アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

春に聴きたい【おすすめクラシック15選】ピアノと合唱、オーケストラ

ラヴェル:組曲「鏡」【感想と解説|3枚の名盤】はかなさが漂う美しいピアノ組曲

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冷静の中の儚(はかな)さ

美しく弾ける音の

静けさを感じたい時に聴きたい!!


ラヴェル: 組曲「鏡」:鐘の谷

【解説】モーリス・ラヴェル:鏡

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モーリス・ラヴェル:組曲「鏡」の哲学風であり、詩的な解説があります。 

ラヴェルの印象主義は、たぶん写実的である。

蛾は舞い、鳥は啼き、波は押し寄せ、小舟はゆれ、伊達男は酔いざめに朝の歌を口ずさむ。

して大小さまざまな鏡の音が、高く、低く、谷に響きわたり、余韻を長く引きながら消えていく。

それは、現象なのであって、心象ではない。

それは描写であって、表現ではない。

出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」P182より引用

さて、なんとも詩的な(ポエムのような)解説ですね。

たしかにこの組曲「鏡」はモーリス・ラヴェルが、「心から湧き出る感性」ではなく、「冷静な知性や理性」から現象を描き出した傑作と言えそうです。

なぜなら、どこか冷たさや、デカダンス(退廃)が感じられるからです。

そして、そんな儚(はかな)さから、つむぎ出される音楽は、やっぱりモーリス・ラヴェルらしいオシャレ感がありますね

【ピアノ組曲「鏡」を解説】モーリス・ラヴェル:鏡

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さて、ここで、モーリス・ラヴェル:組曲「鏡」について、儚(はかな)げに解説しておきましょう。

この曲は第1曲から第5曲までの5曲で成り立っています。

第1曲 蛾(Noctuelles)

