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夏のおすすめ【クラシック曲10選】涼しく過ごせる有名曲も…♬

ブラームス:交響曲第4番【解説と名盤5選】叙情的な心情が発露した最後の交響曲

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懐古する音楽

秋のごとき詩情

色づく、紅(くれない)交響曲

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50歳を超え、憂愁の度合いを深める人生とともに音楽は懐古するように古典的な装いでまとわれていきます。ブラームス自身が「最高傑作」と語った名曲

今回は、ブラームスの交響曲第4番解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】ブラームス:交響曲第4番

曲の背景を解説

ブラームスの最後の交響曲で、その死の床で、もっとも好きな曲だ、と言ったと伝えられる曲である。(中略)この曲を作曲した52歳のころ(1885年)には、すでに大作曲家として栄光に包まれてはいたが、親しい友人たちとの別離や死別があいつぎ、”人生の秋”をしみじみと味わっていた。この曲には、そうしたブラームスの孤独感や諦観、といったものが強く表面にあらわれていて、曲全体にいぶし銀のような”渋さ”がただよっているのである。

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P59より引用

解説にありますが、ブラームス自身が「もっとも好きな曲だ…」と語ったとのことです。ブラームスの最後の交響曲でもありますので注目の1曲といえます。当時すでに音楽家としての評価が高く、多くの友人にも囲まれた人生でしたが年齢的には季節でいえば「秋」…。

親しい人たちが亡くなっていく中で、自身の「死」の順番は確実に近づいているといった刻(とき)でもありました。交響曲第4番の持つ独特の深みはブラームスの当時の心情が色濃く表れているといえそうです。

作曲のエピソード

1884年の夏、51歳のブラームスはミュルツツーシュラークで夏を過ごしていましたが、この時に交響曲第4番の第1楽章と第2楽章を作曲。残りの第3楽章と第4楽章は翌年の1885年の夏に作曲されて完成を見ています。

1885年の9月にブラームスのピアノの教え子であったエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクに対して第1楽章についての感想を求めています。彼女は専門的な分析の対象としての評価はできるとしても音楽理論を前提としない素朴な音楽愛好家からは理解されないのではないかと論評。しかし作品自体に宿る豊かな楽想や美しさについては高い評価をしていました。

交響曲第4番が作曲される以前のこと、1882年の1月にブラームスは友人であり指揮者でもあるハンス・フォン・ビューローにある相談をしています。

バッハのカンタータ第150 番《主よ、われ汝を仰ぎ求む》の主題の形を変えて交響曲の楽章を構想したらどうだろうか…いささか修正を入れる必要はあるが…」。

と語っており交響曲第4番の第4楽章でこのアイデアを採用しています。

初演の際のエピソード

初演を目前に控えた1885年の10月8日にブラームスはウィーンに友人たちを呼び集めて交響曲第4番の2台のピアノによる編曲バージョンを披露します。音楽評論家のエドゥアルト・ハンスリックや指揮者のハンス・リヒター、伝記作家のマックス・カルベックらが出席。評価としては賛否両論で意見は分かれたようです。

解説が前後しますが、初演後、ワーグナー派の急先鋒でありブラームスの批判者であるフーゴー・ヴォルフは交響曲第4番について

「中身が空っぽ、空しくてうつろ、ただの見せかけ…」

と、非難しています。作曲家のグスタフ・マーラーからも批判されたということもありました。

しかし、実際の初演は大成功であり、各楽章が終わるたびに拍手が起こったとの記録が残っています。初演に参席していたマイニンゲン公ゲオルク2世からもリクエストがあり第1楽章と第3楽章が再び演奏されたほどでした。

初演:1885年10月25日マイニンゲンにて

指揮:ブラームス自身

マイニンゲン宮廷管弦楽団

編成:

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ピッコロ×2(2番は、フルートに持ち替えあり)ファゴット×2、コントラファゴット×2、ホルン×4、トランペット×2、トロンボーン×3、ティンパニ、トライアングル

【各楽章を解説】ブラームス:交響曲第4番

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ(速く、しかしあまり速すぎないように)

前奏がなく始まる主旋律が、そこはかとなく胸を締め付けてくるようなさみしさで覆いつくしていきます。まるでスローモーションで舞い降りてくる枯れ葉が、黄色から紅(くれない)色のグラデーションを見せながら地にたどり着くように…。

風に遊ばれながら遠くへと去ってゆく紅(くれない)は広い地面の紅(くれない)に溶け込んで美しい…。秋という季節の美しさを音の装いで表したようなとても豊かで、深い味わいを含んで展開する楽章です。

 

第1楽章はいきなり4拍目から始まるアウフタクトといったところが特徴ですが、ブラームス自身は短い前奏を入れたほうがいいと考えたことがあったようです。室内楽のような小規模の曲であれば問題ありませんが編成が大きくなるとアンサンブルが難しいからです。

遺っている楽譜には書いてから消された跡が残っているところをみると、ブラームスが迷っていたことがうかがえます。アウフタクトで始まることで交響曲第4番のどことなくはかなげで静けさの感じられるといった個性が表れています

第2楽章 アンダンテ・モデラート(歩くような、中くらいの速さで)

温かみとともに優しさが感じられる楽章であり、とらえどころのないもの寂しさも漂います。しかしその寂しさはなんともいえない潤いのある感情をともなったものであっていとわしいものではありません。

