『超絶技巧のギター曲』
そんなたとえがピッタリはまる舌を巻く一曲であり、またどこか憂いをおびた響きのある一曲ですね。
技術的にも、トレモロ奏法と言って、右手の薬指と中指、人さし指を使って素ばやく小きざみにメロディを奏でて、親指で伴奏をするという奏法で、すごく高いテクニックが必要とのこと。
この小きざみに奏でられるメロディそのものが「噴水の途切れずに流れる水の音」のように感じるのはアルパカだけではないと思います。
作曲は1896年と言われています。
【解説】タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出
ここで、ギターという楽器についての解説を紹介したいと思います。
ギターと言うと、すぐにフラメンコギターを思い浮かべるほど、ギターはスペインと切り離すことができない楽器である。アラビアを起源としたリュートから発達したギターは、17世紀ごろになると、フランスを中心に、広く愛好されるされるようになった。だが、このギターの奏法を発達させたのは、ほとんどスペイン人で、特に18世紀から19世紀にかけて、ソルやタレルガといったすぐれた奏者が出て、ギター曲の傑作を残したのである。
しかし、なんといっても、ギター音楽に高度な芸術性を与えたのは、今世紀のセゴビアである。彼は、たった一本のギターから、あたかもオーケストラに匹敵するような多彩な音色を引き出し、ギタリスト以外の多くの演奏家にも、多大な影響を与えたのであった。出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」p326より引用
【背景を解説】タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出
この、タレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」の「アルハンブラ宮殿」はもともとイスラム教徒が建築した城塞でしたが15世紀後半のキリスト教徒による征服活動によって陥落しました。
通常ですと陥落後の、建造物はキリスト教徒による取り壊しが 行われるものですが、このアルハンブラ宮殿は、こまやかな彫刻や装飾があまりにも美しく、見事であったため、めずらしく、イスラム時代のまま現代に残っているそうですね。
そんな栄枯盛衰の歴史を見おろしてきた宮殿の中を散策しながら、作曲者のタレガの感性に及ぼす何かがあったのでしょうね。
さまざまな人間の思惑や、征服欲や支配欲、そのための殺し合いもありながら、何事もなかったかのように凛(りん)として、そして、超然としてそびえるアルハンブラ宮殿の美しさは歴史の深さとあいまって、なんとも言えず叙情的ですよね。
作曲者のタレガ自身は、この「アルハンブラ宮殿」の中庭にあるライオンの噴水から落ちてくる水の音を聞きながら、インスピレーションを得たようです。
技術的にも、トレモロ奏法と言って、右手の薬指と中指、人さし指を使って素ばやく小きざみにメロディを奏でて、親指で伴奏をするという奏法で、すごく高いテクニックが必要とのこと。
この小きざみに奏でられるメロディそのものが「噴水の途切れずに流れる水の音」のように感じるのはアルパカだけではないと思います。
以上、簡単にこの曲のイメージを書いてみました。
【名盤を解説】タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出
アンドレス・セゴビア:ギター
冒頭の引用の中でもあった「セゴビア」の演奏です。
ギターに芸術的価値を盛り込んだ方ということであれば、やはり一度は聴いておきたいですよね。
長い間、アルハンブラ宮殿のなかで、織りなされたたくさんのドラマが走馬灯のように浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返すさまが、この5分くらいの短い曲の中から想像できそうな、心にしみる演奏ですね。
ナルシソ・イエペス:ギター
セゴビアよりも早めのテンポで淡々と演奏されていますね。
このイエペスは生前、「芸術は神のほほえみである」との信念を持って演奏活動をされていただけあって、誠実さがにじみ出る演奏です。
一般的にイエペスの評価もとても高いですね。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出
さて、名盤の紹介と解説はいかがでしたか?
タレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」は、ギター一本で演奏されてるとは思えないほどの音の重なりが聴こえてきて驚嘆のひとことです。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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