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秋に聴きたい【おすすめクラシック15選】

マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》【解説と歌詞|名盤3選】宇宙の無限遠点から魂を揺るがす絶唱!

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「宇宙」を聴く!

天上が降ろす

音魂(おとたま)の世界…♫

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大宇宙が響き始める様子を想像してください

それは、もはや人間の声ではなく

運行する惑星であり、太陽です

Wikipediaより引用

マーラーが指揮者のウィレム・メンゲルベルクに宛てた手紙の中の言葉。

 

今回は、マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》

作曲の経緯

通常の交響曲とは違い、2部からできている。歌詞は、第1部に、9世紀につくられたというラテン語の賛歌を用い、第2部では、ゲーテの「ファウスト」第2部の終幕の場面を用いており、マーラーは、この曲で、 魂の救済と、あの世での平安を、オーケストラと人声で壮大に歌いあげたのであった。

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P72より引用

1906年、マーラーは、ヴェルター湖畔(オーストリア南部、ケルンテン州)の作曲小屋に引きこもり《交響曲第8番》を作曲します。第1部は3週間という速さで草稿を仕上げ8月18日には全曲を完成させています。翌1907年にはオーケストレーションが施された後、マーラーは《交響曲第8番》を妻のアルマに献呈しています。

 

作曲の際のエピソード

マーラーが《交響曲第8番》の作曲を始めた際、最初の2週間は中々筆が進まずに苦心していました。しかしある朝、散策から作曲小屋へと戻ったマーラーにある言葉がひらめきます。それが交響曲第8番の第1部の冒頭、賛歌「来たれ、創造主たる聖霊よ」の一句です。

細部までは覚えていなかったマーラーは漠然とした記憶ながらもラテン語の歌詞をもとに作曲します。音楽は思いのほか長いものとなったためマーラーは賛歌の全文を電報で送ってもらいます。

讃歌をもとに作曲した音楽と歌詞を合わせてみると図ったようにピタリと音楽の尺に合ったということです。

石井宏 著「グスタフ・マーラー愛と苦悩の回想」P182を参照

(実際のところはもう少しズレはあり、その部分は元の讃歌を部分的に削除したりマーラー自身が書き足したりして完成しています)

 

初演時の編成

初演は1910年9月12日と13日の両日。ミュンヘン博覧会1910の催しのひとつとして1030名という大編成で行われました。

指揮:マーラー自身

カイム管弦楽団

(現ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団)

編成:

楽器奏者171名

独唱者8名

合唱団850名

ウィーン楽友協会合唱団250名

リーデル協会合唱団250名

ミュンヘン中央歌唱学校の児童350名

演奏終了後には大歓声が起こり30分もの間、鳴り止まなかったという記録が残っています。マーラーにとっては人生で最も評価された輝かしい栄光の瞬間が《交響曲第8番》の初演だったと言えます。

交響曲第8番が《千人の交響曲》と呼ばれるのは初演の際の演奏者の人数をとってミュンヘン博覧会1910の主催者のエミール・グートマンが付けています。ただマーラー自身はこの名前を気に入らなかったという記録が残っています。

ちなみに《交響曲第8番》の初演の際に臨席した音楽関係の著名人もそうそうたるメンバーでした。

作曲家

  • アルノルト・シェーンベルク
  • リヒャルト・シュトラウス
  • セルゲイ・ラフマニノフ

指揮者

  • ブルーノ・ワルター
  • ウィレム・メンゲルベルク
  • オットー・クレンペラー
  • レオポルド・ストコフスキー

(指揮者のストコフスキーは《交響曲第8番》のアメリカでの初演を行っています。)

マーラーの死後

《交響曲第8番》の初演から8ヶ月後の1911年5月18日にマーラーは亡くなっています。この1911年の秋から翌年にかけて《第8交響曲》はウィーンだけでも13回演奏されています。

