アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方を解説します。

チャイコフスキー:弦楽セレナード【名盤3枚も解説】「ワルツ楽章も有名、憂いをおびた優しい1曲」

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透明な憂うつさと

寄り添う時の優しさとが

ないまぜになった名曲ですね!


弦楽セレナード ハ長調:第1楽章

(youtubeをポチって音楽を聴きながら読んでみてくださいね。”iPhoneの場合は全面表示されてしまったら2本指で内側にむけてピンチインしてください。”)

チャイコフスキー:弦楽セレナードは「憂うつなメロディ」と「切なさやツラさ」が感じられますね。

それでも、テレビのCMではBGMなどに、使われることがあります。

それはやっぱり、「透明感のある美しさ」を秘めている名曲であるという理由からだと思います。

とくに冒頭の出だしのメロディの美しさは、舌を巻きますよね。

(しかし、CMの「オー人事、オー人事」の悲哀感は歴史が長い…ですよね…。)

【なぜか記憶に残る憂うつなメロディ】チャイコフスキー:弦楽セレナード

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「オー人事、オー人事」で、ちょっと軽い印象が残ってしまっている「チャイコフスキー:弦楽セレナード」ですが、本来はとても真摯(しんし)な気持ちで作曲されています。

それを証明するこんなエピソードを含む、解説があります。 

全体的にはいうまでもなくスラヴ的な情感を豊かに盛りこんでいるが、これは、この作曲の前後数年間、チャイコフスキーがロシアの民俗的な旋律にとくに強い興味をもち、自分の作品でそれに類したものを積極的に用いていたこととも関係している。

(中略)また第1楽章は「モーツァルトへの崇拝をこめて」作曲されたもので、第2楽章は、チャイコフスキーの得意なバレエのワルツを想わせ、第3楽章は、短調ではなく長調で書かれていながら、悲哀感をだしている

出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」p100より引用

解説にあるように、とくに、第1楽章は 「モーツァルトへの崇拝をこめて」作曲されたとのことで、並々ならぬ意気込みが感じられますね。

全体的には明るい調性(長調)で作曲されてはいますが、つねにどことなく影や哀しさを感じてしまいます

その理由は、上記の解説にあります。

つまり、チャイコフスキーは当時、ロシアの民族的で、スラブ的な(悲哀感のある)情感を込めた音楽作りをすることに関心を示していたことに関係しているのだと思います。

【透明感あふれる各楽章を解説】チャイコフスキー:弦楽セレナード

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それでは、チャイコフスキー:弦楽セレナードの各楽章について解説したいと思います。

この曲は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

第1楽章「ソナチネ形式の小品:アンダンテ・ノン・トロッポ ‒ アレグロ・モデラート(歩く速さー中ぐらいの速さで)」

深い哀しみを表すような、重厚な序奏から、いきなり始まる「チャイコフスキー:弦楽セレナード」はそれだけでもインパクトがあります

この序奏を終えると、「運命的で、憂いをこめたメロディ」がたたみかけるように、現れてきます。

途中、チャイコフスキーらしい明るいメロディが顔を出しながらも、すぐに元の「哀しみ」のモチーフに戻ります

全体として、とてもメランコリックで美しい1曲ですね

第2楽章「ワルツ:モデラート テンポ・ディ・ヴァルス(ワルツの速さで)」

チャイコフスキーの、作曲するワルツには、非常に名曲が多いですね。

この「チャイコフスキー:弦楽セレナード」第2楽章のワルツも有名な1曲で、コンサートなどのアンコールでも、演奏される機会が多いです。

全体的に、憂うつで、悲哀感の強い「チャイコフスキー:弦楽セレナード」ですが、その中ではホッと一息つけるかのような、温かいぬくもりのある楽天的な1曲ですね。

私たちの生活の、足どり重い、ツライ毎日の中にも、こんな明るい一瞬があってもいいものですよね。

第3楽章「エレジー:ラルゲット・エレジアーコ(哀歌ー表情豊かに、やや速く)」

「チャイコフスキー:弦楽セレナード 」を象徴するような物悲しくも耽美(たんび)的(美にひたり、ふけるよう)な魅力の詰まった名曲です。

途中、静かで安らかな曲調へ変化しますが、それでも、どこかしら寂しさが残っています。

雪が降りつもって、限りなく透明感を増して、その「白」がその純度を高めていくような感覚の1曲です。

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第4楽章「フィナーレ:アンダンテ ‒ アレグロ・コン・スピリート(終曲:歩くはやさで、活き活きと速く)」

