アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」【名盤6枚とあらすじ解説|感想】名作物語を耳で聴こう♬

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馳せる思いにかられた悲劇!

超有名な恋物語に耳で触れてみよう!!


第2組曲:モンタギュー家とキュピレット家

【解説】プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」

ドラマティックな展開の悲劇であり、現代でも、映画の題材などに取り上げられるのが「ロメオとジュリエット」ですね。

そして、音楽の「ロメオとジュリエット」といえば、プロコフィエフが作曲した、「バレエ音楽『ロメオとジュリエット』」が有名です。

こんな解説があります。

シェイクスピアの戯曲「ロメオとジュリエット」を題材とした音楽は、チャイコフスキーをはじめとして、多くの作曲家によって書かれているが、この作品は、原作の物語をほとんど変えず、そのまま用いたものである。

これは、プロコフィエフの代表的なバレエ音楽の一つで、今日でも、上演される機会がたいへん多く、現代バレエ音楽の傑作といわれている。1940年(49歳)にレニングラードで初演が行われた時は、「ソヴィエト文化史上記念碑的な事件」とまでいわれたほどの成功を収めたのであった。

(中略)

プロコフィエフ独特の美しい旋律が随所にあらわれ、魅力的な音楽となっている。

出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」p152より引用

 

解説にあるように「ロメオとジュリエット」と言えば、チャイコフスキーやあるいは、ベルリオーズなども有名です。

その中でも、最も長い時間を必要とするのがプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」であって、旋律も美しいものに仕上がっていると思います。

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↓名盤の解説はこちらをクリック↓

【あらすじを解説】プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」

誰もがよく知っている「ロメオとジュリエット」。

ここで、あらためて、プロコフィエフ「『ロメオとジュリエット』」を楽しむために、あらすじを書きとめておきます。

「ロメオとジュリエット」のあらすじ

14世紀のイタリアにある都市ヴェローナ。
名家であるモンタギュー家とキャピュレット家とは過去から現在までの長きに渡る因縁の仇(かたき)同士。

両家の遠縁のものや召使い同士までもが、外で出会っただけで、口論になり、時には流血をともなう争いにまでになる関係でした。

そんなある日、キャピュレット家で仮面舞踏会が開催されます。
モンタギュー家のひとり息子であり、イタズラ心と好奇心旺盛の若きロメオは、そのキャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込みます。
そして、そこで出会ったキャピュレット家のひとり娘のジュリエットにひと目惚れ。
それと同時にジュリエットもまた、ロメオにひと目惚れしてしまいます。
そんな運命的な出会いを2人はします。

ジュリエットの部屋のバルコニーの下にやって来てあの有名なセリフが語られます。

つまり、

ジュリエット 「おお、ロメオ、どうしてあなたはロメオなの?お父様とは縁を切り、その名を捨てて。それが無理なら、せめて私を愛すると誓って。」

ロメオ 「ああ、捨てましょう。恋人と呼んでください、それがぼくの新たな名前。これからはもうロメオではない。」

翌朝、ロメオは神父であるロレンスに「2人の結婚」について相談します。
かねてから両家の長く続く争いに、憂(うれ)いを抱いていたロレンス神父です。
きっと、2人の結婚により、両家が和解するであろうことに希望を見出します。

そこで、ジュリエットを呼び出します。
ロレンス神父は2人の仲介と神の許しのもと、結婚させます。

その日の昼さがり、ロミオの親友の2人がジュリエットのいとこのティボルトと言い争いから喧嘩となります。
そのうちの一人の親友がティボルトの剣に刺され死んでしまいます。
それに対しての怒りを止められないロミオはティボルトと斬りあいになり、ティボルトを刺し殺してしまうという事件が発生します。

この事件ののち、ロメオはヴェローナからの永久追放が決定します。

これを聞いたロレンス神父は一計を案じます。
つまり、

「ジュリエットに42時間、仮死状態になれる薬を飲ませ、まわりに死んだと思わせます。
そして、目覚めたころにロメオが迎えに来る。
その後、ロメオとジュリエットの2人はヴェローナから他国へと逃亡する。」

