Apple Music Classical』はクラシック音楽を楽しむ人に最適なサブスクリプション(サブスク)です。膨大なクラシック音楽500万曲がいつでも聴き放題。
ハイレゾ・ロスレスや空間オーディオで、コンサートホールの臨場感を自宅で体験できます。クラシック音楽特有の複雑な検索条件にも対応。
この記事ではクラシック音楽を深く味わいたい人にとって欠かせない存在『Apple Music Classical』について解説します。
記事を読むことで『Apple Music Classical』がクラシック音楽生活で、実現できないところにしっかり手の届くサービスであることが理解できます。
- 音質がずば抜けて良い
- 検索機能”No.1”のスグレモノ
- CDコレクションを徹底サポート
- Apple Music Classicalの使いにくい点
- Apple Music Classical のよくある質問
- CDのパートナーとしてのApple Music Classical
音質がずば抜けて良い
『Apple Music Classical』の大きな魅力のひとつが、音質の高さです。従来のCDは44.1kHz/16bitという規格で録音されています。Apple Musicの標準ロスレスは最大48kHz/24bitであり、ハイレゾ・ロスレスになると最大192kHz/24bitとなり、CD音源のおよそ6.5倍の情報量を有しています。
項目 | CD | ロスレス | ハイレゾロスレス |
---|---|---|---|
サンプリング周波数 | 44.1kHz | 48kHz | 192kHz |
ビット深度 | 16bit | 24bit | 24bit |
音質 | 家庭用デジタル音楽の標準規格とされてきた音質 | CD以上の音質を実現 | ロスレス以上の音質、繊細な響きや空気感 |
もちろんCDも十分に高音質ですが、ハイレゾ音源の情報量は理論上、人間の耳で聴き取れるニュアンスの範囲をほぼ超えています。Apple Music Classicalではロスレス音源のさらに上をいくハイレゾ・ロスレス音源が提供されています。
つややかな楽器の響きや歌声のニュアンスを、より細やかで立体的に感じ取れるのがハイレゾ・ロスレスといえるでしょう。
コンサートホールの残響や弦楽器の余韻、管楽器の息づかい、打楽器の力強い振動までが、目の前で繰り広げられているような再現力。
『Apple Music Classical』はドルビーアトモスによる空間オーディオにも対応しています。これは従来の左右のステレオ感覚を超え、音が上下左右から包み込むように配置される技術です。
コンサート会場にいるような没入感を味わえるため、普段聴いていた曲なのに新鮮な感動が得られるといった体験を提供します。Apple Musicは「音楽を聴く」だけでなく「音楽を体感する」サービスへと進化しています。
CD好きの方にとっても、新しい発見や感動をもたらす音質の高さは、ぜひ一度体験していただきたいポイントです。
※ロスレスやハイレゾ・ロスレスはWi-Fi環境で聴くことをおすすめします。モバイルデータだと容量を大量に消費してしまいます。モバイルデータを通して楽しむ際には、スマホやタブレットなどのオーディオ設定のロスレスを切るようにしてください。もちろんデータ使い放題契約の場合はこの限りではありません。
※ハイレゾ音源はBluetooth経由ではデータ量が大きすぎて、本来の音質では聴けません。ハイレゾ音源に対応したDAC(Digital to Analog Converter:デジタル信号をアナログ信号に変換する機器)による有線接続が必要になります。
検索機能”No.1”のスグレモノ
クラシック音楽ファンが強く望むのが、クラシック音楽の検索における複雑さや多様性にしっかり応えられることです。検索機能は、音質とともにクラシック音楽に求められる必須の機能と言えます。
ここでは検索項目の一覧を紹介!
