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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》【解説と名盤3選】珠玉の旋律と奥深い魅力!

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》

 

緊張感の中に構造美が息づく《ラズモフスキー弦楽四重奏曲》の後に解き放たれる喜ばしい感情と自由な発想。今回は、ベートーヴェン作曲の弦楽四重奏曲第10番《ハープ》解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》

3曲の《ラズモフスキー弦楽四重奏曲》のあと、ベートーヴェンは3年間ばかりこのジャンルから遠ざかった。(中略)《ラズモフスキー》たちとの相違はきわめて明確で、あのような巨大な構築性の代わりにすっきりとしたまとまりが、また恐るべき緊張の代わりに優しい叙情が、 そして熱風の渦巻の代わりに流暢な流動性が目立つようになる。透明感も強い。

出典:大木正興・大木正純 共著 「室内楽名曲名盤100」P70より引用

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲でラズモフスキーの3曲(弦楽四重奏曲第7番〜9番)において、いきなり充実度が上がります。解説にありますが、ラズモフスキーを作曲後の3年間は新作が生まれませんでした。しかし第10番《ハープ》における曲調の飛躍的な変化は目覚ましいものがあって興味深いものがあります。

弦楽四重奏曲第1番〜6番という卵が産まれて、孵化(ふか)したらラズモフスキーの第7番から9番という名曲郡が生まれました。3年の月日を経て姿を現した第10番は蛹(さなぎ)から羽化する蝶のような飛翔を見せながら、美しくたおやかに空を舞ってゆく感覚です。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は難解と言われることが多いです。特に、後期弦楽四重奏曲(第12番以降)において哲学性が深まります。しかし、第10番《ハープ》では親しみやすいメロディが基調になっていて聴きやすい1曲に仕上がっています。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の分類…

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲が全16曲あります。このうち第1番〜6番までが前期、第7番〜11番までが中期、第12番〜16番までを後期という分類がされています。中期の第7番から目を見張るような成熟したものが感じられ始め、後期の第12番あたりから洗練された深みのようなものが表れていきます。

 

 

【各楽章を解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》

第1楽章 ポコ・アダージョ:アレグロ

第1楽章の随所で表れるピチカート奏法は弦楽四重奏曲第10番が「ハープ」の愛称で呼ばれるゆえんになりました。

リズミカルでエネルギッシュな楽章ですが「野性的」というわけではなく、旋律は大いに歌い、輪になって可愛らしく踊るような印象です。全曲を通して楽しさに満ち溢れた明るい楽章です。

 

第2楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ

美しい織物の、たて糸とよこ糸がていねいにつむがれていく音たちが深く沈潜していく瞑想のような世界です。物思いにふけりながら淡いブルーに覆われていく心のやわらかい情緒の部分をさわってくるような肌触り…。

声のない声を聞くかのように繊細な弦のかすれる音はどこまでも神秘的で、どこまでも優しい…。能動的な弦楽四重奏曲第10番の中にあって静かな魅力のある楽章です。

 

第3楽章 プレスト:ピウ・プレスト・クワジ・プレスティッシモ

静けさの後に訪れる吹き荒れる嵐は容赦なく襲います。アグレッシブに震え、吠える弦たちの歌はどこまでも伸びてゆき、限りない…。《運命交響曲》の同じく第3楽章を思わせるような熱情に通じる積極性は牧歌的な弦楽四重奏曲第10番を一気に引き締めます。あらゆる表情をまとう名曲の個性がもっとも表れた楽章といえるかもしれません。

 

第4楽章 アレグロ・コン・ヴァリアツィオーネ

弦たちが変奏曲形式で高らかに歌う最終楽章です。主題と6つの変奏を経てコーダに至る形。今までの楽しさをそのままに、美しい旋律を描きながら、絡み合う変奏が微妙な彩りの変化を伴いながら遊ぶさまが心地いい最終楽章です。

 

【名盤3選の感想と解説】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》

 

エマーソン弦楽四重奏団

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

弦楽四重奏曲第10番《ハープ》の美感に寄り添った柔らかい印象の名盤です。磨き抜かれたアンサンブルが決して硬質なものにならずに弦を伸びやかに歌わせています

第2楽章の物思いにふけるような透明感、ひるがえって第3楽章では嵐のような力強い弦の震え。最終楽章での変奏曲も変化の富む楽しいものに仕上がっています。全体としてコントラストが強めなところは好みの分かれるところですが面白く聴ける名盤です。

 

アマデウス弦楽四重奏団

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

楽しいエマーソン弦楽四重奏団の演奏に、ほんの少しの厳格さを増した演奏といったところの名盤です。全体のバランス感覚も優れており、さすがは長く名の残る四重奏団です。ウィーンらしい上品な響きが存分に楽しめる名盤で聴くたびに細かい音のニュアンスの美しさに惚れ惚れします。

アマデウス弦楽四重奏団が行った、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲録音を通して聴いても飽きのこない音芸術。名盤の名にふさわしいアルバムです。

 

アルバンベルク弦楽四重奏団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

精緻で完璧なアンサンブルは、さすがアルバンベルク四重奏団といった感想の名盤です。弦楽四重奏曲第10番では、そっと柔らかく歌う楽しさがあった方が合いますが少し硬い印象を感じます。

全体としてはスッキリとしたキレがありながら、決してタンパクにはならない音の華やかさと厚みがあります。技巧の高みと重厚感を取るならアルバンベルク四重奏団がおすすめです。

 

【まとめ】ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番《ハープ》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

降りる光!

弾むピチカート!

さわやか四重奏曲♫

 

本来の旋律作家としてのベートーヴェンの力量がいかんなく発揮された名曲といえそうな、とても聴きやすい弦楽四重奏曲。初めてベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴く際の入口としてもおすすめです。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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