アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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シベリウス:交響曲第4番【解説と名盤3選】ビロードの如く澄んだ黒、美しい交響曲

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深遠なる内省

瞑想的な時、

過ぎゆく…♫

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沈む…、沈む…、

憂い、まといし、

ロマンティシズムを

内に秘め…

 

そう、シベリウスの持つ耽美な魅力が漏れてくる「ビロードの如く美しい交響曲」…。

 

今回は、シベリウス《交響曲第4番》解説とおすすめ名盤を紹介です。

 

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】シベリウス《交響曲第4番》

 

今でこそシベリウスの最高傑作の呼声高いが、初演当時は専門家を含めて大方の理解の外にあった。(中略)第4番(交響曲)をもってシベリウスの作風転換点とするのが私の考え方だが、一般には、第2番の後、耳疾に悩まされ、多忙を極めてもいた苦渋の歳月を経て、6年目にやっと着手され、さらに3年間の苦吟のすえ完成した第3番を、"エロイカ的飛躍”と見る人が多い。だが私には、第3番は過渡的作品に思える。

出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P184より引用

シベリウスは第3番交響曲の初演のころ(1907年9月ごろ)に体調を崩し、喉に腫瘍が発見されます。喉頭がんの疑いがあったため手術を繰り返しますがシベリウス自身このことがきっかけで深く「死」を意識します。

結果的には腫瘍は良性であり喉頭がんではなかったわけですが、この際に医者から酒とたばこを止められたりしてもいます。

病が癒えたシベリウスは義兄とともに、北カレリア地方のコリ山地への旅にでます。この際に眼前に広がる大自然がシベリウスの創作意欲を刺激し、交響曲第4番が生まれるきっかけになっています。

シベリウス自身が交響曲第4番を「心理的交響曲」と名付けています。このことから「喉頭がんの疑い」と「手術からくる不安」により「死の影」を感じ取っていたことは確かと思われます。

この「死の影」が、ある意味で《交響曲第4番》の中心的なモチーフと言えそうです。

 

初演:1911年4月3日

ヘルシンキ・フィルハーモニー協会コンサートにて

指揮:シベリウス自身

ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

編成:

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×4、トランペット×2、トロンボーン×3、ティンパニ、グロッケン

 

【各楽章を解説】シベリウス《交響曲第4番》

第1楽章 テンポ・モルト・モデラート、クワジ・アダージョ:アダージョ

光も希望も

閉じてゆく

そっと静かに

音もなく

 

音なく流れる

音楽が、

曇った空を

見つめてる

 

ただただ

重くて

虚しくて

 

暗いお空を

垂こめる

 

重くて

虚しい

雲、いっぱい

 

だけど空気は

澄んでいる

不思議と不安を

織り交ぜて

 

どこか澄んでる

音がする…

 

第2楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ

交響曲第4番に吹く、一瞬の風…。

シベリウスの持つ独特な爽快感の中に、どことなく不安感を秘めつつ展開する幻想的な1曲です。

 

第3楽章 イル・テンポ・ラルゴ

おそれ

おののき

わなないて…

 

震え震えて

やってくる

 

不安の影は

大ガマで

 

虚空を舞って

もてあそぶ

死神、

姿を見せては消える

 

ホントに

見えてる

ものなのか

 

ホントに

大ガマ、持ち上げて

振り下ろしては

切り裂くか

 

ただただ不安に

さいなまれ

 

おそれ

おののき

わなないて…

 

第4楽章 アレグロ

第4楽章まで来ると少し光が見えてきます。垣間見える天の国…。グロッケンシュピール(鉄琴)がその透明度の高い世界を表します。

音楽は静けさを含みながらも楽天的に展開していきます。

しかし、ある時ふと「死の影」はよみがえり、幻想的な印象を再び呼び起こしつつ、光を減じていきます。そして、音楽は、そっと…虚空へと消えてゆくのです。

 

【名盤3選の感想と解説】シベリウス《交響曲第4番》

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 & ヘルベルト・フォン・カラヤン

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

演奏における集中力と緊張感の高まりが、シベリウスの不安な心境を引き出している名盤です。

始まりの第1楽章から硬質で冷たい肌触りにゾクッとさせられます。

シベリウスの交響曲第4番のような曲は、民族性や作曲家の個性の表現を行うよりはカラヤンのような理性的なアプローチが迫ってくるものがあります。

「シベリウスが…」というよりは「人」が根源的に持つ不安や怖れのようなものが全体に流れつつ、超絶的に美しい音世界が展開しています。

北欧的というよりはドイツ的な重厚感に寄せた名盤とも言えそうです。

 

パーヴォ・ベルグルンド:指揮 ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 

Paavo Berglund/Helsinki Philharmonic Orchestra

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

シベリウスとともに初演を行ったヘルシンキフィルを振ったベルグルンドの名盤です。

フィンランドの風や大自然の匂いとは、このようなヒンヤリとした感じなのでしょうか?

ベルグルンドの名盤にはヨーロッパ室内管弦楽団とのものやボーンマス交響楽団とのものがあります。これらと比べるとヘルシンキフィルの名盤には素朴で渋い味わいを感じます。

カラヤンの名盤のような磨き抜かれた重厚感とは違う魅力、深刻さからは離れて、おっとりした感じはあります。

技巧のカラヤンか伝統のベルグルンドかで迷うところですが、どちらもシベリウスの交響曲第4番の違った魅力を表出しています。

 

ロリン・マゼール:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 & ロリン・マゼール

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

不安や怖れの表現の中に、どことなく気高さや気品のようなものが感じられる名盤です。

重厚というよりは深み、幻想的というよりは澄み切った清らかさを感じる名盤です。

カラヤンの名盤のような「厳しさ」という面は減じられているものの、シベリウスの音楽が本来っている透明感のようなものが現出しています。

悲しみに打ちひしがれるような深い寂しさからは距離をおきながらも、ある意味でのシベリウスらしさや美しさを感じ取れる名盤です。

Apple Music

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【まとめ】シベリウス《交響曲第4番》

 

さて、シベリウス《交響曲第4番》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

 

深遠なる内省

瞑想的な時、

過ぎゆく…♫

 

シベリウス自身が「心理的交響曲」と名付けた名曲交響曲第4番。

  • 不安
  • 恐れ
  • 焦燥感

人生を渡っていく上で誰もが感じる気持ちや感情を音楽というフィールドで表現したシベリウスの名曲。

「どことなく」ではあっても共感する部分があるかもしれません。

 

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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