アルパカと聴く幸福なクラシック

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲【解説と名盤5選】不滅の魅力の頂点協奏曲!

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壮大と情熱!

繊細と気品!

ロマンティック協奏曲♫

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あらゆる要素を含んで深遠な魅力が、はしばしにキラメク不滅の協奏曲!

今回は、数あるヴァイオリン協奏曲の中でもキング(王)と呼ばれるベートーヴェンヴァイオリン協奏曲解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ヨゼフィーネ・フォン・ダイム伯爵未亡人との恋愛のなごりがあり、この曲も明るくのどかである。ベートーヴェンは、1803年作のヴァイオリン・ソナタ「クロイツェル」の楽譜を1805年に出版するとき「ほとんど協奏曲のようにきわめて協奏曲風なスタイルで書かれたヴァイオリン助奏をもつピアのためのソナタ」と記した。このときからすでにヴァイオリン協奏曲の野心があったといえよう

出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」P40より引用

「もっと大きな声で話してくださいなどと言えようか…。」

「となりの人には、笛の音が聴こえるのに私には聴こえない…。」

「となりの人には、羊飼いの歌声が聴こえるのに私には聴こえない…。」

 

こんな出来事に絶望し、あと一歩で命を絶つところだった…。

31歳のベートーヴェンが聴力が失われていく中で、ハイリゲンシュタットの遺書は書かれますが命を断つことは思いとどまります。本来、社交的で情に厚くユーモア精神もあるベートーヴェンが、あえて人との距離を取らざるを得ずに苦しむ心情が伝わってきます

ベートーヴェンの「傑作の森」と呼ばれる名曲群が生み出される10年間は、このハイリゲンシュタットの遺書の後からといわれています。交響曲第3番を皮切りにはじまる「傑作の森」の中には、もちろんヴァイオリン協奏曲も入っています

当時ヴァイオリニストとして名を馳せていたフランツ・クレメント。ベートーヴェン自身はヴァイオリンという楽器に精通していたわけではなくフランツ・クレメントの助言を得ながら作曲を進めました。初演はもちろんフランツ・クレメントが行ないますが柔和で優雅な表情づけが得意なヴァイオリニストだったとのことです。

素晴らしい演奏であったことが想像できますが、評価はさんざんなものでした。「長すぎる…」「一貫性がなく支離滅裂である…」「品性に欠ける…」などと批判されました。斬新で新しい試みに満ちているベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、当時の批評家には受け入れることが困難だったのかもしれません。

ベートーヴェンにとっては自ら死を選ぶ寸前まで思いつめながらとどまり本当の意味で「人生が音楽とともにあることの喜び」を噛み締めていた時期です。「傑作の森」の中でも、特に印象深い1曲で「優しさと思いやりに満ちた不滅の名曲」といっても過言ではないでしょう。

ヴァイオリン協奏曲の中でもメンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキーと並び「4大ヴァイオリン協奏曲」の1曲ともいわれます。特にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は「4大ヴァイオリン協奏曲」の中でもキング(王)と評されるほどです。

ピアノ協奏曲に編曲も…

作曲家でありピアニスト、編集者でもあったムツィオ・クレメンティはヴァイオリン協奏曲をピアノ協奏曲に編曲するように依頼します。ベートーヴェンはヴァイオリン協奏曲にはカデンツァを書きませんでしたが、あらためて編曲したピアノ協奏曲には書きました。現在、ヴァイオリン協奏曲のアルバムの中で、ピアノ協奏曲用に書かれたカデンツァをあらためて編曲したものを採用しているものもあります

ヴァイオリン協奏曲の献呈先は、友人のシュテファン・フォン・ブロイニングでした。編曲されたピアノ協奏曲の方はブロイニングの妻でピアニストのユーリエに献呈されています。

 

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初演:1806年12月23日アン・デア・ウィーン劇場にて

ヴァイオリン独奏:フランツ・ヨーゼフ・クレメント

編成:

ヴァイオリン独奏

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×2、トランペット×2、ティンパニ

 

【各楽章を解説】ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ

トントントントントン…ティンパニの弱音連打が合図をするとオーボエによる柔らかい歌が始まります。そこに弦が溶け合ったかと思うと全奏があらわれますが、その後はゆるやかで穏やかな光に包まれるような暖かい第1楽章は流れます

第1主題と第2主題が曲を織りなしながら、まっすぐに展開したかと思うと曲がりくねり、弱奏と強奏をはさみながら幸福感そのもののような第1楽章は終わっていきます。

 