ホーム
『Apple Music Classical』を開くとホーム画面が立ち上がり、注目のアーティスト、指揮者などのアルバムが紹介されます。聴きたいアルバムが浮かばない時に便利です。新しくリリースされたアルバム、過去に聴いた曲やアーティストを参考にして、好みに合ったアルバムが表示される仕組みです。
リスナーが聴いた「最近の再生」も表示。初めて『Apple Music Classical』を利用する場合でも、特別な操作を覚える必要はなく直感的に扱えるデザインが魅力です。
見つける
アプリ下部の「見つける」をタップすると、「カタログ」「プレイリスト」「楽器」の3つに分類されたタブが表示されます。クラシック音楽をさまざまなアプローチから探せます。それぞれのタブについて順に解説します。
カタログ
リスニングガイドという、クラシック音楽を聴くうえで得ておきたい知識や魅力などを紹介するタブがトップにあります。作曲家、指揮者、オーケストラ、ソリスト、アンサンブル(室内楽団・四重奏団etc)といった検索ができるタブが一覧表示されています。
プレイリスト
「作曲家プレイリスト」には、それぞれの作曲家の有名な単一楽章がまとめられています。「アーティストの代表曲」も有名アルバムから選ばれた単一楽章が中心です。プレイリスト全体としては、初心者向けの内容で、広く知られた親しみやすい作品が集められている印象です。
楽器
ヴァイオリンやピアノ、主要な管楽器はもちろん、パーカッションやメゾソプラノなど、多彩な楽器や声部ごとに曲を一覧できます。
リスナーそれぞれに、好みの音色や特定の楽器があるものです。「楽器」タブは、それぞれの楽器の音色をじっくり楽しみたい人に便利。たとえば、普段から趣味で演奏している楽器がある場合は、実際の演奏を聴きながら学び、楽しめるのも「楽器」タブの魅力です。
ライブラリ
① ②
ライブラリのタブをタップすると、『Apple Music Classical』に最近追加したアルバムが一覧で表示されます。CDで持っていないアルバムや、持っていてもすぐに聴きたいアルバムを、ライブラリに登録しておくことが可能です。
たとえば、画像①のグリモーによるピアノの「ブラームス:ピアノ協奏曲」は、筆者がCDを持っていないためライブラリに登録しています。
画像②は、ヘブラーが演奏するピアノによる初期モーツァルトのピアノ協奏曲を集めたアルバムです。筆者はヘブラーピアノのモーツァルト:ピアノ協奏曲全集をCDで所持しており、スマホにもデータを保存しています。しかし『Apple Music Classical』を開いても、すぐ聴けるようにライブラリにも登録しているわけです。
検索
『Apple Music Classical』の検索窓では、作曲家や曲名、演奏者、楽団などを入力してアルバムを探せます。
一般的には「作曲家+曲名+指揮者やソロイスト+楽団」といった組み合わせでアルバムを思い浮かべたり、ネット検索したりするものです。しかし『Apple Music Classical』では、変則的な方法として「指揮者+楽団」で検索するのもおすすめです。
たとえば、レナード・バーンスタインは多くの楽団を指揮し、数々の名演を録音しました。
「バーンスタイン」と「ウィーン・フィル」を組み合わせると、関連する演奏が整理されて表示されます。「カラヤン」と「フィルハーモニア」を組み合わせても、1950年代に遺した貴重なラインナップをひと目で確認できる仕組みです。
さまざまな検索方法を試すことで、これまで知らなかった名演や存在すら意識していなかった録音に出会えるかもしれません。自由に入力するだけで、思いがけない結果が表示されることこそ『Apple Music Classical』ならではの大きな楽しみです。
CDコレクションを徹底サポート
かゆいところに手が届くサービス
『Apple Music Classical』は、CDコレクションでは手の届かなかった「かゆいところに手が届くサービス」です。
欲しくても入手できなかった過去の貴重な演奏が、アルバムとして揃っており、リスナーに聴かれることを待ち構えているからです。
例えば廃盤になっていた録音や、CDの発売がずいぶん昔のため、入手が難しい名盤までがリスト化され、すぐに楽しめます。
検索やおすすめ機能は気配りの行き届いた設計で、ユーザーの聴きたい気持ちに寄り添います。配慮が行き届き、気づかいのできる設計思想そのものが『Apple Music Classical』の持ち味です。
あらためてCDの魅力を考えてみる
CDには音楽サブスクサービスにはない「所有する喜び」と「思い出を刻む価値」があります。音楽そのものだけでなく、ブックレットといった形のある付加価値も手に入るからです。
CDラックに名盤を並べて表紙を眺めたり、大好きなアーティストの写真から得る感動は、手に取れるからこそ感じられる格別の充実感です。演奏会で買った思い出の一枚や、アーティストや指揮者のサイン入りCDは、単なる音源以上の存在となります。
ディスクを手に取るたびに、その日の熱気や感動が鮮やかによみがえります。コレクションとして枚数が増えていく楽しみも、サブスクで送られてくる音楽データだけでは得られません。CDは単なる再生媒体ではありません。人生の思い出を閉じ込めた宝石箱とも言えるものです。
音楽を「持つ」ことの魅力を、あらためて大切にしたいものです。
CDで手に入らなかった名盤が楽しめる
『Apple Music Classical』は、CDを購入するほどではないけれど一度は聴いてみたい名盤を気軽に楽しめます。クラシックファンなら、そんなアルバムが数多く思い浮かぶはずです。
毎月、多くの最新CDが2000円〜3000円で発売されています。気になるものをすべて揃えるのは、費用的に負担が大きいことでしょう。Apple Musicは月々1080円(年間一括10,800円なら月換算で900円)で膨大なアルバムが聴き放題です。たとえば、毎月1枚の最新盤を聴くだけでもすぐに元が取れてしまいます。
実際に一度聴いてみて、特に気に入ったアルバムだけを改めてCDで購入するという方法もおすすめです。無駄な出費を抑えつつ、CDコレクションに本当に大切な一枚を確実に残していけます。
『Apple Music Classical』は、これまで手に入らなかった名盤と出会うきっかけを得るための、丁寧に設計されたサービスといえるでしょう。
Apple Music Classicalの使いにくい点
はじめにApple Musicの登録が必須