演奏者の規模も演奏時間も巨大な《交響曲第8番》はマーラーにとっての当時の評価において素晴らしい結果をもたらしました。冒頭に紹介した言葉をもう一度記載します。

 

大宇宙が響き始める様子を想像してください

それは、もはや人間の声ではなく

運行する惑星であり、太陽です

マーラーはさらに筆を進めています…

これまでの私の交響曲は、

すべてこの曲の序曲に過ぎなかった(中略)

この交響曲は、

偉大な歓喜と栄光を讃えているものです

編成細部:

フルート×4、ピッコロ複数、オーボエ×4、コーラングレ×1、クラリネット(B♭管)×3、小クラリネット(E♭管)複数、バスクラリネット×1、ファゴット×4、コントラファゴット×1、ホルン×8、トランペット×4、トロンボーン×4、チューバ×1、ティンパニ×3台、バスドラム×1、シンバル×3人、タムタム、トライアングル、鐘(低音)×2、グロッケンシュピール×1、弦第1vn×25、第2vn×25、va×20、vc×20、cb×18(C弦つき)、チェレスタ×1、ピアノ×1、オルガン ×1、ハルモニウム ×1、ハープ ×2、マンドリン複数

 

【歌詞を解説】マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》

第1部 お越しください、創造主たる聖霊よ

Veni, creator spiritus,

お越しください、創造主たる聖霊よ
Mentes tuorum visita;

私たちの魂に訪れ
Imple superna gratia,

いと高き恵みにて満たしたまえ
quae tu creasti pectora.

あなたの作られたこの心を

Qui tu Paraclitus diceris,

慈しみ深き主とよばれる方よ
Donum Dei altissimi,

いと高き神よりの贈り物!
Fons vivus, ignis, caritas,

それは命の泉、炎、慈しみの愛
et spiritalis unctio.

聖霊よりの油をほどこす者と呼ばれるかたよ

Infirma nostri corporis,

私たちの弱き肉体を
Virtute firmans perpeti.

絶えざる力のよりて強めたまえ
Accende lumen sensibus.

その光によりて、われらの五感を高めたまえ
Infunde amorem cordibus.

われらの心に愛を注ぎ込みたまえ

Hostem repellas longius,

敵を退け、
Pacemque dones protinus;

われらに平安を与えたまえ
Ductore sic te praevio

導き手なる方よ、あなたにならい
vitemus omne pessimum.

われらより全ての悪を退けたまえ

Tu septiformis munere,

7つのたまもの(知恵、理解、賢明さ、強い意志、知識、慈しみ、敬う心)をわれらに与えたまえ
dexterae paternae digitus.

おん父なる神の、右の指なる方よ

Per te sciamus da Patrem,

おん父より約束された尊き方よ
noscamus atque Filium,

豊かなことばでもって語ってくださる
Te utriusque Spiritum

聖霊なるあなたを知らしめたまえ
credamus omni tempore.

いかなる時にもあなたを信じます

Da gratiarum munera,

天の喜びを授けたまえ
da gaudiorum praemia;

大いなる幸福を与えたまえ
Dissolve litis vincula,

争いの縛りを解き放ち
adstringe pacis foedera.

幸福の誓いを結びたまえ

Gloria Patri Domino,

父なる神に栄光あれ
Natoque, qui a mortuis

死よりよみがえりし、聖なる子に

surrexit, ac Paraclito

なぐさめの主なる聖霊に栄光あれ
in saeculorum saecula.

