アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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ヘンデル:ハレルヤ【メサイアより】【解説とオススメ名盤5枚】特徴と感想

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超有名!!ハレルヤコーラス

晴れやかな18世紀のエンタメ!

ヘンデルの元気になれる1曲♫

ヘンデルの時代からクリスマスになると聴こえてくる、その親しみやすさが特徴の《ハレルヤ》

また、誰もが知っているヘンデルの名曲でもある《ハレルヤ》

その《ハレルヤ》が収録されているオラトリオ《メサイア》についての解説と5枚のおすすめ名盤の感想です。

【解説】ヘンデル:ハレルヤ【メサイアより】

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ヘンデル:ハレルヤの有名なエピソードを含む、こんな解説があります。 

《メサイア》は1741年、作曲家56歳のおりに作曲され、(中略)聞く者の心をおしつつんでしまう名作です。

第2部の結びの〈ハレルヤ・コーラス〉はとくに有名で、この曲がロンドンで演奏されたおり、臨席中のイギリス皇帝があまりの感動に立ちあがって敬意を表し、全員これにしたがったと伝えられています(中略)

今日なおメサイアはクリスマス前後に慈善のために演奏されることがすくなくありません。

出典:皆川達夫 著 「バロック名曲名盤100」P212より引用

【成りたち】ヘンデル:メサイアより

ヘンデル:メサイアの「メサイア」とは救世主、イエス・キリストのこと。

そして曲はイエス・キリストの生涯の中で起き「印象的な出来事」を描いた音楽で「オラトリオ」というジャンルになります。

「オラトリオ」とは音楽で表現される物語です。

オペラと違って「演技」や「舞台演出」「衣装」などの必要がないのがその特徴です。

それは、純粋に「歌と音楽のみ」で物語を伝える手法を取る音楽だからです。

イエス・キリストを描いたクラシック音楽の中でも、とても「ほがらか」で「シンプルにメロディが美しい」という感想も持ちます。

ヘンデル:メサイアは曲としては50曲近くあり、3部構成となっています。

内容としては

  • 第1部 メサイア生誕の予言と降誕

 

  • 第2部 メサイアの受難と復活

 

  • 第3部 メサイアの永遠の生命

 

と、なります。

これについては後述します。

 

【作曲エピソード】ヘンデル:メサイアより

ヘンデルが40歳代の後半を迎えるころオペラブームが去り、オペラ作家でもあったヘンデルは、経済的な苦境がおとずれます。

それとともにヘンデルは、リウマチをわずらい体調的にも困難を経験します。

そして温泉療養などの効果もあり、ヘンデルは時を経るごとに健康を取り戻していきます。

しかし、作曲活動自体は引き続き不調が続いていました。

そんなおり、ヘンデルの友人であり作家でもあるジェネンズがオラトリオの台本を執筆し、ヘンデルに作曲を依頼します。

これがメサイアでした

この中でもとくに有名なのが《第44番 ハレルヤ》です。

そして、この他にも《第20番 この方は侮られて》はヘンデルが涙を流しながら書いている光景を召使いに目撃されています。

また、ヘンデルは《メサイア》全曲を24日という驚異的なスピードで書きあげたと言われています。

そして作曲中は、次つぎとあふれ来てやまないインスピレーションのために筆が追いつかず、略号で書かれていることがその自筆譜からわかります。 

そんな「充実の極み」とも言えるヘンデルの《メサイヤ》は名曲と呼ばれるようになというのはよく理解できますね。

 

【ハレルヤの歌詞】ヘンデル:ハレルヤ【メサイアより】

では、もっとも有名なハレルヤの歌詞を解説します。

ちなみに「ハレルヤ」とは「神をほめたたえよ」の意味があります。

歌詞:

『ハレルヤ、全能の主、われらの神は統治(すべしら)すなり』

(ヨハネの黙示録 19:6) 

 

『この世の国は我らの主(しゅ)および其(そ)のキリストの国となれり。彼は世々限(よよかぎ)りなく王たらん』

(ヨハネの黙示録 11:15) 

 

