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チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》【感想と解説|3枚の名盤】

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広大な雪原のパノラマと、

ロシア民謡の美しい音楽性

2つの美しさをあわせ持つ美しさが結実した名曲

チャイコフスキーの初期の交響曲の中の傑作、交響曲第1番《冬の日の幻想》。

「成熟した後期交響曲」もいいものですが、「さわやかな初期の交響曲」も悪くないですね。

そんなわけで、今回はチャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》の解説と3枚のおすすめ名盤を紹介です。

【解説】チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》

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ちょっと面白味のあるこんな解説があります。 

FM対談

F(女):チャイコフスキーって ロシアのバッハといわれてるんですって……。

M(男) バッカジャナカロカ……。

F(女)え?

M(男)え、バッハじゃないですよ……っていったんです。チャイコフスキーってどんなウィスキー?……っていうのよりはましだけど、子沢山の多作家バッハとはね、ちょっと結び付きにくいですね。(中略)

F(女)でも、チャイコの交響曲って、4・5・6がバッカに有名で、初めの3つは影が薄いんじゃない……。

M(男)その通り!でも第1なんか、とても素敵な曲ですよ。最近になって大変いい演奏のレコードが各種出廻り始めてますから、やがては評価が高まってくるのではないかな……。

出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P128より引用(1979年発行)

解説にありますようにチャイコフスキーの交響曲と言えば第4番から第6番までの3曲が有名ですし演奏機会も多いですね。

この3曲はクラシック音楽の本場のヨーロッパ的な雰囲気が強く出ていて整ってもいる名曲です。

ただチャイコフスキーの素晴らしさのひとつである「ロシア的なメロデイや響き」の魅力が少し減っているとも言えます。

その分、チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》は当時26歳の若きチャイコフスキーの「野心や、ロシア的な民族性」が出ていて好感がもてます

ちなみに《冬の日の幻想》という副題はチャイコフスキー自身がつけています。

普通、副題は後世の人がつけることが多いものですが、チャイコフスキーの曲に対する自信と愛着からそうさせたのだと思います。

【各楽章を解説】チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》

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それでは、各楽章について解説したいと思います。

チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》は、第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

第1楽章 冬の旅の夢想

チャイコフスキー自身がこの第1楽章に「冬の旅の夢想」という副題をつけています。

フルートとファゴットの柔らかい音は「空を舞いつつ降りてくる雪」を思わせます。

雪とは、きっと「妖精がまとった純白な衣服」なのだろろうなあ。

そんな印象を抱かせてくれるチャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》の始まりですね。

若きチャイコフスキーの瑞々しい感性がキラキラと放たれながら曲はロシアの広大な大地を思わせる壮大さを持った展開をしていきます。

第2楽章 寂しい土地、霧の土地

チャイコフスキーがこの第2楽章につけた副題が「寂しい土地、霧の土地」というものです。

チャイコフスキー独特の「優美なメロディが支配」する、とても調和的な癒やしの1曲に仕上がっていますね。

イメージとしては、ひとり窓辺で「吹雪(ふぶ)く草原を見つめて物思いにふける少女の姿」が浮かびます

本当は明るくて屈託(くったく)のない晴れやかな心の持ち主なのに、冬の深い雪と風に身も心も閉ざされて、いたしかたなく部屋で過ごす姿が想像されます。

その横顔は美しく、ほんの少しだけ大人の面影が表れはじめてる。

そんなきれいな印象の1曲ですね。

第3楽章 スケルツォ(楽し気で、ユーモラスに)

舞曲風のワルツの楽章です。

ふつう交響曲と言うと、ここで勢いのある「スケルツォ」が入ることが多いです。

でもここでは「優美さ」が全面に出た「スケルツォ」楽章が入れられています。

こんなところがチャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》の特徴をよく表しているとも言えそうです。

チャイコフスキーのワルツは本当に華麗で美しい

ロシアの民族的は響きも加わった素晴らしい3楽章です。

第4楽章 フィナーレ(悲しくー中くらいの速さー荘厳にー生き生きと)

雪深く、陰鬱な響きがファゴットによって歌われ、それに続くように弦楽器が重々しく鳴りはじめます。

なんとも足取りの重いイメージです。

しかし、だんだんと曲調が変化していき…

ロシアの民謡的で元気な展開になります!

今までの楽章の憂愁的イメージをくつがえすような「元気なロシアの土の匂いがプンプンする」嬉しくも楽しい1曲

「最終楽章で爆発」と言えばチャイコフスキー:交響曲第4番のパターンがあります。

でも、そのカタチはチャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》ですでに始まっていたのですね。

チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》の物語は起承転結の「結」を迎えてハッピーエンドの大団円!!

そんな印象の1曲でもあります。

【3枚の名盤の感想と解説】チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》

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マイケル・ティルソン・トーマス:指揮 ボストン交響楽団

アルパカのおすすめ度★★★★★

【解説】

その「若々しいパッション(感情)」と「澄み切った音の美」は今もって名盤と呼ぶにふさわしいですね。

ボストン交響楽団の厚みのあるアンサンブルもティルソン・トーマスの感性にシンクロを起こして素晴らしい一体感を感じます。

1970年に録音された20代のマイケル・ティルソン・トーマスのさわやかな感性を楽しめる「青春讃歌」とも言えそうな名盤でもあります。

ロリン・マゼール:指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【解説】

品のある柔らかい響きの名盤ですね。

チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》の「幻想」の部分が強く表現された名盤

ロシアの民族的な匂いは少ないですが、第2楽章の磨き抜かれた美感はやっぱり素晴らしいという感想です。

日ごろの疲れた心の「精神的リトリート(日常からの離脱)」にはいい名盤です。

チャイコフスキーの優美さを堪能して明日からはじまる「日常という名の激戦」に打ち勝つ力を養いたいですね。

ユージン・オーマンディ:指揮 フィラデルフィア管弦楽団

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【解説】

チャイコフスキーの歌心がオーマンディの美しいトーン(味わい)で表現された名盤です。

構築性が高く安定的でありながら、決して、いかめしさが出てこない柔らかい語り口はオーマンディとフィラデルフィア管弦楽団の特徴ですね。

優美さという面は少し落ちますがチャイコフスキーの若くてエネルギッシュな感性の部分に触れたい時に聴きたい名盤です。

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【解説と名盤、まとめ】チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》

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さて、チャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》の名盤のオススメと、解説はいかがでしたか?

チャイコフスキーの後期の交響曲は素晴らしい名曲ですが、若い頃の交響曲の傑作、交響曲第1番《冬の日の幻想》もいいものです。

フレッシュで明るい傾向も見えかくれするチャイコフスキー:交響曲第1番《冬の日の幻想》

これを聴いたうえで、再び後期の交響曲を聴き直すと新たな発見も多いものですね。

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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