いついつまでも永遠に

 

第2部 ゲーテ《ファウスト》第2部「山あい」から終幕の場面

合唱とこだま

《CHOR und ECHO》

合唱とこだま
Waldung, sie schwankt heran,

森の木立はこちらになびき
Felsen, sie lasten dran,

岩場は連なりのしかかる
Wurzeln, sie klammern an,

木と木、根っこと根っこは絡み合う
Stamm dicht an Stamm hinan,

樹木の幹、そびえて寄り添いしがみつく
Woge nach Woge spritzt,

谷あいの波はぶつかり合い、しぶきをあげてほとばしる
Höhle, die tiefste, schützt,

洞窟はその深淵でわれらを守る
Löwen, sie schleichen stumm,

獅子たちも言葉少なに親しげに
Freundlich um uns herum,

われらの周りを巡りつつ
Ehren geweihten Ort,

清められたる聖なる愛の隠れ家に
Heiligen Liebeshort.

敬意を払うふりをする

法悦の教父

PATER ECSTATICUS (Baritone)

《法悦の教父(バリトン)》
(auf und abschwebend)

(舞うように漂いながら)
Ewiger Wonnebrand,

永遠なる法悦の炎
Glühendes Liebesband,

焼け付くような愛のきずな
Siedender Schmerz der Brust,

煮えたぎる胸の痛み
Schäumende Gotteslust.

高まる神への悦び

Pfeile, durchdringet mich,

矢よ、私をつらぬけ
Lanzen, bezwinget mich,

槍よ、私を突き刺せ
Keulen, zerschmettert mich,

棒きれよ、私を打ち砕け

Blitze, durchwettert mich,

稲妻よ、私をつらぬけ
Dass ja das Nichtige

虚(むな)しいものを
Alles verflüchtige,

この地より追い払え
Glänze der Dauerstern,

永劫なる星よ、輝け
Ewiger Liebe Kern!

永遠の愛の核心よ!

瞑想する教父

PATER PROFUNDUS (Bass)

瞑想する教父(バス)
(tiefe Region)

(深い谷あいにて)
Wie Felsenabgrund mir zu Füßen

岩場の連なり私の足もと
Auf tiefem Abgrund lastend ruht,

奈落に座れるごとく
Wie tausend Bäche strahlend fließen

いく千もの小川がきらめきながら流れゆく
Zum grausen Sturz des Schaums der Flut,

しぶきを上げる滝のように
Wie strack, mit eignem kräftgen Triebe,

おのれの力で樹木は
Der Stamm sich in die Lüfte trägt;

伸びて空めざす

So ist es die allmächtge Liebe,

森も岩石の大地も波打つように
Die alles bildet, alles hegt.

万物を創り、全てを育む

Ist um mich her ein wildes Brausen,

森と岩の大地を揺るがせて
Als wogte Wald und Felsengrund,

私を取り巻く荒ぶる水音
Und doch stürzt, liebevoll im Sausen,

豊かに満ちる水は
Die Wasserfülle sich zum Schlund,

とどろくざわめき優しさ込めて
Berufen, gleich das Tal zu wässern;

谷あい、水を送り出す

Der Blitz, der flammend niederschlug,

炎を帯び、大地を打つは稲光
Die Atmosphäre zu verbessern,

毒と霧とを含んだ大気を

Die Gift und Dunst im Busen trug;

浄化せんがため
Sind Liebesboten, sie verkünden,

全て愛の御使いならば我らを覆い
Was ewig schaffend uns umwallt.

永遠の創造主の力を告げ知らす

Mein Inn'res mög' es auch entzünden,

わが胸のうちにも火を灯してほしい

Wo sich der Geist, verworren, kalt,

私の心は錯乱しながら冷えている
Verquält in stumpfer Sinne Schranken,

にごりきった官能の鎖で縛られつつうめき
Scharf angeschloss'nem Kettenschmerz.

囚われの身となって苦悩する
O Gott! beschwichtige die Gedanken,

おお、神よ、われを和らげたまえ
Erleuchte mein bedürftig Herz!

わが貧しき心にも光を灯したまえ!

天使の合唱

ENGEL

《天使の合唱》
(schwebend in der höhern Atmosphäre,
Faustens Unsterbliches tragend)

(ファウストが空を目指し不死の魂として舞い上がる)
Gerettet ist das edle Glied

霊界の手足なる気品を帯びた存在が
Der Geisterwelt vom Bösen:

悪の手から救い出され
“Wer immer strebend sich bemüht,

「絶えず努め励んでいた者は
Den können wir erlösen.”

