光る、
古典形式♫
つむぐ、音の珠(たま)
転がる、コロコロ
音の珠(たま)…。。。
カラカラ笑って、遊ぶ魂(たま)
型にハマっているようで
楽しく遊んで自由自在…。。。
さて、今回は、そんな「不思議な魅力を放つ」ラヴェル《ソナチネ》。
解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】ラヴェル《ソナチネ》
ラヴェル《ソナチネ》についてのこんな解説があります。
簡潔なソナタ形式で書かれた第1楽章。優雅なメヌエットを第2楽章に置いて、フィナーレは大規模なロンド風のトッカータ。急、緩、急の3楽章構成はモーツァルトの末裔のもの。そこにセザール・フランクの伝統である循環形式のロジックが作用して、独得のソナチネ様式に変身したわけである。ソナチネとはいえ、クレメンティやクーラウの時代のものとはいささか違う。ソナタとしなかったのは、ラヴェルのはにかみであり、反ベートーヴェン的ポーズであろうか……。
出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」P180より引用
なんとも的を射た解説なことでしょう。
作曲の際、とても古典的な形式を重んじながら、完成した楽曲の印象は、
- 自由で
- 奔放で
- おおらかに
ラヴェルの音楽の持つ、美しさや個性が花開いているように感じます。
また解説にある「ラヴェルのはにかみ」というたとえも、古典形式美を目指しつつも、「結果的にはラヴェルらしい楽曲の仕上がりになったこと」に対してなのかも…。
【各楽章を解説】ラヴェル《ソナチネ》
それでは、各楽章について解説します。
ラヴェル《ソナチネ》は第1楽章から第3楽章までの3曲で成り立っています。
第1楽章 モデレ(中くらいの速さで)
- 流れるような第1主題…
- 思いわずらう第2主題…
- 味わい深い展開部…
ソナタ形式に沿いながら、ラヴェルらしいオシャレな趣きやいい意味での緊張感を含んだ響きがうれしい。
短くありながらも、どこか可愛らしさのあるラヴェル《ソナチネ》、はじまり、はじまり…という感覚の第1楽章です。
第2楽章 メヌエットの動きで
第2楽章もラヴェルらしい趣きが全体に行き渡ります。
メヌエットのテンポの優しい流れの中に、美しいメロディが淡々と展開します。
どことなく、とぼけたような「こっけいさ」があり、また「柔らかくもふくよか」な印象も感じられます。
こんなところにも「古典形式的な型」でありながら「新しさを含んだラヴェルらしさ」が表れていると感じますね。
第3楽章 アニメ(活き活きと)
はじけ、はじけて音の珠(たま)
はじけ
はじけて
ポロンポロン…♫
はじけ、はじいて、はじく時…
はじけて、はずむは、
ポロンポロン…♫
はじくの、はじいて、はじきたい…
はじきたくって、はじくんよ、
なにが悪いの、悪くない、
はじく、はじくは
ポロンポロン…♫
なんとも楽しげ、「音の珠(たま)たち、遊ぶさま…」ですね。
【名盤3選の感想と解説】ラヴェル《ソナチネ》
サンソン・フランソワ:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
「斜に構えた皮肉系…」な名盤。
フランソワの演奏は「自由でクールなラヴェル」を聴きたい時にグッと来ます。
眉間にシワを寄せつつカッコよく…ぷかり…たばこの煙…。
そんな印象…かな(ま、わたくしアルパカはタバコはやらないのですが…)(汗)
まあ、もしかしたら好き嫌いがハッキリ出る名盤とも言えるかもです。
マルタ・アルゲリッチ:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
クールな中に「華やかさ」が感じられる名盤です。
フランソワの名盤が「男性的クール」だとするならば、アルゲリッチの名盤は「女性的クール」とでも言えましょうか。
速めのテンポで切れ味良く弾いています。
音の流れ、ひとつひとつの音の珠(たま)の踊る姿にキラリと光るセンスを感じますし心地良いのですよね。
フランソワと比べますとアルゲリッチのほうが一般ウケはするかもしれません。
モニク・アース:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
フランソワや、アルゲリッチという「キラキラと才気走った表現」はいいものですが、長く聴いていると疲れることも…。
そんな時は、マイルドなアースの名盤はいいですね。
ラヴェルの持つ音楽の良さのひとつである「優しさ」に満ちていて好感が持てます。
「クールなラヴェルが好み」という方にはイマイチなのかもしれませんが、ラヴェルの音楽の中にホッコリ要素も感じたい時にピッタリな名盤です。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】ラヴェル《ソナチネ》
さて、ラヴェル《ソナチネ》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
とても愛しいラヴェルの小品、《ソナチネ》。
「本当の自由」って、ただの『奔放さ』の中には無くて、ある程度は「昔から良しとされてきた型を大切にする」ところにも存在するのかな。
ラヴェル《ソナチネ》を聴いていると、ふと、そんなことも思ってしまいますね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。