『Apple Music Classical』を利用するには、Apple Musicのサブスクリプション登録が必要です。『Apple Music Classical』アプリ単独では利用できません。
『Apple Music Classical』がApple Musicを母体とした検索専用アプリだからです。
Apple Musicではクラシックを含め、全ジャンルで1億曲以上が提供されています。この膨大なApple Musicの中からクラシック音楽のみを取り出し、検索しやすく整理された『Apple Music Classical』が提供されている理由はひとつ。
全音楽ジャンルの中でもっとも検索が複雑なジャンルがクラシック音楽だからです。
総合病院と専門診療所の違いに似ている
例えるならApple Musicは総合病院、『Apple Music Classical』は専門診療所といえます。たとえば病名が明確なときの受付対応を考えた場合、総合病院よりも専門診療所の方が正確で迅速な対応を受けられます。専門診療所の受付スタッフは、総合病院よりも専門分野に精通しているからです。
同じように『Apple Music Classical』もクラシックに特化し、専門的な検索に迅速かつ的確に対応できるアプリだといえるでしょう。
クラシック1曲には数多くの演奏が存在する
クラシック音楽は同じ曲でも演奏が無数に存在します。クラシック音楽は「作曲者」「曲目」「番号」「演奏者(指揮者やソリスト)」「楽団」など、さまざまな要素が絡むからです。同じ曲を同じシチュエーションで何度も録音する例もあります。(カラヤン&ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲は、異なる時期に3回録音されました)
1億曲以上を扱うApple Musicの総合的な検索では、クラシック音楽特有の複雑さに対応しきれません。クラシック音楽の深い知識を持つ専門的な検索窓口である『Apple Music Classical』を使うことで、はじめて細部まで検索が可能になるのです。
パソコン用アプリなしブラウザアクセスが必要
『Apple Music Classical』はパソコン専用アプリが提供されていません。パソコンで利用する場合はインターネットブラウザからアクセスする必要があります。ブラウザ(Google ChromeやMicrosoft Edge、Apple Safariなど)から『Apple Music Classical』にログインしてください。
ブラウザからの利用で機能が制限されることはありません。再生や検索は問題なく行えますし、インターネットブラウザを活用すればモニタの大画面でも楽しめます。
Apple Music Classical のよくある質問
Q: シャッフル再生はできますか?
A: いいえ、できません。
シャッフル再生ができないことで、不満が残るかもしれません。しかし、クラシックはひとつの曲が複数楽章で構成されることが多く、順序を入れ替えると作品の自然な流れが壊れてしまいます。
クラシック音楽は、曲の持つ感情の起伏が、順を追って紡がれていくジャンルです。確かに不便ではありますが、シャッフル再生では音楽に深く入り込み、流れに身を委ねることは難しくなるでしょう。
Q: 通常のApple Musicと『Apple Music Classical』の違いは何ですか?
A: 通常のApple Musicアプリを母体としたクラシック音楽専用の検索用アプリが『Apple Music Classical』です。
『 Apple Music Classical』は、クラシック音楽の複雑な性質(同曲における複数の録音、指揮者、アーティストなど)の検索に対応するためのアプリです。『Apple Music Classical』の検索機能や画面表示がクラシック音楽用に最適化されています。
利用するには通常のApple Musicのサブスク登録が必須になります。
Q: 『Apple Music Classical』で保存したクラシック音楽は通常のApple Musicでも表示されますか?
A:はい、『Apple Music Classical』でライブラリ保存したクラシック音楽は通常のApple Musicでも表示されます。逆に通常のApple Musicでクラシック音楽をライブラリ保存した場合でも『Apple Music Classical』に表示される仕組みです。
Q: 『Apple Music Classical』アプリは、どこでダウンロードできますか?
A: App Store(iPhone/iPad)、Google Play(Android)からダウンロードできます。 パソコンの場合はインターネットブラウザから『Apple Music Classical』にログインしてください。
(インターネットブラウザとは、Google ChromeやMicrosoft Edge、Apple Safariなどのことを言います。)
Q: アプリはどのOSに対応していますか?
A: iPhoneなら iOS 16以降、iPadはiPadOS 16以降。AndroidデバイスならAndroid 9.0以降に対応しています。
Q: オフライン再生はできますか?
A: 『Apple Music Classical』アプリ自体にはオフライン再生機能はありません。しかし、『Apple Music Classical』でライブラリに追加した曲やプレイリストは、通常のApple Musicアプリのライブラリに自動的に同期されます。
Apple Musicアプリに移動して曲をダウンロードすれば、オフラインで再生することが可能です。
Q:料金はかかりますか?
A: いいえ、追加料金はかかりません。『Apple Music Classical』は、Apple Musicのサブスクに含まれたサービスです。
Q: どの国・地域で利用できますか?
A: 日本を含む多くの国で利用されていますが、ロシアとトルコでは提供されていません。
CDのパートナーとしてのApple Music Classical
『Apple Music Classical』はクラシック音楽好きに最適なサービスです。音質がずば抜けて良く、繊細な演奏を空気感まで再現します。
検索機能が充実しており、さまざまな検索要求に完全に対応。手持ちのCDコレクションでは得られなかった演奏にも出会える『Apple Music Classical』。
クラシック音楽を深く味わうための音楽サブスクなら『Apple Music Classical』が最良の選択肢といえるでしょう。