私たちはお救いできるのです」

Und hat an ihm die Liebe gar

この人には天上からの
Von oben teilgenommen,

愛が降り注いだのですから
Begegnet ihm die sel'ge Schar

幸福な世界の人々が迎えるのです
Mit herzlichem Willkommen.

心からの祝福の思いを持って

祝福された少年たちの合唱

CHOR SELIGER KNABEN

《祝福された少年たちの合唱》
(um die höchsten Gipfel kreisend)

(山の頂をめぐりながら)
Hände verschlinget

手に手をとって、飛び回ろ
Freudig zum Ringverein!

楽しく輪になり踊ろうよ!

Regt euch und singet

さあ、立ち上がって歌おう
Heil'ge Gefühle drein!

聖なる心を秘めながら

Göttlich belehret,

神さまのみ教え守り
Dürft ihr vertrauen:

ゆだねていれば
Den ihr verehret,

みんな敬うそのお方
Werdet ihr schauen.

きっと仰ぎ見ることができるでしょう

若い天使たち

JÜNGEREN ENGEL

《若い天使たち》
Jene Rosen aus den Handen

豊かな愛の聖なる悔い改めの女性たち
Liebend-heiliger Buserinnen

手から授けられたバラの花のおかげで
Halfen uns den Sieg gewinnen

私たちを救い、勝利をお与えくださった
Und das hohe Werk vollenden,

かしこくも気高き仕事を成し遂げさせ
Diesen Seelenschatz erbeuten.

心の宝を得ることが出来たのです

Bose wichen, als wir streuten,

そのバラを撒くと悪魔は散らばり
Teufel flohen, als wir trafen.

バラで打ちつけると逃げ去った

Statt gewohnter Hollenstrafen

慣れきった地獄の責め苦の代わり
Fuhlten Liebesqual die Geister;

悪魔は愛の思いによる悔恨という苦しみに覆われた
Selbst der alte Satansmeister

老いさらばえた悪魔の頭でさえも
War von spitzer Pein durchdrungen.

刺されるような痛みに襲われた

Jauchzet auf! Es ist gelungen.

さあ、歓喜の声をあげよう!成し遂げられた

成熟した天使たち

DIE VOLLENDETEREN ENGEL (+Alto solo)

《成熟した天使たち》

Uns bleibt ein Erdenrest

地上に遺した痕跡を運ぶのは
Zu tragen peinlich,

とても苦しいこと
Und wär er von Asbest,

たとえそれが石綿であったとしても
Er ist nicht reinlich.

清らかなものではありません

Wenn starke Geisteskraft

たくましい聖霊の力が
Die Elemente

地上にあるもろもろの要素を
An sich herangerafft,

集めてくれば
Kein Engel trennte

霊魂と肉体の結びついた
Geeinte Zwienatur

合わさった体を引き離すことは
Der innigen beiden;

いかなる天使にも切り離すことは出来ません
Die ewige Liebe nur

分かつことが出来るのは
Vermag's zu scheiden.

ただ永遠の愛のみ

いまだ未熟な天使たち

DIE JÜNGEREN ENGEL

《いまだ未熟な天使たち》
Ich spür' soeben,

岩山のまわりを
Nebelnd um Felsenhöh',

霧のように覆う
Ein Geisterleben,

霊たちの活きている
Regend sich in der Näh'.

動きが感じられる!

Seliger Knaben

天から招かれた

Seh'ich bewegte Schar,

祝福を受けた少年たちが
Los von der Erde Druck.

地上の縛りから解き放たれ

Im Kreis gesellt,

輪になってより集まり
Die sich erlaben

舞っているのが見える
Am neuen Lenz und Schmuck

天上の新しい春に装いに
Der obern Welt.

