クラシック音楽の中でも、
最も有名で明るい曲のひとつ
元気や、やる気が欲しい時に聴きたい♫
モーツァルト: アイネ・クライネ・ナハトムジーク - 第1楽章
古今東西のセレーナード、また、クラシック音楽全体としても、「超」が、つくくらい有名な1曲。
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク、名盤の解説です。
- 【楽曲を解説】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
- 【各楽章を解説】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
- 【5枚の名盤の感想と解説】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
- 【解説と名盤、まとめ】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
【楽曲を解説】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
本来の「セレナード」の意味がわかる、こんな解説があります。
セレナードというのは、恋人の窓の下で、恋人への思いのたけを語る愛の歌で、昔は、セレナードといえば声楽曲のことだったのである。
ところが、ハイドンやモーツァルトの時代になると器楽曲になり、尊敬する人や富豪たちの命名日や祝日などに演奏されるようになった。(中略)
「アイネ・クライネ」とは「小さい」、「ナハトムジーク」とは「夜曲」といった意味だが、この曲は、他のセレナードとは大いに違って、弦五部で書かれているため、俗に「弦楽セレナード」とも呼ばれている。
出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P91より引用
数々の名曲が生まれた頃に作曲
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークが、作曲された前年、オペラ《フィガロの結婚」》が大ヒット。
そして、モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークが作曲された直後には、オペラ《ドン・ジョヴァンニ》が完成。
また、この頃には、後期のピノ協奏曲の傑作が続々と作曲された時期にもあたります。
そんな傑作の大行進とも言える華々しい時期に、後世、誰もが知っているこの、モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークも作曲されたわけですね。
作曲の動機は?
作曲動機は不明です。
ただ音楽学者のアルフレート・アインシュタインは、こう考えました。
「この頃、モーツァルトは《音楽の冗談》という音楽の基本を故意に、はずした曲を作っている。
この乱れた秩序を、もう一度もとに戻すために、モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークは作曲されたのだ」と…。
そんなわけで、本当のところは、結局わからずじまいです。
ただ、「なるほど、その、こわれた秩序の反動でこんな名曲が出来てしまうのか…。」
そんなことも、「モーツァルトなら、もしかしたら、あるかもしれないな」と思ってしまいますね。
呼び名の素晴らしさについて
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークの呼び名は、「小夜曲」です。
つまり、「小夜曲」と書き、「さ・よ・きょ・く」と呼ぶことがあります。
なんとも、言の葉(ことのは)の優しい呼び名なことでしょう。
「小夜曲」の呼名は、昔は普通でしたが、最近は、あまり聞かなくなったように感じます。
おそらく、日本でのクラシック音楽を聴く人の人口自体が、減っていることもあるのでしょう。
ただ、「佳(よ)き言葉」が聞かれなくなってきたことと、社会にストレスが蔓延してきたこととが、比例して起こって来ているようには感じますね。
そして、現代、クラシック音楽がだんだんと、聴かれなくなってきた原因も、もしかしたら似た理由によるのかもしれません。
また、この「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と名付けたのは、モーツァルト自身とのことです。
曲の呼び名を作曲者自身がつけることは、むしろ珍しいケースです。
それを考えるとモーツァルト自身「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の出来に大きな満足感を持っていたのかもしれませんね。
本来は5楽章あったはず…
この、モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークには、もともと5楽章まであったようです。
現在の第2楽章と第3楽章の間に、メヌエット楽章があったとのことですが、モーツァルト自身が破棄したのか、別の理由で、紛失したのかは定かではありません。
う〜ん、残念な限りではありますが、しかたありませんね…(泣)
【各楽章を解説】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
それでは、各楽章について解説したいと思います。
この曲は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。
第1楽章 アレグロ(速く)
澄んだ空気と、明るい太陽、風はさわやか。
あるいは、「小夜曲(さよきょく)」というくらいですから、「光の冴えて、美しい月」のもと、楽しく音楽を奏でるイメージでしょうか。
あらゆる、佳(よ)きもの、あらゆる幸福、あらゆる香(かぐわ)しいものの象徴とも言える明るさを持つ、永遠の名曲ですね。
第2楽章 ロマンツェ:アンダンテ(叙情的に、歩くくらいの速さで)
解説にありましたように、
「恋人の窓の下で、恋人への思いのたけを語る愛の歌」と言えるのが、この楽章と言えましょう。
この第2楽章も、有名で、よく演奏され愛されている1曲ですね。
第3楽章 メヌエット:アレグレット(舞踊曲:やや速く)
踊るような楽しいテンポの、明るい1曲です。
眩しいくらいの光や、暖かさや、楽しさを感じられる楽章です。
人々の笑顔や、ノリノリで踊る姿も想像できる1曲です。
第4楽章 ロンド:アレグロ(速く)
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークのフィナーレを飾る曲ですね。
全体を象徴するような、アップテンポの曲です。
聴いていて、開放感が感じられ、また深い喜びが湧いてくる素晴らしい1曲という感想が持てます。
【5枚の名盤の感想と解説】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
サー・ネヴィル・マリナー:指揮 アカデミー室内管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
モーツァルトの演奏、ことにセレナードの演奏はマリナーの名盤で聴いておきたいですね。
この、アイネ・クライネ・ナハトムジークでも磨きぬかれた美感はもちろん、その底抜けに明るい曲想を存分に表現しているとの感想を持ちます。
はつらつと澄んだ表現のモーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークの名盤中の名盤ですね。
イ・ムジチ合奏団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
こだわりぬいた、アンサンブルにおける職人技と言えばイ・ムジチ合奏団の名盤ですね。
澄んだ水の透明感や、抜けるような空の青。
そんな映像が浮かんでくるという感想です。
イタリアの楽団らしく、気さくで、明るい雰囲気の聴いて楽しい名盤です。
カール・ベーム:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★☆☆
芳醇な香りが、ただよう素晴らしい名盤です。
18世紀の宮廷や貴族のサロン文化ってこんな感じだったのかなあ、という感想が持てるほど気品にあふれてもいる名盤。
どこまでも高貴に、どこまでも優美で豪華。
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークのひとつの理想とも言えそうな名盤です。
トン・コープマン:指揮 アムステルダム・バロック管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
古楽器演奏にある独特な伸びの少なさはあるものの、その趣きが、またなんとも言えない「心地よさや軽やかさ」を運んできてくれる名盤。
そんな感想を持ちます。
非常に明るく、素直な表現であって楽しくなる名盤でもあります。
少しだけ、枯れた感じのあるモーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークもいいものですね。
ブルーノ・ワルター:指揮 コロンビア交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
あたたかい人情味や、やさしさが、香る、素晴らしい名盤。
モーツァルトを得意としたワルターの永遠の名盤との感想も持てますね。
決して洗練された感じでは、ありませんが、とくに第2楽章の詩的な芳しさといったらありません。
ゆったりとした優しさに触れたい時に聴きたい名盤です。
【解説と名盤、まとめ】モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
さて、モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークの解説と名盤の感想は、いかがでしたか?
有名すぎるクラシック音楽って意外と、聴く機会が減るものです。
でも、有名な曲には、普遍性があったり、心に沁み入ってくる親しみやすさがあったりするものです。
やっぱり、「いいものはいい」と素直に受け入れて、心をいっぱいに開放して音楽を受け入れることは、愉しいものですね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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