アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)【3枚の名盤を解説と感想】(前編)素朴で清らかな微笑み

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雨が止んだあとに雲のすき間に差す光のような、やさしい風景が想像できる。そんな印象のメロディの美しさですね。


聖なる母、マリア様、どうか私たちのためにお祈りください/ Ton Koopman

(youtubeをポチって音楽を聴きながら読んでみてくださいね。”iPhoneの場合は全面表示されてしまったら2本指で内側にむけてピンチインしてください。”)

【楽曲の解説】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)「聖母マリア様、私たちのために祈ってください」

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こんな解説があります。

妻を失ったモンテヴェルディの生活は、主君ヴィンチェンツォ一世の気紛れな性格によって、さらに暗くなってゆきました。マントヴァ宮廷を去る決心を固めかけた時に、この記念すべき宗教作品が誕生いたしました。1610年のころ、彼が新しい仕事を求めてローマにおもむいたおり、この晩課曲(晩課とは、夕べの祈りのこと)はもう一曲のミサ曲とともに、ローマ教皇パウルス5世に献上されたのです。(中略)このマリア被昇天の祝日(8月15日)の晩課(夕べの祈り)のための音楽は、そのスケールの大きさ、内容の充実の点で際立ってすぐれています 。

出典:皆川達夫 著 「バロック名曲名盤100」より引用

【楽曲の感想】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)「聖母マリア様、私たちのために祈ってください」

では、モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べのための祈り(晩課)」のうち【聖母マリア様、どうか私たちのためにお祈りください】という1曲についての感想です。

(「めでたし海の星」という、もうひとつの名曲については後編で解説します。)

テンポや、おもむきを変えながら、「聖母マリア様、どうか私たちのためにお祈りください」という言葉が11回くりかえされながら、歌い進められていくという、いたってシンプルなつくりの1曲です。

そして、きっとその素朴さがよいのでしょう。

たんたんと刻まれるリズムにのって必要最低限のシンプルに編成された合奏と、少人数の合唱がこの名曲を引き立てます。

この後、名盤も紹介しますが、心の底のほうまで、気持ちを明るくしてくれる感覚です。

冒頭でも書きましたように、「雨が止んだあとに雲のすき間に差す光」を感じたときのうれしさを思い出します。また、赤ちゃんが、安心してお母さんに全てを託して、笑ってる。

そんなイメージでしょうか。

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【4枚の名盤を解説】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)「聖母マリア様、私たちのために祈ってください」

この曲を初めて聴いたときは、17世紀という古い時代に、こんなにも人の感性にやさしく語りかけてくる音楽が、存在していたのかという驚きでした。

巨大で、豪勢な教会をみて、圧倒されることは、ありますが、このモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」は静かな郊外にひっそりとたたずむ、こじんまりとして、毎日のお掃除もかかさない、そんな心地よい教会のイメージですかね。

この曲は「豪華さ」では、ごまかすことができないある面での演奏の難しさがありそうですよね。

そんな中、見事に「『心地よい教会のイメージ』にみちた名盤」を2枚を紹介したいと思います。

アンドリュー・パロット:指揮&タヴァナー・プレイヤーズ

 ソプラノ(女声のもっとも高い音域)のエマ・カークビーの声のかわいらしさがこのアルバムのルクス(明るさ)をいちだんと上げることに成功しているように思います。

また、エマ・カークビーはビブラート(意識的に声をふるわすこと)を使いません。ただ、みずからの声を飾ることなく、純粋に歌い上げるのです。

この「可愛らしさ」こそ、このアルバムが名盤であるということを証明していると言えますよね。

「めでたし海の星」の歌唱においても、祈りと癒しと、やさしさをそよ風のごとく運んできてくれますね。

バックの演奏も、モンテヴェルディがおそらく目指したであろう素朴で清らかな表現を実現しています。

それが、「名盤」の「名盤」たるゆえんといえるかも。

ジョン・エリオット・ガーディナー:指揮&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ

これほど一般の評価が高く、理想的な演奏の名盤も珍しいかもしれませんね。
その理由はこうです。

指揮者のジョン・エリオット・ガーディナーは幼少の頃から聖歌隊で歌い、15歳を迎える頃には聖歌隊の指揮者をしています。

また、ケンブリッジ大学に在学中、このモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」の演奏を聴き、痛く感動したらしく、自分で「モンテヴェルディ合唱団」なる団体を設立して、モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」を演奏して広めます。

本来、ケンブリッジ大学では、歴史学とアラビア語を専攻していたにもかかわらず、その学問の修得とともに、音楽も精力的に学びます。

その後、指揮者としてデビューするわけですが、つねにジョン・エリオット・ガーディナーの音楽の原点にはモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」があると言われていますね。

ルネ・ヤーコプス:指揮&オランダ室内合唱団、コンチェルト・ヴォカーレ

このアルバムを指揮するルネ・ヤーコプスは少年時代、ベルギーの都市、ヘントにある聖バーフォ大聖堂の少年合唱団で活躍します。

その頃はテノール(男声のもっとも高い音域)としての活躍でしたが、その後、カウンターテナー(女声に相当する高音域)に転向します。

それと並行するように、バロック時代(16世紀後半から18世紀中頃)の歌唱法を研究し、歌い、評価が高まります。

みずから歌い、「歌」を極めた経歴を持つ、ヤーコプス。

だからこそ、このモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」の深い理解と共感がにじみ出るのだと思います。 

フィリップ・ピケット:指揮 ニュー・ロンドン・コンソート

「飾り気」の排除と、そこから産み出される純朴な響き。

それは、すなわち、敬虔な信仰者による、ほほえみを含んだ祈り。

すこしの素っ気なさがありながらも、このモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」の包み隠さない本来の「歌」が楽しめます。

以上、「3枚の名盤」と言えるアルバムの紹介でした。

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よく晴れた気持ちのいい日、とくに目的もなく、町をてくてくと歩いていて、すれ違うのは、赤ちゃんとお母さん。

お母さんは、赤ちゃんを一生懸命あやします。

そして、それに答えるように、

赤ちゃんは、「ばあ、ぶう。」「けらけら。」と声をたてて満面の笑顔。
それは、まさしく天使のほほえみ。

そんな風景に出会ったときに、ふと聴きたくなるのがこのモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」ですね。

とくに、その何曲かある中の【聖母マリア様、どうか私たちのためにお祈りください】という1曲は、心がふさいでしまったときなどに、ふわっとやさしい光を投げかけてくれます。

【解説と名盤、まとめ】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)「聖母マリア様、私たちのために祈ってください」

さて、モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)「聖母マリア様、私たちのために祈ってください」、名盤の紹介と解説はいかがでしたか?

モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)の名盤を聴くことで、素朴でシンプルな心に立ち返って、日ごろの焦る心や、つかれた体を癒やしてみませんか?

 

そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

今回は以上になります。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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↓(関連記事)前編につづき、後編も… 

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