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クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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ドビュッシー:前奏曲集第1巻|第2巻【解説と名盤2選】自由に遊ぶ音たまたちのうた

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自由に

気ままに

幻想的に

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24曲で構成されているというのが共通点。

ただ、似て非なるものがドビュッシーの前奏曲集。

その違いが、

「自由」…。

さて、今回は、ドビュッシー:前奏曲集第1巻|第2巻解説とおすすめ名盤を紹介です。

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】ドビュッシー《前奏曲集第1巻|第2巻》

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楽曲解説

ドビュッシー《前奏曲集》についてのこんな解説があります。  

ドビュッシーの場合、24曲が24調に割り当てられるということはない。もはや調の束縛力は、無力に等しいからだ。(中略)第1巻は、明らかに抒情的であり、したがってわかりやすい曲が多い。これに対して第2巻は全体として実験的な色彩が強く、音響構造への新しい指向性が感じられる。要するに知的なのだ。

出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」P174より引用

 

解説にありますように、バッハの平均律クラヴィーアやショパンの24の前奏曲のように「24曲が24調に割り当てられることなく作曲」されている。

それがドビュッシー《前奏曲集》の特徴と言えそうです。

それぞれの曲は短めであって、形式的にも複雑ではないのも特徴であり、前奏曲集自体の一貫したテーマも持ち合わせません。

いわば曲想の趣くままに「自由に」発想して作曲された曲集となっています。

よく聴かれる3曲

前奏曲集第1巻と第2巻を通して有名なのが、第1巻第8曲目

次いで、単発でよく聴かれている曲が

  • 帆(第1巻第2曲目)
  • 沈める寺(第1巻第10曲目)
  • ミンストレル(第1巻第10曲目)
  • 花火(第2巻第12曲目)

 

第1巻初演(全曲):1911年5月3日パリのサル・プレイエルにて

ピアノ:ジャーヌ・モルティエ

第2巻初演(全曲):1913年3月5日

ピアノ:ドビュッシー自身

 

【各楽章を解説】ドビュッシー《前奏曲集第1巻|第2巻》

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それでは、各曲について解説します。

ドビュッシー《前奏曲集》は第1巻と第2巻それぞれ12曲ずつの全24曲で成り立っています。

前奏曲集第1巻 

  1. デルフィの舞姫たち
    ルーブル美術館でのドビュッシーの思い出。
    古代ギリシャの神殿におけるカリアティードの柱を支える巫女たちが歩む様を描いています。

  2. 女性の身に付けるヴェールをイメージして作曲されました。
  3. 野を渡る風
    ヴェルレーヌの詩《そは、やるせなき》という詩の一節「風は野で息を止める」から取られた題名です。
  4. 音と香りは夕暮れの大気に漂う
    ボードレールの詩「夕べの諧調」の1節によります。
  5. アナカプリの丘
    イタリアのカプリ島にこの名を持った町があります。
  6. 雪の上の足跡
    「リズムは悲しく凍りついた風景のような響きで」との指示があります。
  7. 西風の見たもの
    アンデルセン童話《楽園の庭》から取った題名です。
  8. 亜麻色の髪の乙女
    高踏派の詩人ルコント・ド・リールの同名の詩を元に作曲した《亜麻色の髪の乙女》という歌曲をピアノ曲に編曲しています。
    詳しくはコチラの記事へ
  9. 途絶えたセレナード
    アルベニスのピアノ組曲《イベリア》を参考に作曲されました。スペイン風の印象があり「ギターのように」という指示も見られます。
  10. 沈める寺
    不信心のため海に沈められた大聖堂が、人々へのみせしめとして日の出とともに海上に浮かび上がるという伝説をもとに作曲されました。
  11. パックの踊り
    シェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』に登場するいたずら好きの妖精パックが暴れまわる様を描いています。
  12. ミンストレル
    アメリカの農園で主人に仕えて働く黒人たちは、楽器を演奏しながら踊って楽しみます。これが後のヨーロッパでジャズが広がって行く素地になったわけですがドビュッシーもいち早く黒人音楽を自身の音楽に取り入れました。

