そびえるエッフェル塔
水面キラリ
セーヌ川が見渡せる!
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プップウウウ〜♫
タクシーのクラクション!
人々が笑い、華やぐ喧騒!!
パリをゆく、作曲家ガーシュウィン
これぞ音楽紀行文!!
さて、今回は、底抜けに明るくて楽しいガーシュウィン《パリのアメリカ人》の解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】ガーシュウィン《パリのアメリカ人》
ガーシュウィン《パリのアメリカ人》した、についてのこんな解説があります。
1928年春に、ガーシュウィンは多忙な仕事や面倒な社交から逃れ、音楽的体験を豊かにするためにヨーロッパに旅行にでかけた。(中略)管弦楽用の大曲を作曲しようとした。こうしてはじめられたのが「パリのアメリカ人」であり、パリでそのスケッチが完了され、ウィーンでオーケストレーションされ、パリにもどってから全体が完成された。
出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」P204より引用
解説にありますように「音楽的体験を豊かにするためにヨーロッパに旅行」とありますがこれにはもうひとつ理由がありました。
それが「管弦楽を学ぶため」というものでした。
ガーシュウィンの代表作である《ラプソディ・イン・ブルー》という曲は、作曲はガーシュウィン自身が行なっています。
しかし、管弦楽曲を作曲した経験のないガーシュウィンはオーケストレーションのみを作曲家のグローフェに依頼したいうことがありました。
以上の経験があり「勉強のため」ということもあってのヨーロッパ旅行でもあったのです。
さて、当時のガーシュウィンはヨーロッパで活躍する作曲家との大きな違いがありました。
それが「金銭的な収入」です。
そのため各音楽家からの嫉妬されたのでしょうか、中々教えを受けることができませんでした。
パリではガーシュウィンが尊敬する作曲家のモーリス・ラヴェルとストラヴィンスキーに出会いますがこんなエピソードがあります。
ラヴェルとのエピソード
パリにおいて尊敬する作曲家ラヴェルに弟子入りを志願しますがこの時のラヴェルのひとことは…
「あなたはすでに一流のガーシュウィンなのだから二流のラヴェルになる必要はないでしょう」
ストラヴィンスキーとのエピソード
ストラヴィンスキーとの出会いの際においても前述した《ラプソディ・イン・ブルー》が当たって売れっ子だったガーシュウィンに対して…
「どうやったらそんな大きな収入を得られるのかこちらが伺いたい」
との言葉をかけられます。
後年、ストラヴィンスキーに対するインタビューにおいてこのエピソードは作り話であることをストラヴィンスキーは語っています。
しかし、それに続けて…
「でも、そんなことがあったなら楽しかっただろうなあ…」
と語り、目を細めたと言われています。
アルバン・ベルクとのエピソード
ウィーンではガーシュウィンは作曲家アルバン・ベルクに「しっかりとした基盤の上に立った音楽の書法を学びたい」と伝えますが…
「君が書いているのも立派な音楽じゃないか…」
と、やんわりとはねつけられてしまいます。
以上のように尊敬するヨーロッパの作曲家たちから音楽を学ぶことができずに落ち込むガーシュウィン。
しかし、そんなマイナスの感情にいつまでも支配されることはなく、管弦楽曲《パリのアメリカ人》を独力で完成させるにいたります。
初演は、1928年12月13日にウォルター・ダムロッシュ指揮ニューヨーク・フィルの演奏で行われました。
なお、1951年には《パリのアメリカ人》を元にしたミュージカル映画《巴里(パリ)のアメリカ人》が公開されています。
【楽曲を解説】ガーシュウィン《パリのアメリカ人》
タタタ〜、
タタタ〜、
タカタカタッタッタ〜♫
まさしくパリのおのぼりさん、足取り軽く、はずむよに…。
そんな印象の始まりです。
プップップ!
プップップ!
けたたましく鳴るタクシーのクラクション。
ガーシュウィンの特徴のジャズのテイストも軽やかでノリノリで楽しい気分はどんどん上がっていきます。
中間部ではテンポを落として少しだけ憂いを秘めたように展開します。
パリのおいて尊敬する作曲家にあしらわれてしまった感のあるガーシュウィンのさみしさやホームシックの思いも入っているのかもしれません。
そして、再びパリの活気に満ちた明るい雰囲気へと曲調を変えていきます。
- 輝いて!
- 色とりどりの
- 華やかさ!!
ガーシュウィンの見た素敵で美しいパリの映像、思い出がそのまま音楽に結晶化。
なんとも明るくて、なんだかちょっぴりほろ苦く…それでもワクワク楽しい名曲ガーシュウィン《パリのアメリカ人》なのですね。
【名盤3選の感想と解説】ガーシュウィン《パリのアメリカ人》
レナード・バーンスタイン:指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
パンチ聴いてるビタミン注入の元気系名盤です。
バーンスタインがゆくパリって、こんなにも明るく軽快な感じなのかな。
クラシック音楽はもちろんジャズに対する理解も深かったバーンスタインですので「ただ元気なだけ」ということはありません。
ジャズ音楽にノっていく
- バイブレーション
- 感性
- 共感
までもが熱い!
そんな落ち込みムード、吹き飛ばし系の名盤でもあります。
アンドレプレヴィン:指揮 ロンドン交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
バーンスタインの指揮する《パリのアメリカ人》と比べると少し落ち着いています。
もともとはジャズピアニストとして注目を浴びたという経歴の持ち主のプレヴィンの「ジャス音楽、愛!」のつまった名盤。
所々に表れるジャズ独特の語り口をジャズに精通したプレヴィンが指揮するのですから熱がこもっています。
あらためて「ジャズ音楽とクラシック音楽との相性の良さ」をビンビン伝えてくる「ノリだけではない」説得力を持った名盤。
オススメです。
ジョニー・グリーン:指揮 MGMスタジオオーケストラ
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
ミュージカル映画《巴里(パリ)のアメリカ人》のサントラ版ですが楽天的なミュージカル映画の明るい雰囲気が楽しめる名盤です。
さすがに音楽の持つ語り口が古く感じますが、いやいやこれがむしろ好ましい。
こんな「素朴で楽しい感情の発露」は現代人ってすっかり忘れてしまっているように感じるものですから…。
ミュージカル映画としての《巴里(パリ)のアメリカ人》も明るく楽しいのでお時間が許せば見てみてもいいかも…。
同じくミュージカル映画の名作《雨に唄えば》で有名なジーン・キャリーが《巴里(パリ)のアメリカ人》でお主役を勤めた映画です。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】ガーシュウィン《パリのアメリカ人》
さてガーシュウィン《パリのアメリカ人》解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
大作曲家たちに軽く門前払いされながらも完成させた《パリのアメリカ人》
タクシーのクラクション!
人々が笑い、華やぐ喧騒!!
パリをゆく、作曲家ガーシュウィン
これぞ音楽紀行文!!
ガーシュウィンの持つとても豊かな感性を最大限に発揮してできあがった楽曲《パリのアメリカ人》。
あれ、もしかしたら本当にアドバイス無しで良かったのかも…。
きっとガーシュウィンに会った作曲家たちもそれを知っていたのかもしれません。
じっくり聴いて確かめたいところですね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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