曲の最後の方では印象的な旋律が表れて、聴く者を幸福な気持ちに誘います。家庭を持つことがなく孤独を好んだ…いや、孤独を選んだブラームスが紡ぎ出した「この上なく美しい歌」が聴きどころです。

 

第2楽章ではフリギア旋法という教会旋法の中のひとつが使われています。ブラームスの古典的な音楽への敬意が表れたひとつの例といえます。本来「ドレミファ…」から始まる音階を「ミファソラ…」と始める旋法になります。

単旋律で歌われるグレゴリオ聖歌のような、良い意味での「地に足がつかないような浮遊感」が感じられる非常に調和的で柔らかい楽章です。

第3楽章 アレグロ・ジョコーソ(速いテンポで陽気におどけて)

交響曲第4番の中ではとても明るく開放感のある楽章です。第3楽章がまるで最終楽章のようであってそのまま終わってしまってもおかしくないくらいの勢いです。第3楽章の明るさが交響曲第4番の全体が文学的に沈んでしまわない役割を担っているように感じます。

第4楽章 アレグロ・エネルジーコ・エ・パッショナート(速くて精力的に、情熱的で力強く)

勢いのある熱情的な始まり方をしますが、ブラームスによる「秋の歌」は健在です。第3楽章の明るく情熱的だった曲調から情熱を含みながらも「憂いの気持ち」をブレンドした力強さを保ちます

途中でスローテンポに変わりますが、曲のラストに向けて再び勢いを増しドラマティックに第4楽章は終わっていくのです。

 

バッハのカンタータ第150 番《主よ、われ汝を仰ぎ求む》の終曲「悲しみの日々」の主題を用いながら形を変えて引用しています。「シャコンヌ」といわれる3拍子の変奏曲形式で書かれていて、ここでもブラームスの古典的な音楽への敬意が感じられます

もともとブラームスは変奏曲を作曲することを得意としています。《ハイドンの主題による変奏曲》という曲でも、部分的にシャコンヌの様式を採用して素晴らしい名曲を残しています。

【名盤3選の感想と解説】ブラームス:交響曲第4番

オットマール・スイトナー:指揮 シュターツカペレ・ベルリン

シュターツカペレ・ベルリン & Otmar Suitner

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

残響が少し多めの録音が独特の余韻を残しますが、叙情性の極みである交響曲第4番にはピッタリ合います。スイトナーの「楽団の持つ特性を引き出すことに力を注ぐ」姿勢は「自然体であることが大切な交響曲第4番」の持つ性格そのもの

楽団員もスイトナーの音楽性に敬意を持っていたのかもしれません。「お互いに尊重する思いを交響曲第4番という音楽が取り持つ」ことによって美しさの極みをこの地上に表しました。たくさんの名盤に触れる中で一度は聴いておきたい交響曲第4番の名演奏です。

サー・ジョン・バルビローリ:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

Sir John Barbirolli

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

悠揚迫らぬテンポで展開する「くつろぎ」のブラームスといえる名盤です。ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の波間に揺れて大海をゆったりと浮かぶごとくのふところの深さ、弦の艶やかさ、木管のまろやかさなどは美の極み。

バルビローリという稀有なる音を生み出すアーティストであればこそ引き出せた芸術といえるかもしれません。楚々とした中に気品があふれる名盤はなかなか存在しませんがそのひとつがバルビローリのブラームスといえそうです。

カール・ベーム:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ヨハネス・ブラームス & カール・ベーム

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

抒情に流されすぎす知性にも偏りすぎないバランスの良さが光る名盤です。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の柔らかい音の特質が活きていて心地いい。

色々な名盤を聴いていて基本軸がどこにあるのかが分からなくなった時に聴くと安心できます。1976年度のレコードアカデミー賞を受賞した経歴もある名盤です。

ブルーノ・ワルター:指揮 コロンビア交響楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ゆったりとたゆたうようにブラームスの音楽の持つ叙情性が波打っています。温かみを帯びた音の美感をともなって流れるワルターのブラームスは交響曲の何番であっても素晴らしい。力を抜いた自然体な演奏が合う第4番は特に…。

本来パワフルな第3楽章は力不足に感じるかもしれませんが交響曲第4番における第3楽章はむしろこれくらいが全体との調和がとれて素晴らしいと思える名盤です。

エフゲニー・ムラヴィンスキー:指揮 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 

エフゲニ・ムラヴィンスキー

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アルパカのおすすめ度★★★☆☆

【名盤の解説】

ブラームスの持つ詩情や叙情性に少しバテ気味…というときにスカッとスマートに聴ける名盤が恋しくなった時にいいかもしれません。カラヤンの名盤も捨てがたいところですが冬のロシア風の透徹した印象が加わったブラ4もなかなか乙なもの。

「秋」の印象のあるブラームスの音楽ですが、「秋」よりは少し「冬」寄りの透明度の高いブラームスです。

 

【まとめ】ブラームス:交響曲第4番

ブラームスの交響曲第4番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?ブラームスが「最高傑作」と語った名曲ですが「自身の心情を余すところなくひとつの音楽の中に託すことができた」ということなのかもしれません。

懐古する音楽

秋のごとき詩情

色づく紅(くれない)交響曲

ブラームス、最後の交響曲にして自身にとっての最高傑作…。ぜひ一度、たっぷりとした時間の中で、じっくりと聴いてみてくださいね。

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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