アルパカと聴く幸福なクラシック

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チャイコフスキー:交響曲第4番【解説と名盤3選の感想】運命のリズムと美の循環

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気高さと苦しさ

循環する思考、

その喜び、らせん形…

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「ダモクレスの剣」

 

それは「豊かで平和な毎日を楽しむ」その頭上に髪の毛一本で吊るされ、いつ落ちてくるかもわからない恐怖の象徴!

 

しかし、そんな毎日の中でも「幸福をあきらめない!」

 

 

さて、今回は、そんな劇的なストーリー性をも秘めたチャイコフスキー《交響曲第4番》解説とおすすめ名盤を紹介です。

 

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【解説】チャイコフスキー《交響曲第4番》

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チャイコフスキー《交響曲第4番》についてのこんな解説があります。  

この交響曲が作曲された1877年(37歳)という年は、チャイコフスキーの生涯にとってもっとも重要なできごとが、たて続けに起こった年である。その一つは、その後13年間も続くことになった、富豪の未亡人で、音楽愛好家のナジェージダ・フォン・メック夫人からの経済的な援助と、手紙による交際がはじまったことで、もう一つは、教え子のミリューコヴァとの不幸な結婚である。(中略)チャイコフスキーは、強度のノイローゼとなって、わずか2ヶ月あまりで、この結婚は幕となった。

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P62より引用

 

「幸不幸」はあざなえる縄の如く…

 

《第4交響曲》の一つの小節といえども、私が真に感じたものを表していないものはなく、また私の心の秘奥を反映していないものはない」

 

この言葉はチャイコフスキーが弟子のセルゲイ・タネーエフに語ったものです。

そして《交響曲第4番》を作曲時のチャイコフスキーは、この言葉を象徴するような経験をします。

 

そう、解説にありますように幸不幸がまるで「あざなえる縄のごとく」にチャイコフスキーに訪れたのです。

  • 生涯の経済的援助を続けた理解者、ナジェージダ・フォン・メック夫人との手紙を通じての出会い
  • アントニーナ・ミリューコヴァとの結婚から1ヶ月も持たずに別居

の2つです。

 

アントニーナ・ミリューコヴァはチャイコフスキーがモスクワ音楽院の教授時代に教えたことのある生徒でした。

そしてミリューコヴァの熱烈アタックによって結婚を実現させますが、チャイコフスキー自身は実は乗り気ではありませんでした。

そして、繊細な心を持つチャイコフスキーは結婚後、強度のノイローゼ状態に陥ります。

そして、思いつめたチャイコフスキーはモスクワ川での投身自殺を図るところまで追い詰められました。

そのご結婚生活は完全に破綻して人生の闇を経験するチャイコフスキー。

しかし、同じ頃、別方向からは新たな光がチャイコフスキーに差し始めます。

そう、チャイコフスキーを経済的に支え続けた女性、ナジェージダ・フォン・メック夫人との出会いです。

生涯直接に合うことのなかった2人でしたが、手紙での交流を続けチャイコフスキーを精神的にも経済的にも支えたのがメック夫人でした。

 

《交響曲第4番》は、そんなチャイコフスキーの

  • 幸不幸
  • 光と影
  • 喜びと苦しみ

という人生で経験した両面性が表れています。

そして、チャイコフスキーの創造する「美しい旋律やリズム」で、その「人生経験」をにじませながら誕生した名曲と言えます。

 

「循環」の形式美と「螺旋形」的な発展

離婚の後の傷心のチャイコフスキーはメック夫人からの経済的援助を得てヴェネツィアへの旅に出ます。

風光明媚なヴェネツィアの土地はチャイコフスキーの創作意欲を駆り立てたことでしょう。

書きかけだった《交響曲第4番》の作曲の筆は進み完成を見ます。

そして、交響曲第3番までに見られた「ふんだんに民族的な旋律を使った作品群」とはあきらかに一線を画した作りになっています。

 

つまり、《交響曲第4番》から《交響曲第6番》までの楽曲は西洋的な「循環」と「構築感」に覆われた作品へと変容するのです。

 

《交響曲第4番》で言えば「循環」とは第1楽章の冒頭のファンファーレの部分が第4楽章にも取り入れられているという所に表れます。

これによって全体的なバランスが保たれて、結果的に「構築感のある楽曲の完成」へと繋がっていきます。

そして、この《交響曲第4番》から以降の交響曲群が現在ではもっとも演奏機会の多い3曲ともなっています。

 

【各楽章を解説】チャイコフスキー《交響曲第4番》

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それでは、各楽章について解説します。

チャイコフスキー《交響曲第4番》は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

第1楽章 アンダンテ ソステヌート:モデラート コンアニマ:モデラート アッサイ、クアジ アンダンテ:アレグロ ヴィーヴォ

運命のファンファーレ!

 

悲痛の叫びを上げるは、

ホルン

ファゴット

トランペット!!

 

モチーフは!?

 

  • 幸福の追求、妨げられ
  • 平和と慰安は達せられない

運命の存在!

  • その空には雲が覆い、嫉妬深く監視される

そう、宿命の力!!

 

チャイコフスキーはメック夫人宛ての手紙に《交響曲第4番》に込めた以上のような言葉で書きつけます。

 

それは客観的に自己を見つめきったチャイコフスキーの魂が見据えた

  • 苦悩!
  • 悲しみ!!
  • 激情!!!

