スペイン的な情熱系の1曲!
その風と空気を感じたい時に聴きたい♫
ラロ: ヴァイオリン協奏曲第2番「スペイン交響曲」:第1楽章
【楽曲を解説】ラロ:スペイン交響曲
なんともスペイン的で、エキゾチックな、魅力や香りを放ちまくってる名曲!
ラロ:スペイン交響曲の紹介と解説です!!
スペイン風、情熱的解説
情熱的なスペイン情緒についてのエピソードを含む、こんな解説があります。
作品に異国情緒をもりこむという傾向は、ラロの活躍していた19世紀には特に強く、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」のような作品が数多くつくられている。(中略)
この曲は、交響曲となってはいるが、実際には、彼の2番目のヴァイオリン協奏曲である。(中略)この曲のいちばんの魅力は、全編に流れる濃厚なスペイン的色彩で、第1楽章冒頭の、独奏ヴァイオリンによる、華やかで情熱的な旋律を聴いた瞬間から、きっと、そのスペイン情緒のとりことなってしまうであろう。
出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P203より引用
まさしくこの「スペイン情緒」は、とてもクセになるもので、クラシック音楽の中でもこの「スペイン風」の名曲は、とても多いです。
とくにスペインは、ヨーロッパ文化とイスラム文化が交流した独自の情緒と雰囲気をかもし出していて味わい深いですね。
そんな中でも、ラロは、おじいさんにあたる人がスペイン人でした。
このため、ラロの血や体臭には、やっぱり「スペイン的」なものが含まれていたのだと思われます。
とてもエキゾチックなスペイン情緒満載の名曲 誕生の裏側にはそんな事情も、あると思われます。
運命的な結婚、あげまん妻のエピソード
ただ、ラロ自身は、20代の頃から作曲を志しますが、芽はでませんでした。
そのため、弦楽四重奏団のヴィオラ奏者として細々と暮らしていました。
そんなラロが42歳の時、それまでの生活が一変する出来事が起こります。
それが、歌手のベルニエとの結婚の時でした。
このベルニエはヴィオラ奏者として、地味な日々を送るラロを再び作曲へと駆り立てたのです。
この妻の叱咤激励に触れて再び、奮起したラロは、オペラ「フィエスク」を作曲し、これがコンクールで入賞します。
さらに、ヴァイオリン協奏曲第1番を作曲し、これを、有名なヴァイオリニストのサラサーテが初演して評価をあげます。
そして、その翌年、勢いに乗った「作曲家、ラロ」は、この「スペイン交響曲」を作曲して再びサラサーテの演奏により、初演されて大成功をおさめます。
その時には、すでに51歳を迎えていたラロ。
まさしく、典型的な大器晩成の人と言えそうですし、また、妻の「あげまん」ぶりにも注目せざるをえないエピソードでもありますね。
あのチャイコフスキーも触発された!
さらに、ラロ:スペイン交響曲を聴いたチャイコフスキー。
これに触発され、創作意欲とインスピレーションが爆発します。
そして、その後、チャイコフスキー自身も、ヴァイオリン協奏曲を作曲してしまうほどの感銘の深さだったようです。
チャイコフスキーの場合は、「スペイン的要素」は、考慮に入れていないものの、その情熱的で、あざやかな華やかさはラロ:スペイン交響曲と共通していると言っていいと思います。
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【各楽章を解説】ラロ:スペイン交響曲
この曲は第1楽章から第5楽章までの5曲で成り立っています。
第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ(速く、しかしあまり速すぎないように)
高まる鼓動と情熱の支配するスペインの風を感じさせてくれます。
どこか孤高な響きも秘めています。
甘いメロディと、華麗な力強さもある、とても魅力的な1曲です。
第2楽章 スケルツァンド:アレグロ・モルト(たわむれるように。非常に速く)
スペインの民族舞踊の響きをもとにしつつ、一定の音型が続きながら進むという形をとっています。
弦楽器が弦を弾きながら奏することを基本として、少し悲しみを含ませながら展開する優美な楽章です。
第3楽章 間奏曲:アレグロ・ノン・トロッポ(速く、しかしあまり速すぎないように)
憂いを感じさせるハバネラ(キューバ舞曲)の基調の1曲。
インテルメッツォ(間奏曲)と表記されています。
この楽章は、奏者によって、省かれたりすることもありますが、ほとんどの奏者は演奏します。
インテルメッツォ(間奏曲)とは言え、スペイン交響曲の中でも、とりわけスペインらしい悲しみの響きを持つ第3楽章です。
じっくり聴きたいところですね。
第4楽章 アンダンテ(歩く速さで)
