北欧の壮大さ
親しみやすい旋律!
その構成、美しく♫
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フィンランドの壮大さと、白い風…!
魔法の国、イギリスから降りるインスピレーション!!
生まれる!
名作交響曲!!
さて、今回は、シベリウス《交響曲第2番》の解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】シベリウス《交響曲第2番》
シベリウス《交響曲第2番》についてのこんな解説があります。
特に、管楽器群をフルに活躍させた第3、第4楽章は、手に汗を握るほどのすばらしいもりあがりをみせ、全曲を通じての圧巻であである。だが、さらにすばらしいのは、北欧情緒がたっぷりと織りこまれた第2楽章で、この楽章を聴いていると、フィンランドの深い霧に包まれた湖の情景が、目の前に浮かんでくるようだ。
出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P77より引用
まさしく、解説ありますように「手に汗握るほどのすばらしいもりあがり」と「北欧情緒がたっぷり」の名曲交響曲ですね。
シベリウス《交響曲第2番》を作曲する前に、シベリウスは民族的要素をふんだんに取り入れた作風が評価されていました。
その中でも特に有名なのは、
- クレルヴォ交響曲(1892年4月28日初演)
- 交響曲第1番(1899年4月26日初演)
- 交響詩《フィンランディア》(1900年7月2日初演)
以上の3曲です。
この功績からシベリウスは支援者のアクセル・カルペラン男爵の支援により、家族とともにイタリアのジェノヴァ郊外の地ラパッロへと旅立ちます。
シベリウスはこのラパッロという地について「魔法のかかった国」と評価します。
なぜなら、シベリウスの生活するフィンランドといえば「極寒の国」。
それに対して、イタリアのラパッロは温暖な気候でとても過ごしやすかったからです。
そんな「魔法のかかった国」に滞在中、シベリウスは急速に「交響曲第2番の作曲」を進めます。
とくに第2楽章は、イタリアフィレンツェに訪れた際の印象とともに「ドン・ジョヴァンニの物語り」にインスピレーションを得たと言われています。
ただイタリア旅行中には《交響曲第2番》は完成しなかったため未完の部分はフィンランドへ帰国後に完成を見ています。
【各楽章を解説】シベリウス《交響曲第2番》
それでは、各楽章について解説します。
シベリウス《交響曲第2番》は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。
第1楽章 アンダンテ・マ・ノン・トロッポ:アレグロ・エネルジーコ(速く、しかし速すぎず:速く、力強く)
「フィンランドに吹く白い風」が弦楽器の音で表現されると、その風を伴奏にして妖精のような木管楽器たちが歌います。
テンポを変えながら「風」は吹き、フィンランドの自然はその様相を変えていきます。
時に風に吹かれ、遊ばれて、また時に風を仲間に取り入れて、遊ぶ妖精たち…。
そんな明るくも楽しく、また淡々と流れる時の流れを描いた風景が見えてくるようです。
第2楽章 テンポ・アンダンテ、マ・ルバート:アンダンテ・ソステヌート(歩く速さ、音の長さを保ちつつ自由に)
解説にありましたが、まるで「フィンランドの深い霧に包まれた湖の情景」のような、
- 静かであり
- 美しくもあり
- 透明感がある
そんな印象です。
第3楽章 ヴェヴァーチッシモ:トリオ・レント・エ・ソアーヴェ:アタッカ(非常に速く活発に:柔らかく)
吹きすさぶ風のような激しい弦楽器たちの荒々しさ…。
そのなかに「なんとも静けさを含んだ霊妙なオーボエ」が歌い始めると、それまでの弦楽器の風が不思議と治まってゆきます。
まさしくオーボエの調和の歌が合図になって鶴の一声ならぬ神の一声とも取れそうな現象を思わせます。
そしてしばらくすると再び弦楽器の風は吹き荒れます。
その大風はあたりの木々をなぎ倒し獣(けもの)の如き感情をぶつけてゆきます。
なのに、なのに…再びオーボエが歌い始めると風は静まり、ふたたび調和をもたらします。
そう、これは北欧の神々の降りてくる様にも取れそう…。
第4楽章 ファイナル:アレグロ・モデラート:モデラート・アッサイ:ラルガメンテ(終曲:ほどよく速く:非常に活発に:ゆるやかに寛大に)
そして、第3楽章から切れ目なく続いて始まる第4楽章は、だんだんと、
- 盛り上がり…
- 盛り上がり…
盛り上がりしていきます。
そして、荒れた感情を、ただぶつけていた風は様相を変えて表れます。
そう、それはフィンランドの壮大な自然の力を借りた、
- 輝かしくも、
- 勇壮…
そして、
- 神々しい…
そんな姿に変わりつつシベリウス《交響曲第2番》の感動的なフィナーレを盛り上げていきます。
そして、トランペットによる栄光のファンファーレ!
途中、優しくも悲しげな表情を見せる木管楽器や弦楽器…。
しかし、その歌は再び勇ましいものへと変化し、
- 歌うオーボエ
- 支える弦楽器
- 高らかに吠えるは…
トランペット!
トロンボーン!!
ティンパニ!!!
そして、全楽器が、
吠える!
吠える!
吠える!!
そう、感動的にシベリウス《交響曲第2番》の幕を下ろすのです。
【名盤3選の感想と解説】シベリウス《交響曲第2番》
サー・ジョン・バルビローリ:指揮 ハレ管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
ひんやりとしたフィンランドの空気感が漂う名盤です。
透明度の高さを感じさせる音の美しさもあって好感が持てます。
シベリウス《交響曲第2番》の演奏で欲しい起伏感や盛り上がりには欠けるかもしれませんし録音も少し古いので聴きにいかもしれません。
ただ、この美感には一度は触れておきたい名盤です。
レナード・バーンスタイン:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
この名盤は、バーンスタインにしては珍しく始まりの2つの楽章は冷静でおとなしめの音運びです。
これが第3楽章あたりからリズムやテンポに熱が入り始めてきて、その熱量が第4楽章に引き継がれていき圧巻な展開をしていきます。
バーンスタインの情熱スタイルは健在ですし、その爆発のさせ方も計算した上で構築された感覚がありますね。
コリン・デイヴィス:指揮 ボストン交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★☆☆
【名盤の解説】
こちらの名盤も第4楽章にターゲットを絞り込んだ感じがあります。
全体としては構築感のあるバランスの良い作りをしていて聴きやすいです。
そして第4楽章の盛り上がりはズッシリとした重厚感がありながらも、スッキリと整ったスピード感もあって心地いい。
「北欧的透明感」というよりは「現代的に洗練された演奏」を選びたい向きにはいいかもしれません。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】シベリウス:交響曲第2番
さて、シベリウス《交響曲第2番》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
フィンランドの壮大さと、白い風…!
魔法の国、イギリスから降りるインスピレーション!!
そんな「北欧らしさ」や、「インスピレーション」の泉とも言える旋律の美しさが楽しめる名曲交響曲シベリウス《交響曲第2番》。
冬のはじまりを感じる時、また夏の暑い時期の清涼剤として聴いても気持ちいい。
そんな名曲がシベリウス《交響曲第2番》なのですね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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