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チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》【解説と名盤3選|感想】

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心で燃える…

蒼い悲しみ♫

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吹き上げる!

創造力!!

 

すきま風、通り過ぎ…

ふさぐ、…。

 

さて、今回は、燃える創造力蒼くて弱い心の間で揺れ動き続けた芸術家の、傑作交響曲であり白鳥の歌

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》解説とおすすめ名盤を紹介です。

 

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》

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解説:チャイコフスキーの精神的な背景

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》の表現しているものとはなんなのだろう?

そう考える時にふと、こんな解説を思い出します。  

この曲は、チャイコフスキーの"白鳥の歌となった作品である。1893年11月6日、彼は、この曲の初演からわずか9日後に世を去ったのであった。
(中略)「悲愴」という標題は(中略)彼の内向的な性格や、家庭的に恵まれなかった過去の生活などと結びつけて考える人も多いようだ。しかし、わたしはむしろ、当時の帝政ロシア全体をおおっていた、あの重苦しい空気のなかで生活していた民衆の、悲しみや苦しみといったものを、この曲でいいあらわそうとしたのではなかろうか、と考えるのだ。

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P64より引用

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》については、さまざまな解説がなされています。

その中によく引き合いに出されるのが憂うつな心情です。

チャイコフスキーは人生の中で26歳から52歳までに12回も憂うつな心情の時期を経験しています。

そのため暗い印象を持つ交響曲第6番《悲愴》は作曲当時のチャイコフスキーの憂うつな心情が影響しているのではないかと言われています。

たしかに第1楽章と第4楽章の暗くて寂しい印象の悲しい雰囲気を聴くとなるほどと思うことはあります。

ただ、音楽家をはじめ、さまざまな分野の芸術家には心が憂うつな傾向にあったり頭痛持ちが多かったりするのが特徴です。

ある意味「創造力の副産物」としての精神や体の不調は致し方ないものなのかもしれません。

解説:《悲愴》と名づくまで 

チャイコフスキーの弟であるモデストは交響曲第6番《悲愴》の副題がついた経緯を伝記に記しています。

交響曲第6番《悲愴》の初演の翌日、兄のチャイコフスキーが副題をどうするか悩んでいた時に

モデスト:
「悲劇的(トラギチェスカヤ|трагическая)っていうのはどうだい?

と提案した際に、これに対して否定的だったチャイコフスキー、しかし、次に…

モデスト:
じゃあ「悲愴(パテティチェスカヤ|патетическая)」では?

チャイコフスキー:
「ブラボー!」

チャイコフスキーは声を発し、そのまま交響曲第6番の楽譜に書きつけたと言われています。

ただ、現在、これはチャイコフスキーの弟のモデストの作り話だろうというのが定説です。

交響曲第6番が初演される以前に楽譜の出版を請け負っていたピョートル・ユルゲンソンがチャイコフスキーとやり取りした手紙が残っているからです。

つまり、チャイコフスキーの書いた自筆譜を確認したユルゲンソンが送った手紙には、

「《第6悲愴交響曲》よりも、交響曲第6番 《悲愴》とするべきだ」

と、「悲愴」の意味の「(パテティーク|Pathétique)」というフランス語で書かれていたからです。

つまり副題の《悲愴》とは、チャイコフスキー自身がつけたものというのが本当のところなのです。

そして初演は1893年10月28日、サンクトペテルブルクにおいてでしたが、この際の聴衆の反応はいまひとつだったようです。

しかし、解説にもあった通りこの初演の9日後、チャイコフスキーは急死します。

原因はコレラ。

当時はコレラが大流行していたにも関わらず生水を飲んでしまったことが原因と言われています。

そしてチャイコフスキーの死後にふたたび演奏された交響曲第6番《悲愴》。

この演奏が終わったあと聴衆は涙を流し、しばらく席をたつ人もいなかったと伝えられています。

 

【各楽章を解説】チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》

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それでは、各楽章について解説します。

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

第1楽章 アダージョ:アレグロ・ノン・トロッポ(速く、しかしあまり速すぎないように)

静かに…重くのしかかる…

消えるか…

消えないか、

コントラバスの嘆き

すすり泣く…ファゴット

引き継がれる

ヴィオラとチェロの孤独の歌…

絡む木管楽器のさみしさ…

そして、その美しい泣き声は

テンポを速め、

刻むリズムも高まり

音楽の持つ鼓動

バイブレーションが上がっていきます

そして、再び沈む…

…音…

 

そして、始まる、

第2主題…

美しく

そして優しくもあり…

 

何より…

 

…悲しく…

…切なく…

 

歌う

 

歌う

 

歌う

 

歌う

 

それは…

まるでロシアの大雪原のそれ…

 

目の前に広がる

限りなく冷たく

ひややかで

果てしなく白く

透き通る

そして消えゆくファゴットの

はかなくゆれる白い息…

 

弱く

 

弱く

 

弱く

 

よわ

 

く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダアン!!!!!

 

始まる!

 

激情!

慟哭(どうこく)!!

 

疾走(はし)る

悲愴感!!!

 

音楽、

圧を帯び、

その熱量、バク上げしてゆく!

 

そして迎える頂点!