スローテンポで、聴かせる癒やしの楽章です。
その中にも、スペイン的な悲しみの要素が入っていて、飽きさせません。
歌うヴァイオリンの感情を語る響きが、ラロ:スペイン交響曲の全体を引き締めます。
第5楽章 ロンド:アレグロ(速く)
第4楽章の「悲しさ」とは、打って変わって、テンポとリズムの弾む楽章です。
愉快に踊る様が想像出来ますね。
その優雅さや華やかさが実に明るく、表情も豊かに展開します。
ラロ:スペイン交響曲のフィナーレを飾るにふさわしい底抜けに盛り上がる1曲です。
【5枚の名盤の感想と解説】ラロ:スペイン交響曲
アルテュール・グリュミオー:ヴァイオリン マニュエル・ロザンタール:指揮 コンセール・ラムルー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
「名盤」の名にふさわしい不朽の1枚。
グリュミオー42歳、精神、技巧ともに最高に熟していた頃の録音。
たぎる情熱を発しながらも、決してその品性を損ねない、この絶妙の美感がこの名盤全体を覆っていて飽きさせません。
シュロモ・ミンツ:ヴァイオリン ズービン・メータ:指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
なんとも品のある楚々とした、そして、さっぱりしたヴァイオリンなことでしょう。
あまり「スペイン的熱情」は感じられませんが、その分バックの管弦楽のノリがいいので、ある意味、ヴァイオリンとのバランスが取れていて面白い名盤です。
そのヴァイオリンは、沼の中からスルリと伸びて、美しい蓮(ハス)のようなイメージに近いかも…。
もちろん、管弦楽を「沼」にたとえているわけではありませんが、そのヴァイオリンをよく支えて素晴らしい名盤。
少し落ち着いた趣きで聴きたい時に、いいですね。
イツァーク・パールマン:ヴァイオリン ダニエル・バレンボイム:指揮 パリ管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
パールマンの持つ、スカッと澄んだ明るさを持つヴァイオリンが、クセになる名盤。
スペイン風の情熱系の歌いまわしをしても、そのヴァイオリンの純粋性にシミや汚れがつくことはありません。
どこまでも、ろ過されて、抽出された、まるで、「天上にある名盤が地上に現出!」
そのヴァイオリンにつられたのか、バレンボイムの指揮する管弦楽も力強く昇天するさまが、うかがえます。
「輝かしい光」に包まれたシルクの肌触りの名盤です。
ヘンリック・シェリング:指揮 ワルター・ヘンドル:指揮 シカゴ交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★☆☆
シェリングの端正で整った品のあるヴァイオリンの響き。
どこまでも生真面目に、そして、どこまでも、ひたむきにラロ:スペイン交響曲をひきたてた名盤。
そのシェリングの道徳的で、生真面目な響きのヴァイオリンが飛翔するべくワルター・ヘンドル率いいるシカゴ交響楽団がしっかりと土台を固めます。
少し、真面目すぎるきらいのあるヴァイオリンと管弦楽のコンビですが、饒舌になりがちなラロ:スペイン交響曲の演奏をを端正な形式美に高めた名盤です。
ジョシュア・ベル:ヴァイオリン シャルル・デュトワ:指揮 モントリオール管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
「少し繊細にすぎる」きらいはあります。
ただ、そのヴァイオリンもバックの管弦楽とのなんとも、さわやかで、艶やかなコンビが絶妙な名盤。
この名盤を聴いていると、ラロが実質「ヴァイオリン協奏曲」とも言える、ラロ:スペイン交響曲を「交響曲」と名付けた意味が見えてきます。
つまり、ヴァイオリンと管弦楽の主張は、対等であってもいいんだと気づかせてくれますね。
そんな、調和と、そこから生まれる、さわやかな味わいが楽しめる名盤ですね。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】ラロ:スペイン交響曲
さて、ラロ:スペイン交響曲の名盤のオススメと、解説はいかがでしたか?
スペイン的な情緒と情熱、それとともに優美さまでがギュッと詰まった名曲、ラロ:スペイン交響曲。
ラテン、闘牛、フラメンコ…、スペインギターと言えば、スゴく熱い!!
そんな要素が満載の、ラロ:スペイン交響曲を聴いて気分も、上げて活力充電しませんか?
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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スペインギターと言えばこの曲ですね。