アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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マーラー:交響曲第3番【解説と名盤3選の感想】

広がる大自然!

光、注ぐ

巨大な交響曲♫

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君、もう眺める必要はないのだよ。(この大自然は)私が全て音楽で描ききってしまったのだから…

マーラーの元に訪れた弟子のワルターに語ります。

大自然が語るものをマーラーが聴き取ったものとは…

  • 牧神(パン)
  • 牧場の花
  • 森の動物
  • 人(夜)
  • 天使
  • 愛…

そして、マーラー自身が聴き取ったものを「音楽で語ったもの…」

 

今回は、マーラー:交響曲第3番解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】マーラー《交響曲第3番》

楽章数だけでも6つ、演奏時間は100分を超える大曲である。マーラーは、この曲に「真夏の朝の夢」という標題をつけ、また、各楽章にも、それぞれ「森の動物がわたしに語るもの」(第3楽章)、「天使たちがわたしに語るもの」(第5楽章)といった題をつけており、標題性のたいへん強い音楽となっている。曲の内容は、それまでの「第1番」や「第2番」とはうって変わって、「大自然」への愛を歌ったもので、全体にメルヘン的で、幻想味にあふれたものとなっている。

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P69より引用

1891年、マーラーはハンブルク歌劇場に就任します。1893年6月から9月までの休暇の間、マーラーはアッター湖畔のシュタインバッハで過ごすようになります。

はじめの頃は妹のユスティーナや女友達でヴィオラ奏者のレヒナーを伴い旅館で過ごすようになります。1894年からは湖畔に作曲小屋を建てて、毎年6月から9月までを作曲をして過ごすようになりました

作曲小屋でのマーラーの生活は規則正しいもので、朝は6時半に起床して午前中は作曲に専念します。午後は昼食と会話を楽しんだ後はアッター湖畔を散策しながら森や牧場で森林浴を楽しみ、夜は会話と読書をして過ごしました。

緑深き中を鳥たちは楽しくさえずり動物たちは心置きなく駆け回る。そんな環境の中で交響曲第3番は作曲され1896年に完成を見ます。

この間、14歳年下の弟オットーがピストル自殺してしまうという不幸がマーラーを襲いますが曲調として暗さという要素は感じられません。

1896年、ハンブルク歌劇場でマーラーの助手を勤めていたブルーノ・ワルターはシュタインバッハに滞在するマーラーを訪れます。汽船でやって来たワルターでしたが到着したワルターが湖畔を見渡して感嘆しているとマーラーは冒頭の言葉を語ります。

君、もう眺める必要はないのだよ。(この大自然は)私が全て音楽で描ききってしまったのだから…

 

全曲の初演:1902年6月9日ドイツ、クレーフェルト全ドイツ音楽連盟の音楽祭にて

指揮:マーラー自身

編成:

弦5部、フルート×4(ピッコロ持ち替え)、オーボエ×4(4番は小ラングレ持ち替え)、クラリネット×3(3番はバルクラリネット持ち替え)、小クラリネット×2(2番はクラリネット持ち替え)、ファゴット×4(4番はコントラファゴットに持ち替え)、ホルン×8、ポストホルン、トランペット×4、トロンボーン×4、チューバ、ティンパニ×2(各3台)、大太鼓、小太鼓、軍隊用小太鼓、シンバル付き大太鼓、タンバリン、トライアングル、タムタム、グロッケンシュピール、鐘×4or6、ハープ×2、アルト独唱、児童合唱、女声合唱

※交響曲第3番は当初は第7楽章まであり初演もこの形で行われました。その後第7楽章は交響曲第4番の終楽章に転用されました。

 

【各楽章を解説】マーラー《交響曲第3番》

※マーラーが書く楽章に付けた表題は最終的には削除されました。ただ各楽章の性格をよく表しているためここでは表記してあります。

第1楽章 牧神(パン)が目覚める、夏がやってくる

タータータータタータ♫

高らかに歌われる《交響曲第3番》の象徴的なメロディで始まります。

しばらくすると強風を伴った雷雨を思わせるような曲調へと暗転します。これが幽玄な印象を持ちながらゆったりとしたテンポで進行します。

しばらくすると弾むように刻まれるリズムとともに大自然が明るく始まっていく朝を思わせるような行進曲風な曲調へと変わっていきます。

  • 歌う鳥
  • 駆け抜ける、動物!
  • 自然の持つパッション!!

いなる自然にあるび、ちあふれん

そう、まさしくマーラーによる自然讃歌こそ交響曲第3番の本質であり、その始まりの第1楽章です。

第2楽章 牧場の花が私に語ること

第1楽章とは打って変わっての穏やかな曲です。表題のとおり「牧場の花が語りかけてくる」ようなメルヘンチックな内容であり、聴くものを優しい気持ちへと導いてくれます

第3楽章 森の動物たちが私に語ること

クラリネットやホルン、トランペットが楽しみながらアッター湖畔にこだまする鳥たちのさえずりや動物たちの歌を奏でます。マーラー自身が作曲した歌曲集《若い日の歌》の中の「夏の歌い手の交替」からもメロディが引用されています。

 

第4楽章 人(または夜)が私に語ること

アルト独唱で歌われている歌は哲学者のニーチェの作品《ツァラトストラはかく語りき》の第4部「酔歌」の中からの引用になります。深い夜の世界へと沈潜していくような瞑想的な印象のある楽章です。

おお、人よ!心せよ!

