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ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」【光あふれる希望】おすすめの名盤2枚も紹介

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ハツラツとした感情と、牧歌的で包み込むような、あたたかさを合わせもつ名曲ですね。


ドヴォルザーク: 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」 第1楽章

(youtubeをポチって音楽を聴きながら読んでみてくださいね。”iPhoneの場合は全面表示されてしまったら2本の指で内側にむけてピンチインしてください。”)

よく晴れた日差しのまぶしい1日、田舎の田園風景の中を1両編成の電車がガタゴトガタゴトと音をたてて走ります。
駅で買ったおいしい駅弁をほおばりがら車窓に目をやれば大自然の一大パノラマ。
そんな開放的なひとときに愉(たの)しく聴ける一曲がこのドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」ですね。

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1.ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」を解説

こんな解説があります。

 ドヴォルザークの名曲「交響曲第9番(新世界より)」や「チェロ協奏曲」、そしてこの曲などが生み出されるきっかけとなったのは、ニューヨーク、ナショナル音楽院の院長をつとめた2年半にわたるアメリカでの滞在であった。
 ドヴォルザークが院長を務めていたこの学院の校風は、当時としてはたいへん進歩的なもので、黒人の学生の入学も認めていた。それで彼は、多くの黒人と知り合いになり、黒人霊歌というものを知った。さらに、アメリカ・インディアンの音楽にも触れ、こうした新大陸の音楽から強い影響を受けて書かれたのが、この曲(「弦楽四重奏曲『アメリカ』」)だったのである。
 (中略)全体に民族的な色彩が強く、親しみやすい旋律が豊富に使われているのが特徴で、おおらかな気分の第1楽章や、感傷的で美しい旋律にあふれた第2楽章などは聴きものである 。
出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」p263より引用

解説にあるとおり、黒人の学生たちにとっての「魂の歌」は黒人霊歌です。
(黒人霊歌とは、アフリカの原住民が、アメリカ大陸に奴隷として強制的に連れてこられて、苦役をこなす毎日の中で培われた、宗教性をおびた歌のこと)
ドヴォルザークは「弦楽四重奏曲『アメリカ』」を作曲する際に、アメリカのナショナル音楽院の黒人の学生たちから、「魂の歌」ともいえる黒人霊歌や、アメリカ・インディアンの音楽を取り入れたとのことです。
そして、この「弦楽四重奏曲『アメリカ』」を聴いていると、大自然のおいしい空気を吸ったような開放された気持ちになりますね。
それは、ドヴォルザークの故郷であるボヘミアの壮大な風景と、このアメリカで学び、将来を夢見る黒人の若者たちの、心の歌ともいえる黒人霊歌との「佳(よ)きものの融合」から成りっているのでしょうね。
ドヴォルザークがナショナル音楽院で黒人たちとほほえみながら音楽について語り合う場面が想像できて、ほっこりした気持ちにさせてくれます。

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2.ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」の各楽章を解説

それでは、各楽章について解説したいと思います。
ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」は、第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ(速く、しかしあまり速すぎないように)」

冒頭でも解説しましたが、いわば、「これぞドヴォルザーク!」と言える美しい旋律の解放!
そんな1曲ですね。

第2楽章「レント(遅く)」

もの寂しい一曲ですが、ドヴォルザークにとっては故郷ボヘミアを思う「ちょっとしたホームシック」に近い感情でしょうし、また黒人たちが、白人たちの奴隷にされて苦しんできた歴史の、先祖から続く、つらくも悲しい物語りの歌…。
そんなイメージの1曲ですよね。

第3楽章「モルト・ヴィヴァーチェ(とても速く)」

ドヴォルザークが、アイオワ州のスピルヴィルの森を散策した際に聞こえた、鳥のさえずりを音楽にしたとのこと。
たしかに、鳥たちが森の新鮮な空気をたっぷり吸いながら語り合うさまが、ありありと聴こえて来ます。
踊るようなテンポで、楽しく鳴り響きますね。

第4楽章「ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ(快速に、しかしあまり速すぎないように)」

どこまでも果てしなく広がるアメリカ大陸を、すごいスピードで駆け抜ける機関車というイメージ。
鉄道好きだったドヴォルザークが、イメージしたのはこれ…だったかどうかは、わかりません(笑)。
しかし、まさしく駆け抜ける機関車に感じる元気で力強い、ワクワクしてやまない心の高鳴り。
そんな1曲ですね。

 

3.ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」の名盤を紹介

それでは、ほっこりした気持ちになれる名盤を2枚紹介させていただきます。

3-1.スメタナ四重奏団

このスメタナ四重奏団は、ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」を5回も録音を残しているというから驚きです。
やはり、それだけに自信にみなぎっていますし、アンサンブル(楽器どうしの調和)も素晴らしい、説得力バツグンの驚異の演奏ですね。
このアルバムをゲットしておけば、「ハズレた!」という結果はないといっていいし、一般的に評判の高い1枚。

3−2.ハーゲン四重奏団

ハーゲン四重奏団の演奏は、輝かしい将来やアメリカン・ドリームを夢見る青年の心象風景ともいえる、みずみずしい感性のきらめきが感じられる珠玉の名盤。

解説で書きましたが、「ドヴォルザークがナショナル音楽院で黒人たちとほほえみながら音楽について語り合う場面が想像できて、ほっこりした気持ちにさせてくれる」。そんなさわやかなイメージの演奏がこれ。
コーヒーで言うならば、スメタナ四重奏団の演奏が深煎り(ふかいり)で苦味とコクのあるコーヒー。
そして、このハーゲン四重奏団の演奏は浅煎り(あさいり)でスッキリさわやかなコーヒーというイメージです。
このドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」の根底に流れる「よろこびや楽しみ」の精神をいかんなく表現することに成功した、素晴らしい演奏ではないでしょうか。

さて、いかがでしたか。
夢や希望がぼんやりとして見えずに、日々の繰り返しのなかで消耗していく。
そんな毎日の暮らしのなかで、一瞬でもいい、あのころのみずみずしい感性と夢と希望を持ち続けていたあの頃に、戻ってみませんか?

そんなときには、このドヴォルザーク「弦楽四重奏曲『アメリカ』」ですよ♬

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そんなわけで、 
 
『一つの曲で、たくさんな楽しみが満喫できる。
    それがクラシック音楽の醍醐味ですよね。』
 
 今回は以上になります。 最後までお読みいただきありがとうございました。