元気づけられている

Sei er zum Anbeginn,

この方もまずはじめに
Steigendem Vollgewinn

あの子たちに混ざって
Diesen gesellt!

完成へと向かってほしい

祝福された少年たちの合唱

DIE SELIGEN KNABEN

《祝福された少年たちの合唱》
Freudig empfangen wir

僕たちは悦んでお迎えします
Diesen im Puppenstand;

いまださなぎの段階のその方を
Also erlangen wir

そうすれば僕たちも成長し
Englisches Unterpfand.

いつの日か、天使になれるのだと
Löset die Flocken los,

この方を覆っている繭を
Die ihn umgeben!

取り去りましょう!
Schon ist er schön und groß

聖なる霊性を授けられ
Von heiligem Leben.

大きく美しくなられました

マリアを敬う博士

DOCTOR MARIANUS (Tenor)

《マリアを敬う博士(テノール)》
Hier ist die Aussicht frei,

ここは見晴らしがよく
Der Geist erhoben.

霊性はもっと高められる

Dort ziehen Fraun vorbei,

あそこを女たちが通り過ぎてゆく
Schwebend nach oben.

天を目指して漂い登ってゆく

Die Herrliche mittenin

その中心に星の冠をいただいた
Im Sternenkranze,

気高い方のお姿があり
Die Himmelskönigin,

あのお方こそ天の女王様
Ich seh’s am Glanze.

その光を仰ぐだけで、そうであるとわかるのです

Höchste Herrscherin der Welt!

世を統べるいと美しき乙女

Lasse mich im blauen,

蒼い天幕のうちに
Ausgespannten Himmelszelt

あなたの霊性をこの眼に触れさせてくだい
Dein Geheimnis schauen.

男の胸を真摯にも動かすもの

Billige, was des Mannes Brust

神聖なる愛の悦びをもって
Ernst und zart beweget

あなたのおそばへと
Und mit heiliger Liebeslust

向かうことを
Dir entgegenträget.

どうかお受け入れください

Unbezwinglich unser Mut,

あなたが高貴なるお申し付けをくださると
Wenn du hehr gebietest;

私たちの勇気は堅固なものとなります
Plötzlich mildert sich die Glut,

あなたが乾きを癒してくださる時に
Wie du uns befriedest.

熱を帯びた感情も和らぐのです

マリアを敬う博士との合唱

DOCTOR MARIANUS und CHOR:

《マリアを敬う博士との合唱》

Mutter, Ehren würdig,

この上もなく美しく意味を持った聖なる乙女

Jungfrau, rein im schönsten Sinne,

栄光に輝くみ母よ
Uns erwählte Königin,

私たちのために選ばれた女王
Göttern ebenbürtig.

神々と等しく尊いお方

合唱

CHOR

《合唱》

Dir, der Unberührbaren,

手を触れることも叶わないあなたですが
Ist es nicht benommen,

誘惑に弱い私たちが
Dass die leicht Verführbaren

お近づきになり、おすがりするのは
Traulich zu dir kommen.

禁じられてはおりません

In die Schwachheit hingerafft,

弱さゆえに罪を犯した女たちを
Sind sie schwer zu retten.

救うことは、やさしいことではありません

Wer zerreißt aus eig'ner Kraft

されど自らの力のみで
Der Gelüste Ketten?

情欲の縛りを断ち切れましょうか?

Wie entgleitet schnell der Fuß

なめらかな床の上では
Schiefem, glattem Boden?

つい足を滑らせてしまうものです

贖罪の女たちと告白する女ひとりの合唱

CHOR DER BÜSSERINNEN

《贖罪の女たちと告白する女ひとりの合唱》

Du schwebst zu Höhen

永遠のみ国の高みを天駆ける
Der ewigen Reiche;

天駆けるお方
Vernimm das Flehen,

私たちの願いをお聞き届けください
Du Ohnegleiche!

