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クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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ブラームス:交響曲第3番【解説と名盤3選】自然とあふれくる潤いとメランコリック!

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自由に、喜ばしく

のどかに響く

自然体交響曲

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「ブラームスの英雄交響曲だ…」

「自由に、しかし楽しく…」

「森の牧歌…」

さまざまな言葉に表されるブラームスの交響曲第3番。

しかし、

「まるで独創性を欠く、できそこないの作品である…」との心ない批判も浴びせられた名曲。

今回は、ブラームス:交響曲第3番解説とおすすめ名盤を紹介です。

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】ブラームス:交響曲第3番

作曲の背景

初演のタクトを振った名指揮者ハンス・リヒターが、「この曲は、ブラームスの『英雄(エロイカ)』だといったことから、この曲は、俗に「英雄」とも呼ばれている。(中略)ブラームスの交響曲のなかではもっとも男性的でたくましく、スケールの大きな作品となっているのである。

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P58より引用

解説にある指揮者のハンス・リヒターの「ブラームスの英雄交響曲だ…」といった言葉の他にも称賛の言葉が残っています。

「自由に、しかし楽しく…(Frei aber froh)」とはブラームスの友人であった伝記作者カルベックが交響曲第3番を形容した言葉です。ブラームスは、この「自由に、しかし楽しく…(Frei aber froh)」という言葉を若い頃から日常の心がけとして生きてきました

交響曲第3番ではF-A♭-Fの音形がたびたび出てきますが「自由に、しかし楽しく…(Frei aber froh)」の頭文字「F」「A」「B」の頭文字をとってカルベックが語ったものでした。

音楽家シューマンの妻、クララは「森の牧歌」と表現しています。森で暮らす際に感じられる「神秘的な魅力」を交響曲第3番から感じ取っていたようです。

交響曲第3番が作曲された1883年、作曲家のワーグナーが他界します。もともと「ワーグナー派」と「ブラームス派」とで音楽の目指す方向性で対立していました。ワーグナーが亡くなったという時期と重なったことが影響したのか、ワーグナー派の急先鋒のフーゴ・ヴォルフは手きびしい批判を加えています

「まるで独創性を欠く、できそこないの作品である…」と…

エピソードに事欠かない曲ではありますが、当のブラームス自身はワーグナーの逝去の際には月桂冠を贈り、ワーグナーの偉業に対して最大限の敬意を表しています。

50歳のブラームスの恋

交響曲第3番を作曲した1883年、50歳のブラームスはヘルミーネ・シュピースという27歳のアルト歌手に思いを寄せていました。当時のブラームスはヘルミーネのために多くの歌曲を作曲しました。年の差はあるもののまわりの誰もが2人は結婚すると思っていたようです。

結果的には結ばれることはありませんでしたが、交響曲第3番の持つ静けさやどことなくメランコリック(憂うつ)な雰囲気はヘルミーネへの実らぬ恋も影響していたのかもしれません

初演:1883年12月2日 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会

指揮:ハンス・リヒター

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

編成:

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×2、コントラファゴット×1、ホルン×4、トランペット×2、トロンボーン×3、ティンパニ、

 

初演:1883年12月2日ウィーンの楽友協会ホールにて、ハンス・リヒター指揮による
楽器編成:フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、弦五部

【各楽章を解説】ブラームス:交響曲第3番

第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(速く、活き活きと元気よく)

「自由に、しかし楽しく…(Frei aber froh)」

ブラームスの心がけ、モットーといってもいい音形「F-A♭-F」を管楽器が歌い上げて第1主題が始まります。この後、基本音形を保ちながら盛り上がります。ほどなくしてクラリネットの調和的で柔らな歌、第2主題が始まり曲は壮大なドラマを含みながら感動的に展開していきます。

非常に劇的な楽章ですが終わりは静寂に覆われて、なんともしみじみとした終わりを迎えます

第2楽章 アンダンテ(歩く速さで)

柔らかい旋律をクラリネットとファゴットが優しく歌いだします。「森の静けさ」のような印象の曲ですが、ラスト間近で非常にロマンティックな響きにも満たされ調和的な魅力もある楽章といえます。

第3楽章 ポコ・アレグレット(やや速く、しかし速くなりすぎないように)

フランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き」という作品を原作にした「さよならをもう一度」という映画の中でも使われました。ある意味でもっともブラームスらしい楽章で憂うつな旋律の中に心を震わすような美しさを秘めた名曲です。

第4楽章 アレグロ|アン・ポコ・ソステヌート(速く|ひとつひとつの音を気持ち長めに)

暗さをまとったファゴットの歌を弦楽器がなぞりながら静かに始まりますが、いきなり熱を帯びた激したブラームスの歌が鳴り響きます。まるで嵐のように荒れ狂いフィナーレにふさわしい劇的な展開です。しかし、交響曲第3番のどの楽章でも同じように、終わりは静かな曲調となり消え入るように音楽を終えていくのです。

【名盤3選の感想と解説】ブラームス:交響曲第3番

クルト・ザンデルリンク:指揮 シュターカペレ・ドレスデン 

クルト・ザンデルリンク

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

全体的にはゆったりしたテンポをとっていますが、なんともいえない絶妙さが感じられる感覚です。歌いまわしが柔らかいのにしっかりと熟成された深い味わいがあります。品のある奥ゆかしい表現はザンデルリンクの特徴ですがブラームスの交響曲第3番という自然体の美しさのようなものが求められる曲に合います。

第1楽章の遅めのテンポは、ザンデルリンクの音楽性にピッタリとハマりながら各楽器の歌が重ねられていきます第2楽章の美しさは厳しい夏の季節を超えた後の、秋に感じる清々しさのようなものが漂います

第3楽章において弦で歌われる寂しげなメロディ、管楽器も切々と歌いながら耽美の極地を表現しています第4楽章のテンポはむしろ少し速めにでドラマティックに聴けます。楽団の持つダイナミックさがいかんなく発揮されていますが第1楽章から続く歌いまわしの感情の豊かさは減ることはなく非常に聴きごたえのある最終楽章になっています。

カール・ベーム:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ヨハネス・ブラームス & カール・ベーム

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ゆったりとしたテンポを取りながらも深刻になることはなく、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の柔らかい美感に包まれた名盤です。木管の絹の手触りのようなたおやかさや弦の持つ重厚感も魅力になっています。

円熟の極みとも言えるベーム指揮による構築感が魅力のブラームス。ひとつひとつのフレーズや楽器たちの混ざり合うハーモニーをゆったりと楽しむのに適した名盤です。

 

ブルーノ・ワルター:指揮 コロンビア交響楽団

ブルーノ・ワルター

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

整った中にもしっかりとした歌や重厚感を帯びたドイツ系の演奏とは少し離れます。しかし、晩年のワルターの奇をてらうことのない自然体のブラームスが聴けます。

ワルター特有の温かみのある演奏は、コロンビア交響楽団との録音によく表れていますがブラームス交響曲第3番の美感にとても合っています。特に第3楽章のメランコリックな歌を秘めた名曲はワルターの手にかかるとグッと胸が熱くなる感覚の名盤です。

 

【まとめ】ブラームス:交響曲第3番

ブラームス:交響曲第3番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

「ブラームスの英雄交響曲だ…」

「自由に、しかし楽しく…」

「森の牧歌…」

さまざまな評価のある中には悪評もありましたが、全体的には初演での評判はとても良く現在でも人気の曲として知られています。

ブラームスの友人の語る「ブラームスが生きる上でモットーとした『自由に、しかし喜ばしく』が体現した交響曲第3番

ぜひ聴いてみてくださいね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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