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モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》【名盤3選の解説|感想】

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おとろえる人気

失意と貧困

なのに「朗らか協奏曲」♫

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「聴衆の心をもう一度つかみたい…」

 

人気が落ちた作曲家、モーツァルトは再び明るくて聴きやすい曲、いわゆる聴衆ウケを狙って作曲を開始します。

しかし、作曲後に正式に初演にまでたどり着けたのは約1年後でした。

 

さて、今回は、モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》解説とおすすめ名盤を紹介です。

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》

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モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》についてのこんな解説があります。  

もはや彼(モーツァルト)は親しいサロンでの演奏にしか招かれなかった。しかし少なくとも彼の親友たちは、そのおかげで、多彩な歓びの驚嘆すべき作品『協奏曲 ニ長調』(ピアノ協奏曲第26番)を初めて聴けたわけである。これはのちにレオポルト2世の戴冠式に演奏されて、《戴冠式》と呼ばれた。

出典:アンリ・ゲオン 著 高橋 英郎 訳:モーツァルトとの散歩」P270より引用

 

貧困と長女の死

そう初演が行われたのは1789年4月14日、レオポルト2世の戴冠式が行われた後の宮廷音楽会においてでした。

そのためピアノ協奏曲第26番は《戴冠式》という副題がついているわけですが、ただ作曲自体は約1年前の1788年2月24日となっています。

 

晩年におけるモーツァルトの音楽は「悲しみを含んだ瞑想的な内容」のものが多く聴衆の求める音楽からは離れていきました。

ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》を作曲当時、収入がほとんどなく父レオポルトの遺産も使い果たしてしまいどうしようもないほどの貧困状態でした。

さらに追い打ちをかけるようにモーツァルトに襲いかかる長女の死。

 

そんな不幸が続く中でも作曲されたピアノ協奏曲第26番は全体的に明るく朗らかな曲調であり多くの人に好まれる1曲に仕上がっています。

 

左手のパートの欠落

ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》はピアノ独奏部の左手のパートの多くが欠落しています。

とくに第2楽章は全体的に書かれておらず、さながら《右手のためのピアノ協奏曲》とでも言えそうな形になっています。

(ラヴェルが作曲した《左手のためのピアノ協奏曲》という楽曲もありますが…)

しかし楽譜に書かれていなくても、モーツァルトであれば即興的に弾きこなすことは出来たでしょうから演奏をする際にはとくに問題がなかったのでしょう。

 

さて、1794年の楽譜の初版出版時には、なぜか本来ないはずの「左手のパート」が、第三者が補筆して出版されました。

しかし、国際モーツァルテウム財団が発行している、新モーツァルト全集では補筆部分は省かれて記録されています。

 

また、

野口秀夫(神戸モーツァルト研究会代表)は、あくまでもモーツァルトは左手パートを補筆して出版するつもりだったものの、生前に出版の機会がついに訪れなかったために未完になったと推測している

Wikipediaより

 

とのことで、もしそうだとしたら、ここでもモーツァルトが若くして亡くなってしまったことが惜しまれてなりませんね。

 

【各楽章を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》

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それでは、各楽章について解説します。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》は第1楽章から第3楽章までの3曲で成り立っています。

第1楽章 アレグロ(速く)

作曲当時は《戴冠式》を意識して書いたわけではないはずなのに、なんとも豪華で力強い響きをもった曲です。

そんな雰囲気でありながらもモーツァルトらしい優雅な響きは健在で、ところどころにキラキラとした妙(たえ)なる美しさがあります。

これは「聴衆ウケ」を狙って書いていても、どうしたってモーツァルトの晩年の心境と言いますか、諦観のようなものがその音楽に含まれるのでしょう。

ただ全体としては、やはり《戴冠式》らしい明るさに満ちた1曲となっています。

 

第2楽章 ラルゲット(表情ゆたかにゆったりと)

リズムが一定であり淡々としていながらも味わいの深い1曲になっています。

この第2楽章の中には、どこかこの世離れしていると言いますか「喜びのときも悲しみのときにも」心が揺れることなく調和が保たれている心とでも言いましょうか。

このあたりにモーツァルトの晩年の心境のようなものが表れているように感じます。

 

第3楽章 アレグレット(やや速く)

弾む、弾む、弾む…ピアノの音…。

歌う、歌う、歌う、明るい管弦楽…。

第1楽章の堂々とした感じからは少し離れますが、モーツァルトらしい優しくも可愛らしいメロディに満ち満ちた楽しい終楽章となっています。

 

【名盤3選の感想と解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》

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ダニエル・バレンボイム:ピアノと指揮
イギリス室内管弦楽団
 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

ピリッとした折り目正しさの中にも、キラリと光る美感に満ちている名盤です。

空中を自由に弾けるピアノの発する音の粒…。

それをしっかり地上に引き止めてくれるイギリス室内管弦楽団の演奏の地に足のついた堅実さと、その中にある華やかさは絶品ですね。

《戴冠式》らしい力強さに欠けるとも言えますが、本来モーツァルトは《戴冠式》のためには作曲していないわけです。

サブタイトルに縛られずに自由にモーツァルトを楽しむの方が楽しいですよね。

 

ロベール・カザドシュ:ピアノ
ジョージ・セル:指揮
クリーヴランド管弦楽団
 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

飾り気がなく、また無骨のようでありながらカザドシュのピアノの美しさが際立つ名盤です。

バックのジョージ・セルの演奏も淡々と演奏しているようでありながら、

  • 純真であって
  • 無垢であり、
  • そして、美しい

そんなモーツァルトの音楽の持つ本質を追求する姿勢が伝わってきます。

どこか客観的で突き放したような冷静さがありながらも、どことなく暖かさや明るさが感じられる名盤です。

 

ロバート・レヴィン:フォルテピアノ
クリストファー・ホグウッド指揮
エンシェント室内管弦楽団
 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

モーツァルトの時代のころに活躍した、いわゆるフォルテピアノで再現されたピアノ協奏曲第26番《戴冠式》の名盤です。

響きが直線的でストレートな分「戴冠式らしい勢い」があって好感が持てます。

そしてなんと言ってもモーツァルトの音楽を心から楽しんでいるワクワク感や浮遊感がうれしい名盤。

とくにピアノ協奏曲第26番《戴冠式》のような明るい基調の曲にはロバート・レヴィンのフォルテピアノの音が好ましいですね。

 

【まとめ】モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》

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さて、モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

 

おとろえる人気をなんとか回復しようと挑んだ意欲作ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》。

晩年のモーツァルトの楽曲としては珍しく明るい基調の曲が生まれた背景などをお伝えしてきました。

 

  • 朗らかで
  • 楽天的でありながら
  • どこか諦観もある…

そんなモーツァルト:ピアノ協奏曲第26番《戴冠式》オススメですよ。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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