アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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シューベルト:ピアノソナタ第21番【解説と名盤3選】ひらり歌うよ、自由な空に…

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やさしく歌い…

時にさみしい…

そよ風ソナタ♫

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「この中で最も早く死ぬヤツに…乾杯!」

ベートーヴェンの葬儀に参列の後、居酒屋で乾杯の音頭をとるシューベルト…。

その後、シューベルトはベートーヴェンの後を追うように…。

 

今回は、シューベルトの最後のピアノソナタである第21番、解説とおすすめ名盤を紹介です。

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】シューベルト:ピアノソナタ第21番

多くの人びとは、フランツ・シューベルトリート(歌謡)作家だと思っている。(中略)構築的な、ベートーヴェン型の器楽形式には向かない、というわけである。《即興曲》や《楽興の時》でのシューベルトは高く評価しても、交響曲やピアノソナタでは……と首をかしげるのだ。(中略)シューベルトを聴く時(中略)私達は甘美で純粋な旋律美と、和声の魅惑に酔いしれてしまおう。 花の大きさがどうの、順番がどうの、種類に統一が……などという、ものをああこういう人にはシューベルトは向かない。

出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」P85より引用

シューベルトは生涯ベートーヴェンを尊敬し目標にしてきました。有名な「未完成交響曲」が未完成である原因がベートーヴェンの第9を聴いたシューベルトが作曲の意欲をなくしたからという説もあるくらいです。

1827年3月29日、ベートーヴェンの葬儀に参列したシューベルトは友人たちと立ち寄った居酒屋で乾杯の音頭をとります。

「この中で最も早く死ぬヤツに…乾杯!」

乾杯の音頭の言葉にシューベルトの友人たちは、みんな不吉なものを覚えたといいます。この言葉に導かれるように、翌年シューベルトは他界しています。

ピアノ・ソナタ第21番は死の2ヶ月前に書かれた名曲です。静かな始まりや時おり見せる深い憂いをおびた旋律などからは、どことなく「死の予感」を漂わせていると感じてしまいます。

【各楽章を解説】シューベルト:ピアノソナタ第21番

第1楽章 モルト・モデラート(非常におだやかに)

春の木漏れ日のようなやわらかく、おだやかな始まりです。無邪気に楽しむおさな子のような朗らかさすら感じます。しかし途中で暗い影が降りてきながら音楽のテンポがともに上がっていきます

何度か音楽の色彩を変化させながら、時には光と影が交差して彩り豊かに展開する感動的な第1楽章です。

第2楽章 アンダンテ・ソステヌート(歩くテンポより少し遅く)

シューベルトが生涯を通じて感じていた憂鬱さが曲全体を支配しているようです。刻まれるひとつひとつの音にシューベルトの心情が乗り移ります。望みが絶たれながら独りうなだれる人の姿が見えるてくる感覚です…。

静かに始まった音楽は「音がない…」といえるほどの音をささやきながら、その響きをまるで霧のように散らし…消えていくのです。

第3楽章 スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ・コン・デリカテッツァ(急速で快活に) - トリオ

急にテンポの速い明るさを持った楽章が展開します。今までの静寂がウソのように晴れやかに抜ける空の青さのようです。

スケルツォ楽章らしく、おどけて楽しい雰囲気です。

第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ - プレスト(速く、しかしあまり速すぎないように-きわめて速く)

ピアノが喜ばしく歌う、明るい曲調の最終楽章。始めは暗めの旋律を歌いますが途中で自在に転調して明るい光を投げかけてきます。

リズム、テンポ、旋律、それぞれが踊りつつ変化しながら最終楽章に色を添えていきます。最後は全ての憂さを晴らすかのように力強くピアノが歌い、終わっていくのです

【名盤3選の感想と解説】シューベルト:ピアノソナタ第21番

イングリット・ヘブラー:ピアノ

イングリット・ヘブラー

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

竿の先に止まって日向ぼっこをするトンボが、その透明な羽根を風に遊ばせる姿をジッとながめるような無心な気持ち…。

何も作為がなく手を加えようなんて考えないピアノ…。

ただただシューベルトをシューベルトたらしめる心持ちが存在するのだとしたらへブラーのシューベルトにたどり着く…。

面白みがない?強い個性を感じない?ハッと驚かせる技巧がない?

ところで、面白みって必要?個性の発露ってそんなに大事?人を驚かせてどうするの?

いかがですか…

気持ち…ゆるめません…?

さあ思い出しましょう…キノミキノママ、アリママ…そんなシューベルト…ここにあります…。

スヴァトスラフ・リヒテル:ピアノ

スヴャトスラフ・リヒテル

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

驚異的といえる第1楽章のテンポの遅さ第2楽章の悲しみの深さが印象的で、深い諦観を感じさせます。まるで色を伴わない水墨画の世界を連想させますが、じっと音を見つめ続けるとその奥から湧き出てくる「色」「色」「色」…

第3楽章は第1、2楽章とは打って変わってのスピード感を持ったリヒテルの技巧がキラリと光る演奏です。底抜けに明るくダイナミックに展開する第4楽章も聴かせどころです

全体として変化の大きい個性的なシューベルトのピアノソナタ第21番です。

アルフレッド・ブレンデル:ピアノ

アルフレッド・ブレンデル

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

シューベルトを弾き続けて磨き込みながらキラめかせることに長けたブレンデルの名盤です。音のひと粒ひと粒が喜びながら空気を震わせて活き活きと踊ります

本来、形にとらわれること無く自由に流れるシューベルトの音楽をブレンデルのほどよい構築感で統率して響きながら安心して聴ける名盤。録音されたブレンデルのシューベルトはどれもが素晴らしい演奏です。

【まとめ】シューベルト:ピアノソナタ第21番

シューベルトのピアノソナタ第21番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

やさしく歌い…

時にさみしい…

そよ風ソナタ♫

ピアノソナタはハイドンが発展させてモーツアルトが続き、ベートーヴェンが完成させた感があります…。しかし、シューベルトの後に10曲を超えるピアノソナタを作曲したアーティストはいません。

ある意味、ハイドンからシューベルトまでが「ピアノソナタ文明」(?)の繁栄した時代だったといえるかもしれません。

「文明の幕引き」のような美しい名曲ピアノソナタ、ぜひ聴いてみてくださいね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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