夜の世界を舞う「蛾(が)」をイメージしています。

フランス語でのNoctuellesは「蛾(が)」とともに「蝶(ちょう)」を意味しています。

つまり、その原語として、「蛾」と「蝶」とは同じ種類のもので、差がないとの認識がフランスではあるということのようですね。

つまり、この「蛾」という曲は、夜の闇の街灯によって、照らされる「蝶」のごとき美しい羽を描いているように感じるです。

また、この「蛾」は、娼婦を象徴しているとも言われています。

つまり、夜の街を、ひらりひらりと浮遊して、こちらにフワリ、あちらへフワリと儚(はかな)く飛ぶ、まさしく色鮮やかな美しき「蛾」。

そんなイメージが浮かびます。

また、モーリス・ラヴェルは、「アパッシュ(チンピラや、ごろつきの意)」という名の芸術家サロンのメンバーでした。

そのメンバーの中にレオン=ポール・ファルグという詩人がいましたが、このファルグの詩をもとに作曲したとも言われています。

そしてこの「蛾」という曲はこのレオン=ポール・ファルグに献呈されています。

ちなみにモーリス・ラヴェル:組曲「鏡」の5曲はそれぞれ、この「アパッシュ」のメンバーたちに献呈されています。

第2曲 悲しげな鳥たち

夏の暑さの中、「森で迷子になった鳥が、孤独のうちに命を落とす様が描かれています。

これは、一種の「都会の孤独」の情景という感想も持てます。

献呈された相手は、ラヴェルが作曲した多くのピアノ曲の初演をしたリカルド・ビニェスです。

第3曲 海原の小舟

海上の波の速い動きと、それに遊ばれる「海原の小舟」の様が、モーリス・ラヴェルらしい特徴ある、そして、透明感のある曲調で描かれる1曲という感想です。

また、モーリス・ラヴェルは、「道化師の朝の歌」とともに、この「海原の小舟」を管弦楽版に編曲しています。

モーリス・ラヴェル自身は、「海原の小舟」の方を気に入っていたようですが、聴衆からの評価は圧倒的に、「道化師の朝の歌」の方が高かったようです。

「海原の小舟」は、画家のポール・ソルドに献呈されました。

第4曲 道化師の朝の歌

モーリス・ラヴェル:道化師の朝の歌は、スペインでのある風景が描かれています。

それは、スペインの「チャラ男」と「娼婦」との一夜を明かした朝の風景

「チャラ男」とは、別の言い方では、いわば「伊達(ダテ)男」といえますが、要は、「軽薄」「浅はか」「ノリだけで生きてる」男の「朝の歌」なわけです。

また、朝の歌「Alborada (アルボラーダ)」の意味としては、音楽で言うところの「セレナード」に近いです。

「セレナード」とは、「夜の音楽」であり、夜、恋人の窓の下で歌う言わば「恋の歌」です。

そして「Alborada (アルボラーダ)」朝の歌とは、「朝」に歌う「恋の歌」とでも言えましょうか…。

 

つまり、「朝の歌」とは、「セレナード」の朝バージョンとも言えるものなのです。

「道化師の朝の歌」は、批評家のミシェル・ディミトリー・カルヴォコレッシに献呈しています。

第5曲 鐘の谷

「パリの、ところどころから鳴る教会の鐘の音からインスピレーションを得た」 とのことですが、なんとも静かな「鐘の音」ですね。

「鳴る鐘」というよりは、心の奥深いところから聞こえくる「かすかな鐘」との感想を持ちます

「鐘の谷」は、作曲家のモーリス・ドラージュに献呈しました。

【5枚の名盤の感想と解説】モーリス・ラヴェル:鏡

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モニク・アース:ピアノ

アルパカのおすすめ度★★★★★

【解説】

「涼やかな語り口」の春風のような優しさの名盤

フランスのピアニスト、アースによる、フランス的な着こなしの演奏は、まさしく「シンプルなのに洗練された、なんともニクイ聴かせ方」をさせてくれますね

心をさわやかにしてくれる柑橘(かんきつ)系の名盤です。

ガブリエル・タッキーノ:ピアノ

アルパカのおすすめ度★★★☆☆

【解説】

そのタッチやニュアンスに華やかなオシャレ感がありますね。

モーリス・ラヴェル:組曲「鏡」の、あまりにも、さみしげな雰囲気に飲まれそうで怖いときにはタッキーノの演奏はいいなという感想です。

少しノンビリとモーリス・ラヴェルの美感に触れたい時にも付き合いたい名盤です。

サンソン・フランソワ:ピアノ

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【解説】

音色が鮮やかで華やかな名盤ですね。

それでいて語り口が、どこかとなくデカダンスで、モーリス・ラヴェル:組曲「鏡」には合ってるという感想です。

そのキラキラと弾けるピアノとリズム感にも独特なノリの良さがあります。

それは、ジャズ音楽もこよなく愛したフランソワならでは…なのかも…。

そんな「カッコいいラヴェル」が聴ける名盤でも、またありますね。 

【モーリス・ラヴェルと速見御舟】儚く舞う「蛾」について

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アルパカの好きな、ひとつの絵があります。

 それが、速水御舟(はやみぎょしゅう)の「炎舞」

この速水御舟の描いた「蛾」と、モーリス・ラヴェルのピアノ組曲「鏡」第1曲の「蛾」

速水御舟の描く燃える炎スレスレに舞う、色とりどりの「蛾たち」の姿と、ラヴェルの描く、娼婦たちがスレスレで危険な世界を舞う姿とが、二重写しで見えてきます。

ちょっとの距離感を間違うと炎に燃やされて死に絶えるであろう「蛾たち」の危険で儚(はかな)い…そして、美しき飛翔

それは、まさしく「画家の速見御舟」と「音楽家ラヴェル」が表現した「妖艶」のカタチ。

古今東西の様々な芸術から共通点をさがす。

それも「音楽」や、その他の芸術との触れ合いの面白さ、醍醐味につながるように思いますね。

【解説と名盤、まとめ】モーリス・ラヴェル:組曲「鏡」

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さて、モーリス・ラヴェル:組曲「鏡」の、名盤のオススメと解説はいかがでしたか?

 

キラリと光る透明感のある名曲であり、儚げな美しさも感じられる、モーリス・ラヴェル:組曲「鏡」

少しゆったりした夜のひとときに聴いたりするとジンワリ心にしみてくる名曲です。

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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