アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)【3枚の名盤を解説と感想】(後編)素朴で静かな祈りのとき

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凪いだ湖面と、かすかな風の音に耳をすませば、心のうちに眠っているこんな音楽が奏(かな)でられ始めます♬


めでたし、海の星

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【楽曲の解説】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)

前回のモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」(前編)に引き続き、この中の、別の1曲であるところの【めでたし、海の星】を名盤とともに紹介していこうと思います。

モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)のような古い時代の音楽についての解説があります。

1970年代から始まった古楽ブームも…過去の静けさに憧れる、一つの形かもしれない。きわめて素朴で単純な形式と、喜怒哀楽を実に素直に表現した音楽。その旋律を、古い楽器や、昔の演奏スタイルで現代的に再現した演奏が、さかんにもてはやされるようになった。一つには、こうした古い時代の音楽の研究が進んだ結果でもあるが、めまぐるしく動く現代社会に生きる人々が、そうした中世・ルネサンスの素朴な音楽に、心の安らぎを求めているせいかも知れない。なにか不思議な気がしてならないが、それらは、今聴いてみても、けっして違和感がない。むしろ、新鮮で強烈な感動を呼ぶのである。

出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P371より引用

【楽曲の感想】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)

「敬虔(けいけん)」という言葉があります。
この言葉は、普段、使うことがなければ、聞くことすらもありません。意味として

「信仰する対象を、深く敬(うやま)うことで、身をつつしみ、また、つとめるさま。」とでもいうことでしょうか。

日本では、日々のなかで、信仰するということは、なかなか無いものです。

でも、このモンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)を聴いていると、冒頭で紹介した話とともに、ふと、そんな信仰生活を送る人たちのことを考える機会になりますね。

では、このモンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)の中の【めでたし、海の星】の内容を見ていきたいと思います。

【めでたし、海の星】

めでたし海の星

いつくしみ深き、神の、御母(みはは)

乙女のままなりしお方

幸福な天の門。

「めでたし」のお言葉を

ガブリエルの口より受けて。

われらに平和をお与えください。

エヴァに変わりし、あなた。

罪の鎖にとらわれし、人びとのかせを解き放ち、

目の見えぬ人びとに、光をもたらしたまえ。

我らの悪をとりはらい、

すべてのものの恵みを願いたまえ。

わたしたちの母でも、あることをお示しください。

われらのために、

あなたをもって生まれられた方が、

われらの祈りを、お受けとり下さいますように。

いとすぐれたる、尊き乙女、

地にある、どの者よりも心優しきお方、

われらを罪より解き放ち、

優しくまた、汚れなきものと、なさしめたまえ。

われらの生涯を、清らかならしめたまえ、

安らかなる道を開き、

イエスと会わせてください。

ともに幸福でありますように。

父なる神に栄光を、

至高なるイエスと、

聖霊をたたえ、

すべてに栄光と賛美を。

アーメン。

(ウィキペディアなどから引用)

以上、この「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」【めでたし、海の星】の訳についてみてきました。

これがモンテヴェルディの作曲した音楽に乗って流れ始めると、それこそ「敬虔(けいけん)」さとは何かということが、モンテヴェルディの音楽を通じて、伝わってくるようです。

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【名盤CD4枚を解説】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)

まあ、それはさておきまして…(;´∀`)

ここで、2枚の名盤を紹介していきます。

この2枚の名盤のそれぞれの聴き方のポイントなども書いていこうと思います。

ルネ・ヤーコプス:指揮&オランダ室内合唱団、コンチェルト・ヴォカーレ

 このアルバムを指揮するルネ・ヤーコプスは少年時代、ベルギーの都市、ヘントにある聖バーフォ大聖堂の少年合唱団で活躍します。

その頃はテノール(男声のもっとも高い音域)としての活躍でしたが、その後、カウンターテナー(女声に相当する高音域)に転向します。

それと並行するように、バロック時代(16世紀後半から18世紀中頃)の歌唱法を研究し、歌い、評価が高まります。

そんな古き時代の「歌」に精通したヤーコプスの指揮するこの「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」のアルバムは全体として素晴らしいのはもちろん、【めでたし、海の星】で聴かせる、その静謐(せいひつ)とも言える安らかさや、美しさは他に類を見ないものですね。 

