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シベリウス:交響曲第6番【解説と名盤3選】可憐に響く、透き通る美しさ

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駆けぬける音

透ける空気…

神秘の交響曲♫

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透明度を増しながら、飛翔するがごとき美しさ…。宗教的ですらある曲調に影響する、人との別れ…。

今回は、シベリウス交響曲第6番解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】シベリウス:交響曲第6番

ベートーヴェンが、第6交響曲《田園》を、第5《運命》と同じ1808年に書いたように、シベリウスは、彼の《第6》を《第7》と同じ1923年に平行して作曲した。共に明暗軟硬の対照よろしきを得て、反対の性格の作品である。重厚な《第7》に対して、軽妙可憐ともいえる《第6》が、シベリウスの《田園》でありうるかどうかは別として、この傑作のもつ澄明さは、まさにビゼーの《ハ長調交響曲》にも通じる純粋さをもっている。

出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P108より引用

解説にありますように「軽妙可憐」で明るい基調を持って惹きつる魅力があるのが交響曲第6番です。交響曲第6番と同時進行で交響曲第5番と第7番を作曲していたシベリウス。シベリウス生誕50年記念行事用の第5番が先に作曲されます。第6番は着想(1914年)から完成するまでに約10年近くを費やしています。

交響曲第6番では教会旋法のひとつであるドリア旋法を採用しているため宗教的な色彩を持ち、まるで「澄んだ水」を連想させる曲です。1919年にシベリウスを経済的に支援していたカルペラン男爵が亡くなったこと。1922年にはシベリウスの弟のクリスティアンも亡くなっていますが、このことも交響曲第6番に影響していると考えられています

初演:1923年月2日19日

指揮:シベリウス自身
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

編成:

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、バス・クラリネット、ファゴット2、ホルン×4、トランペット×3、トロンボーン×3、ティンパニ、ハープ

 

【各楽章を解説】シベリウス:交響曲第6番

第1楽章 アレグロ・モルト・モデラート(適度に快速に)

澄み切った哀しみのような歌をヴァイオリンが奏でて始まります。引き継ぐようにオーボエとフルートが柔らかいメロディを歌い始めながら神秘的なオーラをまとっていきます。

ドリア旋法を採用し、ひんやりとした風が通り過ぎてゆくような、さっそうと駆け抜けるような曲調で展開します。

第2楽章 アレグレット・モデラート(ほどよく速く)|ポコ・コン・モート(少し動きをつけて)

フルートとファゴットがゆったりと奏でられながら、弦の歌が重なり幻想的な印象を強めていきます。全体的に妖精が舞うような優しい旋律で満たされていきます。第1楽章と第3楽章をつなぐようなイメージです。

第3楽章 ポコ・ヴィヴァーチェ(活発に)

第2楽章よりも勇ましい曲調ですが、幻想性が減ることはなく弾むような印象が強まりながら行進曲風に展開していきます。

第4楽章 アレグロ・モルト(非常に速く)|ドッピオ・ピウ・レント(2倍の遅さで)

ドリア旋法で展開しながら宗教的な神秘性を帯びていきますが、第3楽章の勇ましさをも残しています。しかし、派手に鳴り響くような印象はなく、第1楽章から続くひんやりとした透明感のある風が通り過ぎてゆく曲調のまま終わっていきます。

 

【名盤3選の感想と解説】シベリウス:交響曲第6番

パーヴォ・ベルグルンド:指揮 ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

ベルグルンドの指揮するシベリウスは第6番においても流れに滞りが感じられず、実に自然な歌が聴こえる名盤です。北欧を覆う空気の透明感のようなものが伝わってきますし神秘性をまとった耽美な名盤でもあります。

録音の新しいヨーロッパ室内管弦楽団も評価の高い名盤ですが、音楽の自然な流れや神秘性、透明感をより感じられるヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団を選んでみました。聴き比べてみても面白いと思います。

サー・コリン・デイヴィス:指揮 ボストン交響楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ベルグルンドの名盤よりは骨太な仕上がりの名盤です。透明度や神秘性という面では及ばないものの音楽の構築性や陽気さが感じられます。シベリウスの音楽に対するアプローチの仕方の違いとは思いますが、デイヴィスの演奏の持って行き方がシックリくる方も多いと思います。

腰を据えてしっかりとした土台の上に作り上げられたスキのないバランスのいい演奏のシベリウスです。

ジョン・バルビローリ:指揮 ハレ管弦楽団 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

全体的にゆったりしたテンポでていねいに作り上げられた名盤です。この包み込むようなあたたさはバルビローリ独特のもの。あまり理性に片寄ると冷たい印象の曲になってしまうはずの曲ですが冷たさは感じさせません

交響曲第6番が持つ本来のメロディラインの美しさが再確認できる意味でも基調な名盤といえます。

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【まとめ】シベリウス:交響曲第6番

シベリウス交響曲第6番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

駆けぬける音と

透ける空気…

神秘の交響曲♫

全7曲あるシベリウスの交響曲の中では地味な位置にある曲ですが「軽妙可憐」な交響曲第6番はある意味でシベリウスの持つ特徴が表れています。明るい基調を持ちながらその透明感に惹かれ心洗われますね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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