アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」【名盤2枚の解説と感想】勇気りんりん、未来の自分からの希望の手紙

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新世界に堂々と立つ「未来の自分」から届く手紙を握りしめ、走り出そう!


ドヴォルザーク: 交響曲第9番「新世界より」第4楽章

 

【楽曲を解説】ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

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たくさんの元気をくれるドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」ですが、こんなドヴォルザークのお話しを含む解説があります。

  ドヴォルザークが、ニューヨークのナショナル音楽院院長として招かれ、大西洋を渡ったのは1892年(51歳)のことであった。
 この曲(ドヴォルザーク「交響曲第9番『新世界より』」)はその翌年に完成されたもので、彼がはじめて耳にした、アメリカ・インディアンの民謡や黒人霊歌の旋律などが、巧みに取り入れられている。

 ところで、この曲の副題の「新世界」とは、むろん、新大陸アメリカのことをさしているが、この曲は、アメリカの風物を描いた標題交響曲ではない。「新世界より」とつけられているように、これは、アメリカから祖国チェコへ宛てた音楽による手紙とでも考えたらよいだろう。この曲に流れているのは、あくまでもチェコの精神なのである。ことに第2楽章ラルゴの旋律はたいへん有名で、ドヴォルザークの郷愁の思いが強くあらわれていて、胸を打つ。のちに、この旋律には歌詞が付けられ、「家路」という題で親しまれている 。

出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P66より引用

  この解説にあるように1892年から、ドヴォルザークはナショナル音楽院の院長をつとめます。

このナショナル音楽院は、まだ黒人差別の激しい当時としては珍しく黒人の学生の入学を認めていました。

とても自由な校風で、ドヴォルザークも、積極的に黒人学生たちと交流をもっていたそうです。

そんな毎日の中、彼らの心の歌ともいえる黒人霊歌と出会います。

霊歌とは、アフリカの原住民が、アメリカ大陸に奴隷として強制的に連れてこられて、苦役をこなす毎日の中で培われた、宗教性をおびた歌のことです。

「この黒人霊歌に宿る精神性はふる里のチェコの音楽に共通している」

そのように感じ取ったドヴォルザークはこの共通した精神性、あるいは音階の類似性をこの「交響曲第9番『新世界より』」に盛り込みます。

また、この「交響曲第9番『新世界より』」は、ドヴォルザークが「新世界(アメリカ)から、ふる里のチェコに向けて送った手紙」と解説にありますが、「まさにその通り」と言えますね。

そして、とくに第2楽章に、この傾向がみられます。

つまり、この「新世界(アメリカ)とチェコの音楽に共通の精神が宿っている」ことを感じた際の共感を伝える手紙と言いますか、音楽ともなって表現されているのです。

そんな思いを感じるドヴォルザーク「交響曲第9番『新世界より』」。

現代、あらためて聴き直すと、「成長した未来の自分から届く、満たされない今の自分への手紙」と感じる、勇気りんりんの1曲とも取れて、希望と喜びとが湧いてきます。

 

【各楽章を解説】ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

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それでは、勇気りんりんの1曲、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」の各楽章について解説したいと思います。

この曲は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

 

第1楽章「アダージョ―アレグロ・モルト(ゆるやかにー非常に速く)」

「新世界、アメリカ」の1日のはじまり、ゆったりとした朝もやのようなイメージで、始まります。朝つゆが葉をつたい、落ち、地を這う虫たちにも朝の訪れを静かに教えます。

弦楽器と木管楽器がメインの静かなメロディです。

すると、いきなり勇ましくも、力強い雷が落ちるがごとき音楽が展開していきます。
これは、まるで、物語りに出てくる巨人がいきなり眠りから目を覚まし、暴れまくるイメージにも取れます。

それは、まさしく「世界に君臨する巨人」ともいえる「新世界、アメリカ」の目覚め、力強く世界への責任を果さんと立ち上がる、勇者の雄叫び(おたけび)ともとれますね。

世界にひたすら元気と希望を与えんとする、その勇気りんりんの音楽は落ち込んだ気持ちをグングン上昇させてくれること、間違いなし!!