慈しみ深き恵みなるお方

罪深き女

MAGNA PECCATRIX (Soprano)

《罪深き女》

Bei der Liebe, die den Füßen

パリサイ人たちに罵(ののし)られながらも

Deines gottverklärten Sohnes

清められし光の満てるみ子の足

Tränen ließ zum Balsam fließen,

香油という名の涙に変えて

Trotz des Pharisäer Hohnes;

愛の思いを注ぎます

Beim Gefäße, das so reichlich

この器にかけて
Tropfte Wohlgeruch hernieder;

豊かに香るしずくを落とした

Bei den Locken, die so weichlich

高貴なるそのみ足をやわらかく

Trockneten die heil'gen Glieder -

拭って差し上げたこの髪にかけて

サマリアの女

MULIER SAMARITANA (Alto)

《サマリアの女(アルト)》
Bei dem Bronn, zu dem schon weiland

その昔、アブラハムが羊の群れを
Abram liess die Herde führen;

連れて行った泉にかけて願います
Bei dem Eimer, der dem Heiland

救い主のお口に冷たく触るお水を
Kühl die Lippe durft' berühren;

注いだ水桶にかけて願います
Bei der reinen, reichen Quelle,

この清泉から湧き出て
Die nun dorther sich ergießet,

永遠に澄みきり清らかで
Überflüssig, ewig helle,

世をうるおしつづけてやまない
Rings durch alle Welten fließt -

豊かな水にかけて願います

エジプトのマリア

MARIA AEGYPTIACA (Alto)

《エジプトのマリア(アルト)》
Bei dem hochgeweihten Orte,

主を横たえ憩われた
Wo den Herrn man niederließ;

聖なるところにかけて願います
Bei dem Arm, der Von der Pforte,

私を諌めるために会堂の外へと
Warnend mich zurücke stieß;

突き出されたそのみ手にかけて
Bei der vierzigjähr'gen Buße,

ただただひたすら誠実に
Der ich treu in Wüsten blieb;

祈り続けた40年にかけて
Bei dem sel'gen Scheidegruße,

砂の上に書きとめたこの世からのお別れの言葉にかけて
Den im Sand ich niederschrieb –

これら全てにかけて願います

3人ともに

ZU DREI

《3人ともに》
Die du großen Sünderinnen

大きな罪を犯した女たちも
Deine Nähe nicht verweigerst.

おそばによることも拒まれず

Und ein büßendes Gewinnen

悔い改めをもって得た美しい徳を
In die Ewigkeiten steigerst,

永遠なるものへと成すお方
Gönn' auch dieser guten Seele.

この良き魂たちにも

Die sich einmal nur vergessen.

ただ一度、我を見失い
Die nicht ahnte, dass sie fehle,

過ちに気づかずにいた者も
Dein Verzeihen angemessen!

慈しみ深き許しを与えたまえ

懺悔する女

UNA POENITENTIUM (Soprano)

《懺悔する女(ソプラノ)》
(Gretchen)

(かつてはグレートヒエンと呼ばれた女性、聖母マリアおすがりしながら)
Neige, neige,

たとえようもないお方
Du Ohnegleiche,

光、満ち満ちて、あまねく照らされる方
Du Strahlenreiche,

どうか私の幸福に
Dein Antlitz gnädig meinem Glück!

そのお顔をお向けください
Der früh Geliebte,

かつてお慕いし
Nicht mehr Getrübte,

今はもうわずかな濁りすらもない
Er kommt zurück.

そのお方が帰ってこおいでになりました

祝福された少年たち

CHOR SELIGER KNABEN

《祝福された少年たち》
(in Kreisbewegung sich nähernd)

(輪になって近づいて来ながら)
Er überwächst uns schon

あの方は僕らよりも大きくなって
An mächt'gen Gliedern.