今までと打って変わっての明るい基調の曲です。

長く続いた冷たい冬が明けて、スカッと晴れ上がった青空のような1曲です。

しかし、ラストのほうで、第1楽章の序奏が繰り返されたりしながら、「チャイコフスキー:弦楽セレナード」全体としての「哀しみ」のモチーフを失うことはありません

【3枚の名盤を解説】チャイコフスキー:弦楽セレナード

 

あまり「積極的で、前向き」にはなれない時って、ありますよね。

そんな憂うつな時は、いっそのこと、静かな時を持って、目を閉じて「チャイコフスキー:弦楽セレナード」に耳をすますと、ふとした一瞬に、癒やしの気持ちが湧いてくるかもしれませんよ

「さて、今日はどの名盤で、心を癒やしていこうかな…。」

 

サー・ネヴィル・マリナー:指揮 アカデミー室内管弦楽団

☆アルパカおすすめの1枚

長い間、名盤のほまれ高い1枚。

チャイコフスキー:弦楽セレナードの演奏経験も豊富なだけあって、揺るぎない自信と楽しみ、喜びが自然とあふれていて好感が持てる名盤。

チャイコフスキーが得意とする、「憂愁の美」、「ワルツのテンポ」、「堂々とした曲想までが美しい」

そんな特色をあますところ無く表現

一糸乱れないアンサンブルの素晴らしさも見事ですね。

アルバムとしては、1968年盤と1982年盤とが存在します。

1968年盤は「繊細でしなやか」、1982年盤は、「堂々としていてうるわしい」。

どちらも、それぞれ良い点がありますが、やっぱり録音自体が鮮明な1982年盤をおすすめしておきましょう。

コリン・デイヴィス:指揮 バイエルン放送交響楽団

「行儀よく整っている」ところが魅力の1枚。

また、少しゆっくり目の演奏であり、ずっしりと重厚感があって、他を寄せつけないような孤高の「チャイコフスキー:弦楽セレナード」といった感じです。

ことさら憂うつや、哀しさを表現することのない、「知性と理性のキラメキ」が随所にあふれています。

そして、その「哲学的な孤高さ」そのものが、この「チャイコフスキー:弦楽セレナード」の「哀愁」を、角度を変えて表現していると思います。

個性を抑えた「理性と知性」の表現が、むしろ個性まで昇華していますね。

名盤です!!

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オルフェウス室内管弦楽団

キレのある名盤ですね。

「憂愁(ゆうしゅう)」とは、少しだけ距離をおきながら、クリアに演奏しています。

ちょっと情感の盛り込みが少なすぎて、あっけない感じはありますが、こんな行き方(演奏)でもしっかり記憶に残ります。

ということは、この「チャイコフスキー:弦楽セレナード」の広い可能性の幅のようなものが、あるということなのでしょうね。

コーヒーで言えば、しっかりと焙煎した深い味わいというよりは、すっきりとした酸味系の名盤ですかね。

「さわやかに聴きたい」そんなあなたにはこの1枚ですよ。

【解説と名盤、まとめ】チャイコフスキー:弦楽セレナード

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さて、「チャイコフスキー:弦楽セレナード」の名盤の紹介と、解説はいかがでしたか?

 非常に、透明度の高い美しさを持つ「チャイコフスキー:弦楽セレナード」

心がちょっと疲れた時に、そっと寄り添ってくれて、共感してくれる。

そんな癒やしの名盤たちに触れて、元気を取り戻してみせんか

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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