アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方を解説します。

チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出のために【名盤と解説】別れの時に聴く11の変奏曲

f:id:happy-alpaca:20190827224204p:plain

 

「悲しさや、さみしさを感じさせるメロディ」で、チャイコフスキーのルービンシテインにたいする深い友情が伝わってきて、とても心にしみる一曲です。  

人が亡くなるということはこの世の摂理(せつり)ですし、亡くなった人が帰って来ることもありません。

それは悲しい事実ですし、どうすることもできないものならば、いつかは心の整理をつけて、その人との思い出のみを胸に、生きていかなければなりませんね。

作曲家のチャイコフスキーにもそんなことがあったようです。

そしてその時の心の風景が「音楽というカタチ」を通して私たちに伝わってきますね。

それがこの「偉大な芸術家の思い出のために」という1曲です。

 

(この曲の中でも明るめの第2楽章の第6変奏の動画を見つけました。)


チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出のために第6変奏

(youtubeをポチって音楽を聴きながら読んでみてください。”iPhoneの場合は全面表示されてしまったら2本指で内側にむけてピンチインして読み進めてくださいね” 

【解説】チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出のために

 この曲は副題にある「偉大な芸術家」、すなわちニコライ・ルービンシテインの死を悼んで作曲された。チャイコフスキーより5歳年長のニコライは、実兄アントン・ルービンシテイン(チャイコフスキーの直接の師)とともにロシア音楽の発展と紹介に大きな功績をあげた人物で、チャイコフスキーも彼にモスクワ音楽院の教師として招かれて以来親しく付き合い、(略)そのルービンシテインがパリで客死したのは1881年、三重奏曲は翌年の完成である。ピアノ・パートに大きな比重が置かれているのは、当時有数の名ピアニストだったルービンシテインを偲んでのことだろう。

出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」p154より引用   

ピアニストの、ルービンシテインはチャイコフスキーの親友でした。

しかし、チャイコフスキー作曲の「ピアノ協奏曲第1番」という曲がありますが、これに対するルービンシテインの評価は低くく、曲の書き直しを迫ったようです。

けれども、チャイコフスキーはこれを受け入れず、2人は仲たがいをしたことがありました。

しかし、ルービンシテインはのちに、「ピアノ協奏曲第1番」への評価を変え、チャイコフスキーも曲の書き直しをしながら2人は仲直りしたというエピソードがあります。そして、その後、ルービンシテインはこの曲を積極的に演奏し紹介につとめたようです。

その親友のルービンシテインがパリで亡くなったは1881年、その後、1812年に彼を偲んで作曲したこの「偉大な芸術家の思い出のために」は過去の交友を懐かしんで、チャイコフスキーがつくった曲と言われています。    

【各曲を解説】チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出のために

この曲は第1楽章と第2楽章の「主題と変奏」との2曲で成り立っています。
それでは、各楽章について解説したいと思います。

第1楽章:モデラート・アッサイ(早すぎず遅すぎずあまり興奮せずに)ーアレグロ・ジュスト(やや速く正確なテンポで)

胸のうちは、空っぽで、友のいない時と空間のなかで、ただただ喪失感に打ちひしがれる心情が伝わってくるようです。

ロシアのいてつくような厳しい寒さは、友を失ったチャイコフスキーの心の風景そのものとも言えますね。

果てしなく広がる大地の真っ白な雪がこの曲のイメージかもしれませんね。

 

第2楽章:主題と11の変奏

少しだけ光がさしたような明るさが戻ります。

第1変奏は悲しみをほんの少しの瞬間だけ忘れられたような感じかな。

第6変奏のワルツはいかにもチャイコフスキーらしいと言えそうな、舞曲の要素が満載のいい曲です。

最終変奏(実質この楽章が第3楽章という位置づけかも)は、第1楽章のメロディがもう一度、奏でられますが、最終章ということもあってその激情と悲しみは頂点をきわめます。

以上、簡単にこの曲のイメージを書いてみました。   

【名盤解説】チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出のために

スークトリオ

ヤン・パネンカ:ピアノ
ヨセフ・スーク:ヴァイオリン 
ヨセフ・フッフロ:チェロ

非常にバランスの取れた演奏で、それぞれの奏者が、それぞれの奏者の思いを読み取りながら、けっして主張を強くすることなく、この曲にひそむチャイコフスキーの悲しみや喪失感に心をかたむけて、どこまでも純粋に曲の核心に迫ろうとしていることが伝わってきますね。

アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン )
グレゴール・ピアティゴルスキー(チェロ)

豪華なメンバーが集結して、磨き上げたこの曲のひとつの極みとでも言えそうな演奏ですよね。

スーク・トリオのよりは奏者ひとりひとりの主張は強いように感じます。
技巧で言うと、とくにハイフェッツのヴァイオリンの語り口が舌を巻く思いがしますし、感嘆させられます。

ちなみにこのアルバムのピアニストの「ルービンシュタイン」はチャイコフスキーの親友の「ルービンシテイン」とは血のつながりはありません。

念のために…。

f:id:happy-alpaca:20190827133554j:plain   

【解説と名盤、まとめ】チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出のために

さて、チャイコフスキー:「偉大な芸術家の思い出のために」、名盤の紹介と解説はいかがでしたか?

チャイコフスキーの「偉大な芸術家の思い出のために」は、音符という絵の具を使って描かれた深い群青色の心象風景ですね。

忙しい毎日のなかで、疲れたり、傷ついたりした時には明るい音楽を聴くのは、いいものです。

でも、明るすぎる音楽を聴いただけでは、どうしても心が晴れない時もあるものです。
そんな時は、同じブルーな心情を歌い込めた音楽にふれるのも、たまにはアリかもしれませんね。

 

そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』 

 

今回は、以上になります。 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

↓メランコリックなこんな曲もいいですね。

 

www.alpacablog.jp

www.alpacablog.jp