手足もたくましくなりました

Wird treuer Pflege Lohn

僕らの施してきたことが忠実に
Reichlich erwidern.

報われる時が来たようだよ

Wir wurden früh entfernt

僕らはずっと前に
Von Lebechören.

人の世から離れてしまったの

Doch dieser hat gelernt:

でもこの方はたくさんのことを学んで来られたの
Er wird uns lehren.

僕らにも教えてくださることと思うよ

懺悔する女

UNA POENITENTIUM (Soprano)

《懺悔する女(ソプラノ)》
(Gretchen)

(グレートヒエン)
Vom edlen Geisterchor umgeben,

高貴なる霊たちに囲まれて
Wird sich der Neue kaum gewahr,

生まれ変わられたあのお方は戸惑い気味

Er ahnet kaum das frische Leben,

あの方は新たに生まれたことをご理解されていない様子
So gleicht er schon der heil'gen Schar.

新たなる生まれ変わりに気づかれていません

Sieh, wie er jedem Erdenbande

でもすでに神聖なかたたちと面持ちが同化されています
Der alten Hülle sich entrafft,

ご覧くださいあらゆる地上のしがらみを
Und aus ätherischem Gewande

断ち切って古い衣を脱ぎ捨てられました
Hervortritt erste Jugendkraft!

新しい青春の力が漏れ出してきているようです

Vergönne mir, ihn zu belehren,

あの方に教えることをお許しください
Noch blendet ihn der neue Tag.

あの方はいまだ新しい光を眩しがっておられます

栄光の聖母ち

MATER GLORIOSA (Soprano)

《栄光の聖母(ソプラノ)》
Komm! Hebe dich zu höhern Sphären!

さあ、いらっしゃい!あなたはもっと高い場所へとお昇りください
Wenn er dich ahnet, folgt er nach.

あなたに気づけば彼もそれに従います

マリア崇拝の博士

DOCTOR MARIANUS (Tenor), Chorus

《マリア崇拝の博士(テノール)、合唱》

(深くうつむき礼拝しながら)

Blicket auf zum Retterblick,

すべての悔い改めを知る心優しきものよ目をあげよ
Alle reuig Zarten,

感謝とともに
Euch zu sel'gem Glück

従う身となるならば
Dankend umzuarten!

救い主の眼差しを仰ぎ見よ

Werde jeder bess're Sinn

全ての良きこころの持ち主たちは
Dir zum Dienst erbötig;

あなたにお仕えさせてください
Jungfrau, Mutter, Königin,

清きみ母よ、女王なる方よ
Göttin, bleibe gnädig!

女神なる方よ、永遠に恵みを与えたまえ

神秘の合唱

CHORUS MYSTICUS

《神秘の合唱》
Alles Vergängliche

移ろい儚いものは全て
Ist nur ein Gleichnis;

もののたとえとでも言えるもの
Das Unzulängliche,

不足し到達できない
Hier wird's Ereignis;

たとえようもなく
Das Unbeschreibliche.

気高い現実が

Hier ist's getan;

ここに成し遂げられた
Das Ewig Weibliche

永遠の女性的なるもの母性的なるものこそが
Zieht uns hinan.

わたしたちを高みへと誘う

 

【名盤3選の感想と解説】マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》

 

サー・ゲオルグ・ショルティ:指揮 シカゴ交響楽団

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

《歌手陣》

ヘザー・ハーパー(ソプラノ)
ルチア・ポップ(ソプラノ)
アーリーン・オジェー(ソプラノ)
イヴォンヌ・ミントン(メゾ・ソプラノ)
ヘレン・ワッツ(アルト)
ルネ・コロ(テノール)
ジョン・シャーリー=カーク(バリトン)
マルッティ・タルヴェラ(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン楽友協会合唱団
ウィーン少年合唱団

