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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番【解説と名盤3選】原点回帰!牧歌的四重奏曲

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伝統に還り

温かく歌う

やさしさ四重奏

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番

自由に発想して新しいカタチを創ってきたベートーヴェンの弦楽四重奏曲。残された時間の少ない中、オーソドックスな美しさへと回帰した名曲…。

今回は、ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番

作曲者55歳の1826年10月に完成されたこのヘ長調作品135(中略)この時期ベートーヴェンは、自殺未遂事件を起こした甥カールをめぐる深い心労を抱え、さらに彼自身の健康の著しい衰えも重なって、むろんまだ希望は失わないが、ある種の覚悟も抱き始めないわけにはゆかない。(中略)作品131までの道のりであれほどにこのジャンルを思うまま自由に扱ってきた彼が、この曲にきて形を再び整理して4楽章の、それもきわめて簡潔な構成のものにしたのはなぜだったのだろう

出典:大木正興・大木正純 共著 「室内楽名曲名盤100」P82より引用

やっとついた決心…

そうでなければならないのか…

そうでなければならない…

終楽章の始めあたりに書かれたベートーヴェンの禅問答のような言葉ですが、現在になっても何について書かれたのかが不明です。深遠なベートーヴェンの哲学的な問いかけだとするものがあれば家政婦との給金についてのやり取りだとのユニークな見方まであります。

後期弦楽四重奏曲の始まりの第12番から15番まで、音楽的な深みと重厚感を増しながら楽章が増えていきました。しかし、最後の第16番に至って4楽章の形に戻り曲調も牧歌的で穏やかなものに回帰しています。

解説にありますが、作曲の時期にベートーヴェンの甥のカールの自殺未遂事件や自身の健康の悪化から不安な出来事が絶えない頃でした。作曲する曲自体がベートーヴェンの精神状態と離れたものであることは、苦難な状況を静かに受け入れたという可能性も考えられます

「やっとついた決心…」

「そうでなければならないのか…」

「そうでなければならない…」

ベートーヴェンが生涯に渡って音楽に込めてきた様々な思いや強いこだわりから開放された際の心の表れだったのかもしれません。弦楽四重奏曲第16番を作曲の5ヶ月後、ベートーヴェンは肉体の束縛から解き放たれ自由な世界へと居を移しています。

初演:1828年3月28日にて
シュパウンツィヒ四重奏団

 

【各楽章を解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番

第1楽章 アレグレット

始まりは深刻で、このまま暗い印象で展開するのかと思いきや、おっとりとして温かい雰囲気に変わります。後期弦楽四重奏曲が重厚なテーマを抱えており、どこか近寄りがたさすらあったものが急にイメージが変わります。

小川のように歌が流れる様子は、モーツァルトのような優しさを含んでいます。晩年のつらい状況の中から歌われた、いい意味での肩の力が抜けている楽章です。

 

第2楽章 ヴィヴァーチェ

軽やかで心地良い楽章であり、活気に満ちあふれながら自由にリズムに変化を与えて弾むような楽章です。次の第3楽章での静けさをいっそう強調させることにも大きな効果を持っています。

 

第3楽章 レント・アッサイ|カンターテ・エ・トランキーロ (きわめて遅く|歌うように、落ち着いて)

静かな時間の中で心の内を見つめながら回顧するような印象で、優しさと慈愛に満ちた緩徐楽章になります。晩年を迎えたベートーヴェンが希望を失いながらも眼の前に起こる出来事をそっと見つめている姿が浮かびます。こだわることなく現実を見つめ明らかにしていく心境のようなものなのでしょうか。

 

第4楽章 ”Der schwer gefaßte Entschluß"グラーヴェ|アレグロ|グラーヴェ・マ・ノン・トロッポ|アレグロ (”ようやくついた決心”)

弾けて高らかに鳴る弦が、ベートーヴェンの紡ぐ美しい旋律を奏でます。まるで春の訪れを素直に喜ぶ子どもの姿を想像します。朗らかな調子で歌い込められながら「やっとついた決心…」から湧いてくる明るい気持ちのようにも聴こえます

最後の弦楽四重奏曲である第16番は底抜けに楽しくワクワクするように終わっていくのです。

 

【名盤3選の感想と解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番

 

アマデウス弦楽四重奏団

アマデウス弦楽四重奏団:ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

モーツァルトの弦楽四重奏曲の全集も録音を残していますが、アマデウス弦楽四重奏団の歌にあふれた音楽性が曲にピッタリです。ウィーン風の格調の高さと肩ひじの張らない柔らかさに味があり弦がよく歌います。

戦後まもなくして結成された弦楽四重奏団なので演奏傾向が古く感じるかもしれません。しかし、明るく軽快であり品の良さもある歴史に残る名盤といえます。

 

スメタナ弦楽四重奏団

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

しなやかであり主張しすぎることがないのに、自然体なベートーヴェンを歌いこめた名盤です。抑え気味の感情表現からでも漂ってくる香りの高さはスメタナ弦楽四重奏団の特徴です。

技巧がありながら、冷たい印象に陥らないバランスの良さがありとても温かい印象の音です。演奏の際には暗譜が基本であり、その集中力の高さから紡がれる弦たちの歌は自然体そのものの美しさ。じっくり堪能したい名盤です。

 

ブッシュ弦楽四重奏団

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

過去から評価の高い名盤でそれは現在でも変わることがありません。戦前から活躍した弦楽四重奏団で、弦を歌わせれば慈しみをともなった温かさを持ちます。郷愁を感じさせるような滑らかさのある弾き方ですが味わい深いものも感じられます。

録音の古さは致し方ありませんが、ゆっくりとした時間の中で耳を澄ませたい名盤であることに変わりはありません。

 

【まとめ】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

伝統に還り

温かく歌う

やさしさ四重奏

自由に発想して新しいカタチを創ってきたベートーヴェンの弦楽四重奏曲ですが、最後の曲で原点回帰しました。ハイドンのように格調高く、モーツァルトのように歌いながらもベートーヴェンのオリジナルな旋律に満ちた名曲

ぜひ、一度聴いてみてくださいね。

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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