『王の王、主の主と記(しる)せる名あり。』

(ヨハネの黙示録 19:16)

 

出典元:文語訳「新約聖書」(岩波書店刊)

 以上のような内容を、英語によってほがらかに、そして楽天的に、堂々と謳(うた)い上げています。

そして、なんとも心を素直で明るいところへと連れていってくれるという感想です。

本来、宗教音楽というと重厚で思いつめた内容のアンダーな雰囲気といいますか少し暗めなイメージがあります。

それなのにヘンデルの《ハレルヤ》をはじめとした《メサイア》全曲は基本的には明るめの楽曲であるところが特徴です。

これは、現代で言うところの「エンターテインメント」の要素があるという特徴も感じますね。

90年代の映画で「天使にラブソングを」という映画がありました。

ナイトクラブの歌手デロリスはマフィアのボスの殺人現場を目撃してしまい、マフィアに追われる身となります。

一時、修道院に身をひそめて生活をはじめます。

そこで歌われる退屈な聖歌をノリのいい曲にアレンジして街の話題になるという内容でした。

宗教的な教会音楽を多くの人たちに伝わりやすいカタチにしたという意味では《メサイア》も少し通じるものがあるのではないかという感想を持ちます

いわばヘンデルのメサイアは、18世紀に響く「エンタメ」であり、「ラブソング」でもあった」という感想も持てますね。 

【全3部を解説】ヘンデル:ハレルヤ【メサイアより】

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それでは3部構成のヘンデル:メサイアの内容や特徴などを解説します。

ヘンデル《メサイア》の特徴としてはメサイア(救世主)イエス・キリスト自身が描かれていることはむしろ少ないです。

それよりはイエス・キリストがあらわれる以前の旧約聖書の記述を歌にしている部分が多いです。

つまり、いずれメサイア(救世主)があらわれて「こんなことを行い、こんな人生になる」という予言を歌うわけです。

そして新約聖書の記述も歌いながら「旧約聖書の預言はこのようにして現実となった」という展開をもつ内容となっています。

では、ヘンデル:《メサイア》のあらましを解説します。

【第1部】 メサイア生誕の予言と降誕

  • 「後に、メサイア(救世主)が現れるのだから、荒地は道になれ、そして万象万物すべて、その栄光の前に敬意を表しなさい。」

 

  • 「おとめが子を宿し、男の子を産み、名を『エマヌエル』とするであろう。」

 

以上のようなメサイア(救世主)、イエス・キリストが生誕する前からのことが歌われていきます。

 

また、この後はメサイア(救世主)、イエス・キリストが生まれたことが歌われていきます。

  • 「みどり子が、我らのために生まれたのである。我らはひとりの子を、たまわった。世の平安は、そのひとり子に委ゆだねられ、『晴れ晴れしい方、救いの言葉、威神力、永久なる父、平和の人』と言われよう。

さらに、

  • 「目の見えぬもの、耳のきこえぬものも、そのさまたげが取り払われるであろう」

などと歌われていきます。 

【第2部】 メサイアの受難と復活

まずはメサイア、イエス・キリストの受難が歌われます。

  • 「見よ、世のつぐなうべく現われた神の子ひつじを。」 

と歌われ、さらに、十字架を背負いてゴルゴダの丘をゆくイエス・キリスト。

  • 「弟子たちは神のひとり子であるイエス・キリストを見捨てて逃げた。それなのに主は私たちの罪をイエス・キリストに負わせた。」

そして、

  • 「この方は、この地上から断たれた」

と、死をイメージする歌が続きます。

しかし、メサイア、イエス・キリストは復活します。

そして、ハレルヤ・コーラスが盛大に歌われ、第2部はフィナーレを迎えるわけです。

 

【第3部】 メサイアの永遠の生命

  • 「地上の死よ、お前のトゲはどこにあるのか、おお墓よ、お前の勝利はどこにあるのか。」

そんな「地上における死」が歌われます。

そして、

  • 「メサイア、イエス・キリストを通じて、私たちに勝利を手に入れたのである。」

と歌われ、

さらに

  • 「神が私たちと共にあるならば、誰が私たちに敵するものがあろうか?メサイア、キリストがよみがえり、今。神の右に座したまいて、私たちのために、おとりなし下さるというのに…」

