美しくも幻想的
シェイクスピアの物語
チャイコが華麗に音楽化!
- 憂う気持ち、これほどまでに…
- 若くして悲しき恋心…
ある意味で初々しい!
「チャイコフスキー最初の傑作」とも言われる注目作!
今回は、チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》の解説とおすすめ名盤を紹介です。
- 【解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
- 【あらすじを解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
- 【各楽章を解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
- 【名盤3選の感想と解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
- 【まとめ】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
【解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》についてのこんな解説があります。
チャイコフスキーは、文学に対して実にしっかりとした知識をもっていた。彼の管弦楽曲のなかには、「テンペスト」や「マンフレッド」といった、シェイクスピアやバイロンらの作品をもととした曲が多い。おそらく、作曲家のなかで、チャイコフスキーほどの読書家は少なかったであろう。
この曲も、シェイクスピアの悲恋物語をもととした標題音楽で、バラキレフの熱心なすすめによって、1869年(29歳)に作曲されたものである。出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P114より引用
解説にありますようにロシア5人組の指導者としても有名なバラキエフのすすめによって作曲された《ロメオとジュリエット》。
チャイコフスキー自身は作曲に対してあまり乗り気ではありませんでした。
しかし、バラキエフは自身の持つ《ロメオとジュリエット》に対する構想を語りながらチャイコフスキーを説得します。
これに根負けしたチャイコフスキーはシェイクスピアを読み返しつつイメージを膨らませていったのでした。
作曲を開始してからもバラキエフは熱心にアドバイスを与えていきながら作曲をすすめていき完成をみます。
初演は1870年3月16日にニコライ・ルービンシュタインの指揮によって行われましたが、まったく話題にならす不評に終ります。
このため同じ年の7月から9月にかけてチャイコフスキーは大幅に改定を行います。そして1872年2月5日にペテルブルクで再演され好評を得ることができました。
1880年8月にはさらに手を加えて第3稿を完成させますが現在はこの第3稿で演奏されることが通例になっています。
《ロミオとジュリエット》を作曲をしていたころはチャイコフスキーは交響曲第1番の作曲を終えた後、第2番の作曲に着手していました。
チャイコフスキーの作曲のうまさがだんだんと花開いていた時期です。
そして、《ロメオとジュリエット》が「チャイコフスキーの最初の傑作」と言われるほどであり、とても完成度が高い名曲と言えましょう。
【あらすじを解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
【各楽章を解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
それでは、楽曲について解説していきましょう。
結婚と神父ロレンス
ロメオとジュリエットにおいて2人の恋を理解しているロレンス神父の元、ロメオとジュリエットは秘かに結婚をします。
この後に起こる悲劇の予兆を感じさせる憂いを帯びたクラリネットとファゴットによる二重奏はロメオとジュリエットの2人を象徴しているのでしょうか。
モンタギュー家とキャピュレット家
ロメオ側のモンタギュー家とジュリエット側のキャピュレット家の名門の両家同士の争いを描きます。
剣を手にして闘う両家の抗争を劇的に描きます。
ロメオとジュリエット【愛のテーマ】
チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》の中では極上の美しさを放つ旋律とメロディを持つ《ロミオとジュリエット》の要と言えます。
言わば《ロミオとジュリエット【愛のテーマ】》とも表現できる
- 優美で
- 華麗であり
- 憂いを秘めている
そんな2人をそのま象徴する一節です。
ロメオとジュリエット、死と永遠の誓い…
仮死状態のジュリエットを見たロメオはジュリエットが死んでしまったと思い込みそのままジュリエットの後を追います。
そして、目を覚ましたジュリエットもロメオの死を目の当たりにして絶望し死を選びます。
「両家の親族同士の争い」と「2人の思い込みとすれ違い」による悲劇。
そう、チャイコフスキーはシェイクスピアの名作戯《ロミオとジュリエット》を幻想的な美しい音楽へと昇華したと言っていいでしょう。
【名盤3選の感想と解説】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
レオポルド・ストコフスキー:指揮 フィラデルフィア管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
- 情熱と波乱万丈
- 悲劇的な恋と美しさ
リズムやテンポのコントラストを強くしながら、とてもドラマティックに展開するロメオとジュリエットの名盤です。
曲の最後に葬送行進曲では本来、楽器の全合奏が挟まれるのですが、これがスパッと切り落とされているところが驚き。
これはストコフスキー自身の判断かと思います。
しかし、ロメオとジュリエットの「悲恋が死によって静かに終わっていく」という音楽的な演出自体はグッと来る展開だと感じます。
作曲者の意図を忠実に守りつつ楽譜通りに演奏することは基本だと思います。
ただこんな思い切った解釈でドラマティックに聴くというのもいいものです。
議論をすれば賛否両論が出る名盤とも言えそうですが大胆な試みのひとつとして聴くのには面白い名盤とも言えそうです。
ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
ストコフスキーの名盤と比べると「スッキリとスマートに聴こえる名盤」です。
強弱もそれほど激しくはせずにチャイコフスキーの音楽の持つ耽美な魅力が楽しめます。
もちろんほど良い迫力もありますが、木管楽器は柔らかく歌いますし弦楽器の音色も優美です。
金管楽器もここぞという時のドラマティックで強い主張も感動的です。
全体としてのバランスの良さが心地良いロメオとジュリエットの名盤です。
アンタル・ドラティ:指揮 ワシントン・ナショナル管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
ドラマティックなチャイコフスキーの《ロミオとジュリエット》を切れの良いサウンドで聴かせてくれる名盤です。
メランコリックで美しいチャイコフスキーの魅力からは少し離れるかもしれませんが、とても彩り豊かでシンフォニックな音楽が楽しめます。
堂々とした展開を手に汗握ってワクワク感とともに聴ける名盤でもあります。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》
さて、チャイコフスキー《ロメオとジュリエット》解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
《ロメオとジュリエット》を音楽として表現した名曲としては、
- プロコフィエフや
- ベルリオーズ
も有名です。
その中でもチャイコフスキーの《ロメオとジュリエット》は2人の若者の悲劇の物語をチャイコフスキーの持つ
- 優美で
- 華麗であり
- 憂いを秘めた
素晴らしいサウンドで表現されていると感じます。
ぜひロメオとジュリエットの世界を音芸術としても楽しんでみてくださいね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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