深き夜は何を語りしか?

我は眠りに堕ちていた…

深き夢から我は覚め…

そう…世界は深し…

昼に思う現実とは、

世界のほんの一部

うつろなるもの…

世の嘆きは深く…

それを超え、喜びさらに深し…

人間に向け、嘆きは語る

「消えうせろ!」

されど、喜びは求める

永遠(とわ)なれと…

深い永遠(とわ)をこそを求めると…

 

第5楽章 天使(または朝の鐘)が私に語ること

「イエス・キリストを裏切ったペテロに対する許し」が歌われます。天国からの許しの光を天使たちがその声を使って鐘の音を奏でます。

「ビムバム!」

天国から明るく朗らかな光が降り注ぐ中で「許しの歌」が始まります。

《児童合唱》

ビム・バム、ビム・バム…

ビム・バム、ビム・バム…

 

《女声合唱》
天使3人、楽しい歌を歌ったよ

天国に、祝福の歌がこだまする

3人の天使たちは歓びの声をあげる

「ペテロの罪が許された!」

主イエス12人の弟子たちと席につかれて

晩餐を取りながら、たずねられました

「あなたはそこで立ち尽くしてどうされたのです?

よく見ると泣いているようにみえますが」

 

《アルト》

「これが泣かずにおられましょうか?

心お優しい主イエスよ

私は十戒を破ってしまったのです

外に出て、激しく泣きたいのです」

 

(泣かないで!泣かないで!)

 

ああ、どうか、この私をあわれんでください!」

 

《女声合唱》

「十戒を破ったとお思いならば

ひざまずいて神にお祈りしなさい

いかなるときも神を愛するのです

さすればあなたは

天国の喜びを得ることでしょう」

天国の喜びとは祝福された都のよう…

天国の喜びは永遠(とわ)に

終わることがありません

この天国の喜びはペテロに与えられた

主イエスは、全ての人たちを

幸福にしてくださることでしょう

 

第6楽章 愛が私に語ること

世界の暗きことを歌った第4楽章とキリスト教的な許しを歌った第5楽章でしたが第6楽章にいたって深い平安の境地へと導かれます。冒頭、この世の持つ根本的な暗さを描きながら曲が進むにつれて音楽が光へと昇華されていくのです。

マーラーの持つ究極の美感がふんだんに含まれていて興味が尽きません。交響曲第3番を作曲中に弟を亡くしたことは書きました。

この大きな悲しみもこの最終楽章の持つ慈しみの思いに影響しているのかもしれません。マーラーによる救いへの願いのようにも聴こえてきます。

マーラーが大規模な交響曲をたくさん遺した中で、もっとも巨大な交響曲の最終楽章を飾るのにふさわしい感動的な1曲です。

 

【名盤3選の感想と解説】マーラー《交響曲第3番》

 

ベルナルト・ハイティンク:指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

柔らかくふくよかなアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の美感をいかんなく引き出す指揮者のハイティンクのセンスが光る名盤です。

風光明媚な風景が広がる様を想像できる交響曲第3番です。勇ましすぎてはよくありませんし大人しすぎても大自然のダイナミックな魅力がでません。

普段は折り目正しい演奏をするハイティンクですが、ここでは交響曲第3番のもつダイナミックさが程よく引き出されていて好感が持てます。

懐の深さと言いますか情感のようなものもたっぷりと味わえる幸福感の高い名盤でもあります。

 

クラウディオ・アバド:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

高貴な香りと円熟した技術の魅力が合わさった名盤です。指揮者のアバドがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の気品を失わない力強さでドライブした素晴らし交響曲第3番です。

ジェシー・ノーマンの深みのある声とウィーン少年合唱団の歌は天使たちの声そのものという印象です。マーラーの交響曲の中でも柔らかさが魅力の曲となるとアバドとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の特徴ががぜん活きてきます

バランスが良すぎるところはありますが、それくらいでないと長い曲を聴き通すことは難しいものです。そういった意味で素晴らしい名盤と言えそうです。

 

レナード・バーンスタイン:指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

こちらはアバドの名盤とは真逆の印象でエッジの効いた名盤です。自然を描いた交響曲だからといって大人しすぎても面白くありません。

自然の中には調和的な包容力もあれば、ダイナミックな生命力をも内に秘めた存在です。「目の前の広大な自然が色鮮やかに迫ってくるインパクトの強い音楽」が響き渡ります。

それがバーンスタインが指揮しニューヨーク・フィルハーモニックが実現した交響曲第3番です。とても元気の出るビタミン注入系の名盤。聴くとエネルギーを与えてくれる貴重な名盤でもあります。

 

【まとめ】マーラー《交響曲第3番》

 

さて、マーラー《交響曲第3番》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

  • 牧神(パン)
  • 牧場の花
  • 森の動物
  • 人(夜)
  • 天使
  • 愛…

そして、マーラー自身が聴き取ったものを「音楽で語ったもの…」

大自然の中で過ごした夏休みに、その大自然から受け取ったものをマーラーが音楽の伝言をしてくれました。

普段、なかなか大自然と遊ぶということが少なくなった現代人ですがマーラーの《交響曲第3番》を聴きながら目を閉じてみませんか?

あなたの心の内には緑豊かな大自然と鳥たちや動物たちの歌が聴こえてきますよ。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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