 

前奏曲集第2巻 


  1. 押さえられた音の中から不安定な音たちが不思議な音楽世界を構築していきます。この頃のドビュッシーはストラヴィンスキーを好んでいてその影響も受けています。
  2. 枯れ葉
    「木々の壮麗な様式を取り囲む金色の葉の落ちる様から」とドビュッシーは記しています。
  3. ビーノの門
    作曲家のファリャが贈った絵葉書にインスピレーションを得たと言われています。グラナダにあるアルハンブラ宮殿にあるワインの門がアイデアの元になっています。
  4. 妖精はすてきな踊り子
    ピーターパンのフランス語訳の本の挿絵がヒントになりました。軽快に動き回る妖精のイメージです。
  5. ヒースの茂る荒れ地
    風景を好んで描いた画家の展覧会に足繁く通っていたドビュッシーですから何かひらめくものがあったと思われます。
  6. 変わり者のラヴィーヌ将軍
    ラヴィーヌ将軍こと、アメリカの喜劇俳優エドワード・ラヴィーヌの動きを模写したおかしみがいっぱいの1曲。
  7. 月光の降り注ぐ露台
    題名はインドを舞台にした物語から取られています。冒頭で聴こえるのはピアノ教本《メトードローズ》の中の「月あかり」の一節です。
  8. 水の精
    水底に棲み人を誘惑する水の精の特徴である「透明感を帯びた神秘的な様子」がイメージ出来ます。
  9. ピクウィック卿をたたえて
    ディケンズの小説《ピックウィック・ペーパーズ》の主人公です。心優しくもせわしないピックウィックを描いた楽しい1曲。
  10. カノープ
    ナイル川のほとりにある古代エジプトの都市の名前でしたが、やがて消化器官やミイラを納める壺の呼び名になりました。哀愁のある暗い曲。
  11. 交替する3度
    無機質で感情を排除したような音楽で、3年後に完成する練習曲を思わせる作りになっています。
  12. 花火
    一瞬の美しさを誇った後にあっけなく、そしてはかなくも消えてゆく花火を構成する小さな火花の粒たち。華やかなりしものの裏にある無常、無常の裏返しの中にある美…。明滅する命、光、営み…。この世の実相を描いて終わるのがドビュッシー《前奏曲集》なのです。

 

【名盤2選の感想と解説】ドビュッシー《前奏曲集第1巻|第2巻》

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ジャック・ルヴィエ:ピアノ

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

瑞々しい感性がほとばしっている名盤です。

切れの良さというよりは夢を見るような幻想的な美しさで彫琢された名盤です。

ルヴィエの弾くドビュッシーは優しくてたおやかな魅力が特徴ですが、自由に発想した前奏曲集も素晴らしいです。

キラキラと弾けるピアノの魔法にかかってみてください。

クセになる名盤です。

 

ワルター・ギーゼキング:ピアノ

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

枯れた味わいのある名盤でノスタルジックな雰囲気も醸し出しています。

モノクロ映画の持つセピア色の映像にノイズが走り…音は「ブツ…ブツ…ブツ…」とつぶやくような印象の懐かしさ。

もちろん、この名盤から聴こえる録音自体はノイズリダクションが行われています。

要はここで言うノイズとは、もう少し感覚的に伝わってくるものとでも言えましょうか。

理知的な演奏の中にフワリと柔らかい感性が伝わってくるのが心地良い名盤です。

 

【まとめ】ドビュッシー《前奏曲集第1巻|第2巻》

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さて、ドビュッシー:前奏曲集第1巻|第2巻の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

曲想の趣くままに発想して作曲された曲集で

 

以上2曲とは性格の異なる自由な精神で紡がれました。

私生活でも自由奔放だったドビュッシーの名曲です。

ぜひ自由を満喫してみてくださいね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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