連なった印象です。抜けるような透明感と踊るように楽しく舞っている弦の歌が存分に堪能できる最終楽章です。

 

【名盤3選の感想と解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番

 

ジュリアード弦楽四重奏団

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

メリハリを利かせた演奏が弦楽四重奏曲第12番には合っています。朗らかで勢いのある名盤です。静かな第2楽章の静けさも好ましい雰囲気なので、全体的にバランスがいい印象です。

精緻なアンサンブルから流れてくる歌も楽天的に響きますので聴いていて楽しい気持ちにさせてくれる名盤です。

 

バリリ弦楽四重奏団

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

良い香りの漂う名盤で、惹かれるものがあります。戦後間もないころにウィーン・フィルのメンバーを集めて結成された四重奏団でした。朗らかな第12番を当時、多くの人に受け入れられていた音が聴けるのは貴重です。

ウィーンの良い香りの名盤ですが、決して甘美に流れすぎることはなく堅固なアンサンブルから流れ出てくる美感が漂ってきます。古い録音の割にはクリアに聴こえますのでおすすめの名盤でもあります。

 

ブダペスト弦楽四重奏団

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

打ち出されてくる圧倒的ストイックな音の魅力に惹かれる名盤です。緊張感を伴いながらも堅苦しい印象がないのは、透き通った響きの中から生まれる純粋性からかもしれません。

ジュリアード弦楽四重奏曲のような朗らかさには遠いかもしれません。断片的には無機質な印象の音でもありますが、流れてくる音にただ惚れ惚れする音芸術と感じます。

 

【まとめ】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

後期へのはじまり

長い沈黙から放つ

朗らかな歌♫

深い思索を行うような哲学性を帯びていくベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲(12〜16番)の始まりの第12番。旋律は聴きやすく全体的に音楽の変化も多く楽しめる1曲です。

ジッと耳を澄ませばベートーヴェンの思いが「音という形」をとって伝わってきます。ぜひ、聴いてみてくださいね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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