そんな計画でした。

ジュリエットの両親はある名家の伯爵との縁談をジュリエットに持ちかけ、結婚も決めてしまいます。

そんなこともあり、ジュリエットはロレンス神父の計画に乗ります。

ジュリエットは婚約者との結婚式の前夜にロレンス神父の計画どおりに毒薬をあおり、仮死状態になります。

ところが、連絡の行き違いが起こり、その計画がロメオにはうまく伝わりませんでした。

そのため、ロメオは、従者による「ジュリエットは毒をあおって死んだ」との報告を聞き、ロメオは自死を決意します。

そして、毒を買い、ジュリエットのもとへとたどり着きます。

ですが、それを「仮死状態」とは知らないロメオは、悲嘆に暮れたままうなだれます。

ジュリエットのいない将来と暗闇を思い、買ってきた毒をあおり、ロメオは死んでしまいます。

その後、目を覚ましたジュリエットもロメオが死んでしまった目の前の現実に耐えられません。

そのため、ジュリエットもまだ毒が残っているかもしれないロメオのくちびるにキスをしつつ、自らを短剣で刺し、息絶えます。

悲しみに襲われるモンタギュー家とキャピュレット家のひとたち。
そこでロレンス神父は計画の一部始終を語ります。

そこで、ひとこと、ヴェローナの君主、エスカラスが、語ります。

「みな一人残らず、罰を受けたのだ」

その後、両家の当主は、手を取り合います。
そして、それぞれの家が相手の子の像を建て和解し、平和がとりもどされました。 

【印象的な曲を解説】プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」

それでは、このプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」の中でも、旋律の美しい曲について解説したいと思います。

この曲は第1幕から第4幕まであり、全曲52曲という規模の大きい音楽物語です。
(第1幕が21曲、第2幕が15曲、第3幕が14曲、第4幕が2曲という構成です。)

  • 第1幕 第1曲「前奏曲」
    ロメオとジュリエットの悲劇の物語を象徴的にあらわした美しくも哀しい1曲。

  • 第1幕 第2曲「街の目覚め」
    陽が昇り、目を覚ます街の風景が描かれます。
    木々のざわめき、鳥のなき声、市場にはひとが集まり始め、朝ごはんのしたくなどをする人びともいます。

  • 第1幕 第3曲「朝の踊り」
    ますます陽が昇り、街が喧騒をとり戻していきます。

  • 第1幕 第5曲「ケンカ」
    昔からつづくモンタギュー家とキャピュレット家の争いは両家の召使いたちまでにおよび、会うたびにののしりり合い、ケンカがはじまります。

  • 第1幕 第10曲「少女ジュリエット」
    これからの人生へのあこがれや希望を思うワクワクする少女ジュリエットの横顔。
    また、名家であるがゆえに政略をからめた結婚を母親からすすめられ憂うつな心情。
    そんなさまざまな感情が入り乱れながらも、過ぎていく少女の日常が描かれます。

  • 第1幕 第12曲「仮面」
    青年ロメオはキャピュレット家で舞踏会が催されることを知り、友人とともに仮面で変装して、舞踏会に忍び込みます。
    いたずら好きは少年時代の特権…かな。

  • 第1幕 第1場:第13曲「騎士たちの踊り」
    騎士たちと貴婦人たちの堂々とした態度をあらわした一曲。
    この曲はこのプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」の中で、もっとも有名な曲です。
    華やかなる貴族社会に暗躍(あんやく)する野望抱きし者たち。
    欲望、裏切り、怒り、嫉妬などの感情が重厚な音楽として表現されます。

  • 第1幕 第19曲「バルコニーの情景」
    「ロメオとジュリエット」の中でも、もっとも有名な場面であり、また、音楽としても、もっともロマンティックな1曲ですね。
    貴族社会の暗い面を背景に背負いながら、青年ロメオと少女ジュリエットの若い2人は純粋に惹かれ合います。

  • 第2幕 第1場:第22曲「フォークダンス」
    お祭り気分でごったがえす街の中、着飾った若者たちが楽しげに踊ります。

  • 第2幕 第35曲「ロメオはマーキュシオの死の報復を誓う」
    ティボルトに親友を殺されたロメオはティボルトに決闘を申し込みます。
    剣と剣を交えた激しい戦いを展開します。
    アップテンポな闘いの風景が弦楽器と打楽器をメインに演奏されます。
    闘いも長引き、押したり引いたりの息を飲む展開に差し掛かると管楽器も積極的に音楽に加わり、盛り上がります。
    そして、ロメオが最後の一撃を加え、見事、ティボルトを倒します。

  • 第3幕 第39曲「ロメオとジュリエットの別れ」
    ヴェローナからの追放が決まったロメオ。
    ジュリエットとの別れの時が来ます。
    静かな弦楽器の語りと、優しい管楽器のささやきで展開する1曲です。
    若い2人がつのる思いを切々と表現していきます。
    あらがうことの出来ない大きな運命の力に引き裂かれる2人の心象風景(こころの風景)とも言えますね。

  • 第3幕 第39曲「ジュリエットの死」


    ジュリエットの死

    ロメオの死を目にしてしまったジュリエットは悲しみに打ちひしがれます。
    そして、これからのロメオのいない人生に耐えられるべくもない未来を思い死を決意します。
    ロメオのくちびるにまだ残る毒に触れるべく、くちびるを重ねます。そして、さらに自らを短剣で刺すことによって、命を絶ちます。
    「ロメオとジュリエット」の悲劇物語の有名なラストシーンですね。
    プロコフィエフは劇的なこの最後の場面を、美しいメロディと管弦楽とによって、感動的に彩(いろど)っています。
    今まで人から聞いて、知っていた「ロメオとジュリエット」の物語が、こんなにも人の心に残る印象的な物語だったのだと、音楽をもって伝えてくれていますよね。