第2楽章 ラルゲット

変奏曲の形式で淡々と歌われていく美しい楽章になります。第1変奏で歌うのはホルンとクラリネット。第2変奏ではファゴットが引きつぎますが、第3変奏にはいると管弦楽とともに独奏ヴァイオリンが新たに歌をクリエイトしていきます。

 

第3楽章 ロンド アレグロ

ワクワクするようなリズミカルなロンドです。弾ける水が太陽の光を跳ね返して飛び散ってキラメキを放つように展開します。ロンド主題を独奏ヴァイオリンが歌いながら、反応するようにオーケストラが応え、全楽器が喜びを謳歌するかのような輝かしい最終楽章です。

 

【名盤5選の感想と解説】ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ヘンリック・シェリング:ヴァイオリン ハンス・シュミット=イッセルシュテット:指揮 ロンドン交響楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

緊張感の中にも、折り目正しく気品の漂うシェリングのヴァイオリン。香りのある格調の高い演奏を展開するイッセルシュテットの指揮とがマッチした深い幸福感の感じられる名盤です。

とても丁寧さの感じられる演奏ですが、堅苦しさは皆無。ヴァイオリンは自由に歌い、管弦楽は喜びに満ちています。厳しく精神を律しながら、いかめしさが感じられない素晴らしく均衡の取れた名盤です。

真面目すぎる向きはあるかもしれませんが、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の演奏の中ではスタンダードな名盤のひとつです。

 

シュナイダー・ハン:ヴァイオリン オイゲン・ヨッフム:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

第1楽章から、テンポを少し速めにしてスッキリとした中にふっくらと柔らかい香りの高さのある名盤です。第2楽章のヴァイオリンの伸びの良さ、第3楽章の盛り上がりも華やかさ失われません。ヨッフムの指揮のもとベルリン・フィルも重厚さを保ちながらもキレの良い音運びです。

カデンツァはベートーヴェンがピアノ協奏曲(61a)用に編曲した際のカデンツァをあらためて編曲したものを採用していて興味深いです。

 

ユーディ・メニューイン:ヴァイオリン オットー・クレンペラー:指揮 ニューフィルハーモニア管弦楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

華麗なメニューインのヴァイオリンを、骨太でスケールの大きい演奏で後を追うクレンペラー。…いや、ときには前のめり気味にドラマティックに音楽全体を圧倒してきます。

丁々発止(ちょうちょうはっし)の力勝負になりそうなのに異次元の調和原理が働き、天空より音楽が降り注いでくる感覚です。録音は決して良いとはいえないのに迫りくる圧(アツ)の中から生み出され、繰り出されてくる「美」に、ただただ打ちのめされる名盤です。

本来の牧歌的で優しいヴァイオリン協奏曲とはいえないかもしれませんがこれほど堂々たる名盤は珍しいといえます。

 

アンネ・ゾフィ・ムター:ヴァイオリン ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ムター16歳…。

音楽に円熟味を増す最近の活躍も素晴らしいですが、10代のころのムターのヴァイオリンの音からは別の次元からの何かが聴こえる感覚です。伸びの良い音の中に究極にまで純粋化された透明度の高い美の世界がのぞけます。

ベルリン・フィルを指揮して劇的で重厚なサポートを見せるカラヤンの音と調和しながら歪むことなく突き抜けていくヴァイオリン。そこから聴こえてくるベートーヴェンの音楽世界の広大さ。一聴の価値があります。

 

チョン・キョンファ:ヴァイオリン クラウス・テンシュテット:指揮 コンセルトヘボウ管弦楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

フレッシュな魅力と円熟さの過渡期にあったキョンファの奏でる印象深いベートーヴェンをテンシュテットがサポートします。楽団はコンセルトヘボウを採用して豊かな感性の発露するキョンファの美感にピッタリ。

キョンファ自身がテンシュテットの音をリスペクトするあまりレーベルを移籍したほど。とても鮮やかで活き活きと鳴る素晴らしいヴァイオリンと指揮者、楽団のコラボが聴ける名盤です。

Apple Music

Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中

 

【まとめ】ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

壮大と情熱!

繊細と気品!

ロマンティック協奏曲♫

ヴァイオリン協奏曲は、音楽とともにあることの喜びを噛み締めながら傑作が生まれ続けた「傑作の森」といわれる期間に作曲されました。「ヴァイオリン協奏曲のキング(王)」といわれるだけに素晴らしい演奏の録音も数多いですので、ぜひ聴いてみてくださいね。

 

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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