そう、《交響曲第4番》への思いがそのままメック夫人への手紙にテキストとして乗り移ったと言っていいでしょう。

 

言わば「言葉と音楽とがシンクロを起こした貴重な記録」

 

そして、手紙に書かれた「第1楽章の象徴のひとつ」、ダモクレスの剣とは!

 

「豊かで平和な毎日を楽しむその頭上には『髪の毛一本で吊るされたダモクレスの剣』が垂れ下がっている」というもの。

 

いつ、その頭上から刺し貫かれぬとも限らない恐怖の剣!

 

その不安とおののきは《交響曲第4番》のもつテーマ、モチーフ全体に存在するものと言えそうです。

 

第2楽章 アンダンティーノ インモード ディ カンツォーナ:ピウモッソ

夜、仕事に疲れ果てた者が、ただ独りで家の中に座り、その彼を包む憂うつな感情

 

と、チャイコフスキーのメック夫人への手紙にしたためています。

 

持ち出した本は彼の手をすり抜け床へと落ちていく、多くの感情は沸き起こる。

しかし多くのものがみな過ぎ去ってしまった

 

もの悲しくもメランコリック、そうまさしくこれがチャイコフスキーの音楽の持つ美しさの特徴です。

 

第3楽章 スケルツォ:ピチカート オスティナート:アレグロ メノモッソ

ここにあるのは気まぐれな唐草模様です。

 

とあるように、テーマ性の強い《交響曲第4番》の中にあってまさしく「気まぐれ的」な自由で明るい曲想を持っています。

基本は弦楽器のピチカート(弦をはじいて演奏)で構成されていますが、途中に柔らかい雰囲気の管楽器の歌が流れる部分もはさまれます。

また、

わけのわからない混乱したデタラメ

 

とも手紙には書かれています。

 

第4楽章 ファイナル:アレグロ コン フォーコ

ダーン、ダー、ダ、ダ!

第3楽章の気まぐれからの、全合奏の大爆発!!

 

素朴な幸福は存在する!

人々の幸福のなかで幸福を喜びなさい!!

されば、あなたはなお生きていける!!!

 

運命や宿命に打ちのめされつつも、されど幸福をあきらめない。

そう自分が喜べないのなら他の幸福をともに喜ぼう!

そして、それこそが本当の幸福の正体なのだからと、言わんばかりの

 

  • 音楽の咆哮!
  • 音楽の歓喜!!

そして、音楽の

  • 絶対的なる「善」の肯定!!! 

 

そんな響きを感じます!

 

(今回はチャイコフスキーがメック夫人に宛てた《交響曲第4番》について書かれた手紙を元にして解説させていただきました)。

 

【名盤3選の感想と解説】チャイコフスキー《交響曲第4番》

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ワレリー・ゲルギエフ:指揮 管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

「狂おしいほどの殺気」と「極められた美しさ」との同居が聴ける名盤。

ゲルギエフにはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した素晴らしい名盤もあります。

しかしマリインスキー管弦楽団を振った名盤からは「どこか荒削りな感がありながらもパッションを帯びた熱」が伝わってきます。

それは、チャイコフスキーの感性や哲学、ストーリー性が音楽として昇華した《交響曲第4番》には欲しい要素。

さあロシア的優美さとパンチの効いた力強さが混在するカオスな魅力の名盤

オススメです。

 

ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

知性をともなった冷静さを感じるカラヤンの名盤です。

とは言え、第1楽章や第4楽章の冒頭などの聴かせどころの爆発力にはビックリ

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏としては静と動のコントラストがかなり強めでむしろそこに魅力を感じます。

チャイコフスキー《交響曲第4番》のカラヤンの演奏はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の名盤もありますが録音が1971年というもの。

その意味では1984年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の名盤はクリアな録音で聴けるところも嬉しいですね。

 

エフゲニー・ムラヴィンスキー:指揮 レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ムラヴィンスキー指揮、レニングラード管弦楽団の名コンビの歴史的な名盤も聴きたいですね。

録音はさすがに古くなりましたが、その深い憂愁の響きを帯びた響きはクセになります

色々名盤を聴きながら、ちょっと基準が混沌として来たら意識をデフォルトに戻したい。

そんな時にも聴く(効く)クスリのようでもあります。

情熱的なゲルギエフとは違った冷静さを感じさせながらもダレることがなく超絶に美しい響きが魅力の名盤です。

 

【まとめ】チャイコフスキー《交響曲第4番》

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さて、チャイコフスキー《交響曲第4番》解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

 

「幸不幸」はあざなえる縄の如く…

 

幸不幸の波に翻弄されながらも憂愁な中にも美しい音楽を創造したチャイコフスキーの交響曲というジャンルの転換期の名曲。

《交響曲第4番》を見てきました。

 

毎日を過ごしていると様々な壁にぶち当たったりして辛い体験をしたりします。

 

まさしく私たちとっては小さなものかもしれませんが、ある日突然「ダモクレスの剣が落ちてくる」ような恐怖ですね(笑)

 

そんな中でもこの壁を乗り越えれば幸福が待っていると思えれば頑張れるかも…です。

そんな時にはチャイコフスキー《交響曲第4番》を聴きながら気持ちを高めていくというのもいいものです。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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