 

第2楽章「ラルゴ(表情ゆたかにゆったりと)」

他の3曲とは全くちがったイメージの癒やしと安らぎの曲としてして仕上げられていますね。

解説にも書きましたが、ドヴォルザークの故郷チェコの民謡とアメリカの黒人霊歌に宿る精神性とが共通していると、ドヴォルザークが感じながら作曲した1曲ですね。

コールアングレ(オーボエという管楽器より低い音)で歌われる有名なメロディが印象的です。

このメロディは、後にウィリアム・アームズ・フィッシャーが「家路」という曲に編曲し、作詞をしています。

さらに、これが、日本の唱歌として有名な「遠き山に日は落ちて」という曲にもなっています。


ウィリアム・アームズ・フィッシャー作曲「家路」→日本の唱歌「遠き山に日は落ちて」のもとになった曲です

 

第3楽章「スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェ(急速で快活に、とても速く)」

目覚めた巨人「アメリカ」が、機関車よろしく地響きとともに、爆走する姿。

スピード感あふれ、その「筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)とした体からは明らかに、はち切れんばかりのエネルギーがもれ出し、発散されています。

「アメリカの大地に響く、巨人の大きな足音と地響き」ともとれそうです。

 

第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ(速く熱烈に)」

まるで、映画「ジョーズ」を思わせるようなメロディで始まります。

その後、ホルンとトランペットで勇壮に歌われるドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」で最も有名なフレーズが現れます。

アメリカの象徴である巨大なハクトウワシが果てしなく、また、抜けるような青をおびた空をゆく。」

そんな限りなき「飛翔」を謳い(うたい)上げていると感じるのがこのドヴォルザーク「交響曲第9番『新世界より』第4楽章ですね♬

【2枚の名盤を解説】ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

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「機関車が大好き!」

そんなドヴォルザークが作曲する音楽は「機関車がシュ・シュ・ポ・ポ、シュ・シュ・ポ・ポ」と進む音のように流れていくように感じるのはアルパカだけではないと思います。

アルパカは地面を走る電車をながめるのが好きなのです。(鉄橋の上の電車は「音」の臨場感、あるいは体感に欠ける…かな)

そして、ドヴォルザークはというと、機関車が大好きなのです。

ドヴォルザークは機関車の知識や時刻表、駅名などを熟知していたとのことですが、それと同時に機関車の音を聴く(聞く)ことも大好きだったことでしょう。

そんなドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」の、「機関車感、満載」の1枚定番の1枚を紹介です。

 

レナード・バーンスタイン:指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

現代の鉄オタ(鉄道愛好家)の方も舌を巻くらいに鉄道(機関車)のことに精通していた言わば「鉄オタの元祖」と言っても差し支えないドヴォルザーク。

そういうことなら、こんな風をきりながら、堂々と疾駆(しっく)する機関車のごとき演奏はピッタリだと言えます。

まさしく、「パンチの効いた機関車感、満載!!」の1枚!

しかも、第2楽章の演奏スピードは、おそらく、市場に出回っているどのアルバムよりも遅いと思われます。

通常12分から13分くらいの曲ですが、このバーンスタインとイスラエルフィルハーモニー管弦楽団のものは、18分かけて演奏していますので、控えめに言っても、「遅い方の部類には入る」はずです。

しかも、その他の3曲が、第2楽章とは打って変わっての駆け抜けるようなスピードの堂々とした演奏に激変します。

それがこのアルバム全体をメリハリのあるスカッと心地いいものにしていると思います。

 

ヴァーツラフ・ノイマン:指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

ドヴォルザークのふる里、チェコで生まれた指揮者ノイマンと、これまたチェコの楽団とのタッグを組んでの完全に「意思疎通(いしそつう)」が実現した理想の演奏。

つまり、指揮者ノイマンとチェコフィルハーモニー管弦楽団、そして作曲者ドヴォルザークとの一体感ですね!

そして「迷い」というものが一切感じられない究極のアンサンブル(楽器同士の調和)!

さらに、熱気あふれるライブ録音!

まさしくこのドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」の超デフォルト(定番)の演奏!

買うアルバムに迷ったらコレ一択っすね!!

Apple Music

Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中

 

【解説と名盤、まとめ】ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

さて、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」、名盤の紹介と解説はいかがでしたか?

「また片思いか…。」「仕事で失敗した…。」「上司に怒られた…。」「宝くじがはずれた…。」

毎日、こんなことばかりのアルパカです。

ま、悩みは大小、いろいろありますよね。

そんな時は陰陰鬱々(いんいんうつうつ)と落ち込み、数日間、また場合によっては何ヶ月も立ち直れないものです。

でも、そんなつらい日々の中、ほんの少しでも、気持ちが上向いて来た時に聴くと、元気が出る音楽もあるものです。

今回は、そんな音楽の1曲、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」を紹介させていただきました。

そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

以上になります。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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