このような内容が歌われながらヘンデル:メサイアはフィナーレを迎えるのです。

  

【5枚の名盤の感想と解説】ヘンデル:ハレルヤ【メサイアより】

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ジョン・エリオット・ガーディナー:指揮 モンテヴェルディ合唱団 イングリッシュ・バロック・ソロイスツ

アルパカのおすすめ度★★★★★

【解説】

なんとも控えめでつつましく、そして上品な名盤という特徴です。

「メサイア(救世主)」だからといって「仰々しく演奏するべき」ということはないのですね。

聴いていると「謙遜の美徳」とでもいえる特徴の名盤と感じます。

ハレルヤコーラスでもその「謙遜の美徳」からくる優しさが特徴となっています。

「とにかく温かい」そんな名盤でもあります。 

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トン・コープマン:指揮 アムステルダム・バロック管弦楽団

アルパカのおすすめ度★★★☆☆

【解説】

無骨でありながら素朴、田園における土や草の香りが漂っている名盤です。

それが不器用で聴きづらさにはなっているかもしれません。

しかし、その響きの中からは「飾らない心、純朴な精神とでもいうものが感じられる」ところが特徴です。

当時のヘンデルの思いや、また当時の実際の演奏とはどのようなものだったのかを熟考した上で表現されたものとの感想と特徴を感じる名盤です。

ハレルヤコーラスでは「田園の風をほほに感じた時のようなさ純粋さ」です。 

 

アンドルー・パロット:指揮 タヴァナー・プレイヤーズ、合唱団

 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【解説】

スカッとしたハレソラ(晴れ空)を感じる楽天的で開放感のある名盤です。

ハレルヤコーラスでも

ハレソラ♫

ハレソラ♫

ハレソラ♫」

と歌っているような特徴の名盤です。

演奏は楽天的でもセカセカした感じはなく力を抜いた自然体の聴き心地です。

この名盤をデフォルト(標準)にして、さらに特徴的な名盤たちに触れるのもアリですね。

 

クリストファー・ホグウッド:指揮 エンシェント室内管弦楽団、 

 

アルパカのおすすめ度★★★★★

【解説】

透明感のある純粋な「天使たちの歌」という特徴があります。

エマ・カークビーのビブラート(声をふるわせる)を使うことのない純粋な「天使の歌声」

さらに本来、女声合唱のところを少年合唱団にしていることもその特徴の幅をひろげている名盤です。

ハレルヤコーラスではその「透明感あふれる歌声が天に届いてる!」

そんな感想をストレートに感じる名盤でもあります。

 

オットー・クレンペラー:指揮 フィラデルフィア管弦楽団

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【解説】

荘厳(そうごん)!

重厚(じゅうこう)!

壮麗(そうれい)!

つまり、おごそかであり、ずっしりと重く、行儀よく整った美しさが特徴の名盤です。

ハレルヤコーラスでも、少しスピードを遅めにして、まぶしいくらいの華麗さを展開します。

普段、ヘンデルの当時の演奏方式で聴くことが多い《メサイア》です。

でもこの豪華な演奏で聴くと、現代にヘンデルがいたら、このような演奏を展開してみようと目論(もくろ)む可能性もあるのかも…。

そんな感想を持てる、ある意味での特徴ある名盤です。

 

 

【解説と名盤、まとめ】ヘンデル:ハレルヤ【メサイアより】

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さて、ヘンデル:ハレルヤをおさめたオラトリオ《メサイア》の解説と名盤のオススメは、いかがでしたか?

「日本では、宗教色の濃い内容の音楽などは、受け入れられにくい」ということがあります。

でも、当時としては、中なかのエンターテイメントの域まで行っていたと思います。

そして、それは現代でも「聴きやすい」クラシックのひとつになっている原因になっているという感想です。

とくに《ハレルヤ》コーラスの素晴らしさは朽ちることがありませんね。

たまにはジックリと腰を据えて18世紀のエンターテインメントにふれるのも悪くないですね。

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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