 

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【6枚の名盤を解説】プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」

名盤と呼ばれるアルバムでは、ロメオの活躍に手を握ってしまう名盤や、ジュリエットの可愛らしさが目に見えるような名盤が多いですね。

そんなひしめき合う名盤のなかからそれぞれの名盤の個性ゆたかな、ロメオの解説やジュリエットの解説をしていきたいと思います。

シャルル・デュトワ:指揮 モントリオール交響楽団

整った「構成の美」がありながら、聴く人の感性をくすぐってくるニクい要素満載の1枚。

ここで聴かれるロメオは超美男子で完璧を目指すイカす奴。

ジュリエットは恋に積極的な茶目っ気のある女の子ですね。

ロリン・マゼール:指揮 クリーヴランド管弦楽団

全曲版です。

プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」を隅から隅まで楽しみたい人向けですね。

沈着冷静な面を持つロメオと、恋のかけひきを使いながら知的なロメオをもて遊ぶイタズラ心のあるジュリエットかな。

そして、もて遊ばれるロメオも、まんざらでもなさそうに、恋を楽しんでいる感じ。

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小澤征爾:指揮 ボストン交響楽団

バランス感覚がいいですね。

全体の音楽の構造を考えながら、まとめています。

気まぐれなジュリエットを気遣いながら、ジュリエットの気持ちに自分を合わそうとして頑張るロメオ。

そして、それが苦痛でなく、嬉しくて行っている高感度バツグンの青年ロメオ。

そんな気まぐれなジュリエットを思わせるボストン交響楽団を自由に羽ばたかせながら、しっかり楽しんでドライヴするロメオを思わせる小澤征爾の指揮がカッコいい!

 

アンドレ・プレヴィン:指揮 ロンドン交響楽団

てきぱきと歯切れよく進む音楽の中にも随所に感性がキラメイていて飽きさせない演奏です。

仕事デキる系キャラのロメオとそれに憧れるジュリエット。

ロメオもそれを決して鼻にかけることはしませんが、だからこそ、ジュリエットの恋心もざわめいて仕方ないのですね。

「情熱をうちに秘めている」系でありながら表面的には冷静なプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」です。

 

 

サー・ゲオルグ・ショルティ:指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 ロマンティックな場面は優美に、アクション場面はキビキビとした演奏が展開されます。

少し、突き放した感のある冷たさはあります。

ただ、それが荒い仕上がりに感じさせないですね。

それはゲオルグ・ショルティとシカゴ交響楽団のコンビのなせる絶妙な技。

整っていながら心に染み入る。

そんな骨太でありながら聴きやすい1枚に仕上がっています。

ちょっと冷たくて素っ気ないところのあるロメオ(演奏)だけど、やっぱりそんなロメオが気になっちゃうっすね! 

「でしょ?ジュリエット!」

 

 

矢島愛子:ピアノ「『ロメオとジュリエット』からの10の小品」

豪華な管弦楽版のプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」に飽きちゃったら、ピアノ版のプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」も中々しっとり聴かせてくれていいですよ〜。

ちょっと疲れて帰ってきた夜に、ゆっくりと好きなお酒を飲みながら、BGM的に聴くのにオススメな1枚。

「世の悩み多く、また、疲れ果てしロミオ(サラリーマン)たちよ。
わたし(ジュリエット)が音楽で癒やしてさしあげますわ〜♬」

  

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「ゲホゴホ」と、せきと鼻みず、雪げしき。

流行に敏感…ではなくとも、冬の時期にカゼをひくと、やっぱり体がダルいのも手伝って気持ちが落ち込みますね。

どうあがいたって元気が出ずに、布団に潜り込んでいなくてはならない。

こんな時、長い時間をかけて、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」でも聴こうかな。

おもむろに「ポチ!」っとスマホをタップ。
少し暗めの部屋の中、少しボリュームもしぼって聴く、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」の名盤、悪くはないですよ〜。

「ゲホゴホ…。」 

【解説と名盤、まとめ】プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」

さて、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」、名盤の紹介と解説はいかがでしたか?

現代はある面、「英雄とヒロイン欠乏症気味な時代」ですね。

日々、サラリーマンやOLを演じているあなた。

あなたこそ(わたしも含めて)自分のうちに潜(ひそ)む英雄やヒロイン物語に耳とこころを寄せる時間が必要っす!!

 かなり悲劇ではありますが…💦

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は以上になります。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

www.alpacablog.jp

 

こんな音楽物語もいいですね。  

 

 

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