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シベリウス:交響曲第3番【解説と名盤3選】再生への決意が生んだ自然体の名曲

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再生と橋渡し

自然で心地いい

素朴な交響曲

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作曲家としての名声の中で贅沢に溺れるシベリウス…。再生への決意が生んだ個性の発露への布石…。

今回は、シベリウス:交響曲第3番解説とおすすめ名盤を紹介です。

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】シベリウス:交響曲第3番

耳疾(耳の病気)に悩まされていた4年間の中断の後で、42歳を迎えた巨匠が、 再び交響曲作曲の筆をとったのである。輝かしくも力強い30代の前2作と比べて、これはまた何と寂しい音楽だろう。(中略)1907年。この知られざる名作が書かれた年には、北欧ではグリークの死という出来事があった。その前年にはイプセンも亡くなっている。フィンランドの独立にはまだ10年早いが、北欧は激動の時期を迎えていた。《第3》の楽想の暗さには、歴史の影がさしているようにさえ思える

出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P182より引用

解説にありますがシベリウスは一時期、耳の病気にかかっており、この間は交響曲を作曲していません。作曲家としての名声を手に入れ贅沢な生活を送りながらも借金を抱え、同時に身体的にも病んでいたのです。

39歳のシベリウスは、フィンランドの首都ヘルシンキを離れることを決意します。同じくフィンランドの都市ヤルヴェンバーに引っ越し、住居となる山荘に「アイノラ」(妻の名前でもある)と名付けて静養を始めます。同じ時期に作曲も開始しますが、その1曲めが交響曲第3番なのです。

シベリウスの交響曲第3番は、いわば「過渡的」な作品といえます。交響曲第1番と第2番は後期ロマン派の流れを引いた壮大な仕上がりです。しかし第3番から後の、第4番から第7番は緊張感の高いペシミスティック(悲観的)な印象。シベリウスの交響曲の個性が強く表れてくるのが第4番以降といえるのです。

交響曲第3番は、初期の第1番や第2番に見られる勇ましさは鳴りをひそめます。また、後期の第4番から第7番のような奥深いテーマ性を持っているわけでもありません。

シベリウスの最後の交響曲である第7番は、本来あるべき交響曲の形である4楽章分の曲が1楽章に…つまり1曲に融合してしまっています。交響曲第3番も、第3楽章の1曲で、モデラート的な要素とアレグロとしての要素が融合しているという形です。これは交響曲第7番への布石といえます。

交響曲第3番が色々な意味で過渡的な作品であり、次の交響曲作品を性格づける橋渡しの役割を担っているといえそうです。

初演:1907年9月25日ヘルシンキにて

指揮:シベリウス自身

ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

編成:

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×4、トランペット×2、トロンボーン×3、ティンパニ

【各楽章を解説】シベリウス:交響曲第3番

第1楽章 アレグロ・モデラート(ほどよく速く)

深遠な低い弦の響きが刻まれた始まりは、過去シベリウスがイギリスを訪れた際に見た「沿岸が霧によって白く覆われた風景」を音楽に込めています

霧は晴れて光を差したかと思えば再び霧に覆われる様相を繰り返しながら音楽は徐々に盛り上がりを強めながら感動的に1楽章を閉じていきます。

第2楽章 アンダンテ・コン・モート(歩く速さで、動きを付けて)クアジ・アレグレット(やや速めで)

静けさの中に感傷的な気分を織り込んだ1曲でありシベリウスの当時の心境も、うかがえそうです。過去の贅沢で華美な生活におぼれた日々への内省とも取れるわびしさすら感じさせるからです。

シベリウスが静養のために移り住んだヤルヴェンバーで見られたであろう大自然の調和的な風景すら浮かんでくると感じます

第3楽章 モデラート(中くらいの速さで)アレグロ「マ・ノン・タント」メノ・アレグロ

テンポは勇壮に刻まれながら自在に力強さを変化させてスケルツォ風の展開をし、最後は第4楽章的なフィナーレを思わせる音楽を盛り上げながら交響曲第3番は終わっていきます

交響曲第3番の全体的な印象としては、いい意味で力むことのない自然体な音楽に昇華しているような感覚です。

【名盤3選の感想と解説】シベリウス:交響曲第3番

ベルグルンド:指揮 ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

シベリウスを得意としたベルグルンドならではの「確信と落ち着きから放たれるハーモニーとニュアンスは実に自然体な印象」の名盤。取り繕うような作為的なものがありませんので気がつくと「シベリウス世界」にどっぷりと入り込んでしまいます。

とてもなめらかで透明感のある響きもベルグルンドとヘルシンキフィル独特のものといえます。ベルグルンドはボーンマス交響楽団やヨーロッパ室内管弦楽団ともシベリウス交響曲全集の録音を残していますので聴き比べても面白いですね。

 

クラウス・マケラ:指揮 オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

整ったアンサンブルと楽器たちの細やかなニュアンスが伝わってくる名盤で録音もクリアで素晴らしいです。重厚な弦の響きや管楽器のやわらかい歌も魅力ですし第2楽章の優美な魅力にも合う美感です。

少し優等生的な演奏で民族的な香りのようなものは少ないかもしれません。しかし、さすがは将来が期待されている指揮者だけあって聴いた後の印象に良い香りが残ります。

録音の良さや現代性を求める方に喜ばれる名盤です。

サー・ジョン・バルビローリ:指揮 ハレ管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ゆったりと音楽をドライブしながら、壮大で牧歌的な世界が広がるような印象の名盤です。第2楽章では特にテンポ感がとても優美に歌いこまれていてイメージにピッタリ。第3楽章もゆったりと幻想的な雰囲気を表現しながら徐々に盛り上げていって感動的にフィナーレを迎えるところはさすが。

考え抜かれた構成にグッと来るものがあります。全体的に洗練といった言葉は合いませんが淡々とした中に深い味わいを漂わせる名盤です。

 

【まとめ】シベリウス:交響曲第3番

シベリウス:交響曲第3番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

再生と橋渡し

自然で心地いい

素朴な交響曲

7曲あるシベリウスの交響曲の中では地味な位置づけです。しかしシベリウスの個性がいかんなく発揮される前の過渡的な交響曲第3番も良い要素を持った自然体な名曲です。

ぜひ、一度、聴いてみてくださいね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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