  • 指揮者ショルティの構造の美
  • 豪華な歌手陣
  • 磨かれた録音技術の集結

1971年に録音されてよりこの方これほど不動の評価の揺るがない名盤も珍しいほどです。

奏者の人数と曲としての規模が巨大な交響曲第8番としては全体を見据えた音楽作りが必須になります。この点は音楽の全体を掴みながら構築していく術に卓越していたショルティ指揮の名盤は理想的。

また金管を中心に厚みのあるアンサンブルを聴かせてくれるシカゴ交響楽団を指揮した名盤。歌手陣も素晴らしくなんとも贅沢な内容となっています。

ワーグナーのオペラ録音でも定評のあるショルティですが、時間的規模で言えば最大の音楽芸術と言えます。そのショルティが楽器編成が最大規模のマーラーの交響曲第8番に挑んだのですからこの観点からも興味が尽きない名盤とも言えます。

 

クラウディオ・アバド:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

《歌手陣》

シェリル・ステューダー(ソプラノ)
シルヴィア・マクネアー(ソプラノ)
アンドレア・ロスト(ソプラノ)
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(アルト)
ローゼマリー・ラング(アルト)
ペーター・ザイフェルト(テノール)
ブリン・ターフェル(バリトン)
ヤン=ヘンドリク・ロータリング(バス)
ベルリン放送合唱団
プラハ・フィルハーモニー合唱団
テルツ少年合唱団

マーラー演奏をライフワークにしていたと言っても過言ではないアバド。

  • ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  • シカゴ交響楽団
  • ルツェルン祝祭管弦楽団

生前4つの楽団を縦横無尽に渡り歩いてマーラーの音楽を録音したアバド。同じ曲でも何種類もの録音を遺しています。しかし交響曲第8番の録音はこのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との名盤が唯一です。

揺るぎないアンサンブルから流れる厚みのあるサウンドには舌を巻きます。繊細なニュアンスを大切にしながら大規模な交響曲第8番の本来持つ魅力を存分に引き出しています

歌手陣も篤実なアバドの指揮に安心しきってか自由に声の美の共演を楽しんでいる。そんな名盤です。

 

ラファエル・クーベリック:指揮 バイエルン放送交響楽団 

エディット・マティス, ユリア・ハマリ, ドナルド・グローベ, ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ, フランツ・クラス, バイエルン放送交響楽団 & ラファエル・クーベリック

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

《歌手陣》

マーティナ・アーロヨ(ソプラノ)
エルナ・スポーレンベルク(ソプラノ)
エディット・マティス(ソプラノ)
ユリア・ハマリ(アルト)
ノーマ・プロクター(アルト)
ドナルド・グローベ(テノール)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
フランツ・クラス(バス)
バイエルン放送合唱団
北ドイツ放送合唱団
西ドイツ放送合唱団
レーベンスブルク大聖堂少年聖歌隊
ミュンヘン・モテット女声合唱団

ショルティと同じく70年代という古い録音にしては細かいニュアンスも捉えられています。大規模な編成の曲なのに自在にテンポを変えていくところはさすがは長いコンビを組んだバイエルン放送交響楽団だけはあります。

勇壮な場面は重厚に…天使たちの歌は優美でしとやかに展開する音楽に感動を覚えます。これほどに楽団と合唱陣が渾然一体となってシンクロした美しい第8番は珍しいと言っていいほどです。

ドイツ的な重厚感と懐の深さも楽しめる名盤です。

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【まとめ】マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》

さて、マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

大宇宙が響き始める様子を想像してください

それは、もはや人間の声ではなく

運行する惑星であり、太陽です

Wikipediaより引用

 

マーラーが人生をかけて作曲し続けた交響曲の世界。そしてたどり着いた宇宙的な広がりと感動を帯びた交響曲第8番は交響曲の頂点を迎えます

ハイドン以来長く続いた交響曲の歴史の幕引き役でもあったのかもしれません。この後、マーラーは再び虚無と諦めの境地へと向かっていくのですから…。

 

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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