 

 

 

 

再び表れる第2主題…

 

そして、

…悲しく…

…切なく…

 

歌う

 

歌う

 

歌う

 

歌う

 

そしてそのまま第2主題が熱を持ち始め…

 

その体温は火のごとく、

 

上がる、

がる、

がりゆく…

 

 

そして…

 

燃えた炎は小さくなっていく

 

  • 悲しさ
  • 寂しさ
  • 孤独感…

すべて包んで包み込み…

小さく小さくなっていく

 

 

そして、ポチリと小さい火…

静かに静かに消えてゆく…

  • 悲しさ
  • 寂しさ
  • 孤独感…

激しくツライ感情たちを

連れて連れゆく虚空へと…

 

第2楽章 アレグロ・コン・グラジア(優雅に速く)

チャイコフスキーが得意なロシア民謡のリズムをともなった華麗なワルツが展開します。

しかし、やはり《悲愴交響曲》のワルツはどことなく悲しげです…。

途中「悲しみ」を歌いますが、そこだけでなく、悲しげ…。

全体のテーマ性を失うことなく完成されたチャイコフスキーに名曲ワルツですね。

 

第3楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ(とても速く)

そう、全体のテーマは「悲しみ」。

しかし、しかし、第3楽章のみはまったくもって別次元。

 

たんたった、たんったっ、たた〜♫

 

ノリにノッた行進曲のリズムが弾みます。

  • 明るくて!
  • 天真爛漫!!

そして何より、

  • 楽天的!!!

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》の中ではまるで別世界が展開します。

なんとも勇壮で力強い、元気のでる1曲です。

 

第4楽章 ファイナル:アレグロ・ラメントーソ(悲しげに)

うめきや苦しみを通すことによって「感情という存在」を限りなく透明なものへと昇華していく悲しみ…。

その過程では

  • 時に叫び!!
  • 時にむせび泣き!
  • 時に、心、閉ざす…。

そんなことどもを《悲愴》という「悲しく痛ましい感情」は引き寄せていく…。

その姿はしかし

  • 蒼く
  • 澄んで
  • 美しい…

そうまるで「蒼」を究極にまで磨き上げ、その存在すらも忘れさせるほどの透明感にまで昇華させたまるでアクアマリン…。

深くて蒼い水底へ

落ちて行く

落ちていく

落ちていく

そして蒼い宝石、力なく、

その透明な悲しみが、

水の蒼さと混ざり合い

溶けていく

溶けていく

溶けていく

そして、最後は音もなく、

静かに蒼は消えてゆく…。

 

【名盤3選の感想と解説】チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》

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ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

セッション録音だけでも(スタジオでの録音)7種類あるカラヤン指揮によるチャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》の名盤。

評価の高い録音は

  • 1971年のEMI版(ベルリン・フィル)
  • 1976年のDG版(ベルリン・フィル)
  • 1984年のDG版(ウィーン・フィル)

以上3種類ありますが、1971年のEMI版(ベルリン・フィル)は感情や熱がもっとも乗っている感のある名盤という意味での評価。

1976年のDG版(ベルリン・フィル)は彫琢され磨き込まれた美しい録音であるところに素晴らしさがあります。

ただ1976年版は録音用にかなり加工された名盤であることは確かなので、そこを気にする方は1971年版を選ぶのかもしれません。

もちろん1971年盤も録音用に加工されてはいますが、1976年版ほどではないと言えます。

さて今回おすすめさせていただきますのは1984年版のウィーン・フィルの名盤です。

カラヤンの晩年、ベルリン・フィルとの気持ちの隔たりが出来たころの名盤。

どこかカラヤンの指揮としては淡々としていて、どことなく無常感があります。

ウィーンフィルの柔らかく優美な音の魅力も聴きどころ

もちろん超絶美しく磨き抜かれた名盤であることは言うまでもありませんが熱情と冷静とのバランスが良いように感じます

とにかくカラヤンにはチャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》だけでも名盤が多いので聴き比べて自分好みが見つかるとうれしいものです。

 

エフゲニー・ムラヴィンスキー:指揮 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

切れの良い音運びの中にロシアの冷たく憂愁なロマンティシズムが感じられる名盤です。

美しく情感を込めた演奏でもあり好感が持てますしその対比としての音楽の爆発する瞬間はドラマティックな感動を呼び起こします。

けれどもいかんせん録音が古いところがあります。

ただロシア的透明感と美しさの感じられる理想的な演奏ですので聴かないのはモッタイナイと思います。

そんなわけでオススメなわけなのです。

 

レナード・バーンスタイン:指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

普段の情熱系のバーンスタインというよりは悠揚(ゆうよう)迫らぬテンポで聴かせてくる名盤です。

音運びがゆったりしているがゆえにむしろ鬼気迫るものを感じます。

ため込んでから爆発させるスタイルというよりは、ためたエネルギーをそのままに隠し持ちながらエネルギーが漏れ出てくる感じの名盤です。

バーンスタインの亡くなる4年前の録音であり、晩年のバーンスタインの円熟味が高まった演奏が楽しめる名盤とも言えそうです。

 

【まとめ】チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》

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さて、チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

 

吹き上げる!

創造力!!

 

すきま風、通り過ぎ…

ふさぐ、…。

 

そんなチャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》の創作の裏に隠れたチャイコフスキーの心情を考えてきました。

 

どうもやる気がでないし、むなしさのようなものが心に吹きすさぶ…。

 

そんな感情を抱いたら、まるごと共感してくれるチャイコフスキーという友達に会いに行きませんか?

 

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》、アルパカ思うに…名曲です。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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