ジョン・エリオット・ガーディナー:指揮&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ

このCDはモンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)名盤(前編)でも紹介しましたが、さらに解説していきます。

このアルバムのモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」の録音は、聖マルコ大聖堂でおこなわれました。

そして、ここは、作曲者のモンテヴェルディが実際に楽長をつとめていたということで、それがこのCDの注目点なのですよ。

ルネサンスの時代のモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」がまさしくこんな演奏だったのかもしれません。

石づくりの大聖堂の高い天井のあるところならではの、美しい響きとノビのある残響(ざんきょう)。

これは筆舌に尽くしがたいところがあります。

前編でも書きましたが、一般の評価が高く、理想的な演奏の名盤CDと言っていいと思います。

いかがでしょうか。

みなさんのお耳を、ちょっと拝借。

目をつぶって、耳をすませば、17世紀のイタリア、ルネサンスの時代へタイムトラベルできるかもしれませんよ。

フィリップ・ピケット:指揮 ニュー・ロンドン・コンソート

「めでたし海の星」の部分は、他の名盤に比べますと、とても速いテンポで、淡々と歌われていきますね。

でも、こんな感情を入れずに、素っ気ない。

そんな語り口が、このモンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)の本来のカタチなのかもしれないなと思ってしまいます。

16世紀の「過去の歌世界」へと時空を超えるような感覚の演奏ですね♫ 

アンドリュー・パロット:指揮&タヴァナー・プレイヤーズ

 ソプラノ(女声のもっとも高い音域)のエマ・カークビーの声のかわいらしさがこのアルバムのルクス(明るさ)をいちだんと上げることに成功しているように思います。

また、エマ・カークビーはビブラート(意識的に声をふるわすこと)を使いません。ただ、みずからの声を飾ることなく、純粋に歌い上げるのです。

この「可愛らしさ」こそ、このアルバムが名盤であるということを証明していると言えますよね。

「めでたし海の星」の歌唱においても、祈りと癒しと、やさしさをそよ風のごとく運んできてくれますね。

バックの演奏も、モンテヴェルディがおそらく目指したであろう素朴で清らかな表現を実現しています。

それが、「名盤」の「名盤」たるゆえんといえるかも。

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見渡す限りの山と草原とに囲まれた田園風景の中、気持ちよく歩いて来たのは、いいものの、少し疲れも出てきはじめています。

ちょっと一休みしようと思って見渡してみると、可愛らしく、とんがった屋根の上に十字架。

こぢんまりとした可愛らしい教会が見えます。

そのちいさな扉をひらくと、整然とならぶ木造りの長イスと、すみずみまで掃除が行き届いた静かな空間。

必要以上のものはなにもなく、すっきりと過不足なくそろった中での心地よい空気。

しばらくすると、初老の女性がやってきて、「こんにちは。どちらからいらっしゃたのですか?」と声をかけてきます。

底抜けにひとが良さそうで、それでいて、押し付けがましいところをまるでない。

アルパカも

「こんにちは。東京からきました。」と、ひとこと言いながら、

「少し、休んでいってもいいですか?」とたずねます。

「どうぞ、ごゆるりとお体を休めてくださいまし。」となんとも、人がらも芳(かんば)しい。

そんなとき、ふと浮ぶのが、このモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」という曲。

その中でも、何曲かあるうちの、とりわけ「めでたし、海の星」という曲なのですね。

 

【解説と名盤、まとめ】モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)

さて、モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り「めでたし海の星」(晩課)、名盤の紹介と解説はいかがでしたか?

前編、後編と2回に分けてご紹介させていただきました、「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」。

今回は【めでたし、海の星】という深い静けさを持った1曲を紹介させていただきました。

肉体的にも、精神的にも、激しく戦った1日の終り。

お風呂に入って、ホッとするひととき。

好きな飲み物を用意したら、おもむろに、音楽再生のCDデッキやスマホのボタンをポチってみませんか?

こんな日は「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」【めでたし、海の星】がオススメなのですよ♬

本記事の前編、モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り(晩課)名盤CD(前編)【素朴で清らかな微笑み】はこちらです♬ 

そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は以上になります。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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↓前編はコチラです。

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