姫の100年の眠り…
さあ、目を覚まそう!
おとぎの国のバレエ音楽♫
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フランスの素朴なおとぎ話《眠れる森の美女》との出会い。
バレエ音楽から離れていたチャイコフスキーの創作意欲、燃ゆ!
さて、今回は、チャイコフスキー:バレエ音楽《眠れる森の美女》の解説とおすすめ名盤を紹介です。
- 【解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
- 【あらすじを解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
- 【各曲を解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
- 【3枚の名盤の感想と解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
- 【まとめ】バレエ音楽《眠れる森の美女》
【解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
チャイコフスキー:バレエ音楽《眠れる森の美女》のこんな解説があります。
チャイコフスキーの書いた3つのバレエ音楽のなかでは、もっともシンフォニックな規模をもっているが、登場人物があまりにも多く、舞台装置も大がかりなので、日本ではなかなか上演される機会がない。曲のなかでは、有名な「序奏とリラの精」「バラのアダージョ」「パノラマ」「ワルツ」などが聴きものである。
出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P119より引用
バレエ音楽《眠れる森の美女》の前作であるバレエ音楽の《白鳥の湖》は不評に終わったためチャイコフスキーは長いこと「バレエ音楽」からは離れていました。
しかし、1888年にロシアのマリインスキー宮廷劇場の総支配人イワン・フセヴォロシスキーからバレエ音楽の作曲依頼を受けます。
それがフランスの作家シャルル・ペロー原作の《眠りの森の美女》を題材にしたバレエ音楽でした。
チャイコフスキーは、13年ぶりの作曲にはなりますが、バレエ音楽の作曲依頼を受け入れます。
そして、1889年8月に完成させ初演しますが、これが大成功をおさめました。
そして、このことがきっかけで、後日《白鳥の湖》も再演され、これも大好評。
チャイコフスキーは名実ともにバレエ音楽の作曲家として認められたのでした。
【あらすじを解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
ここであらすじを紹介しましょう。
主な登場人物
- オーロラ姫
- デジレ王子
- フロレスタン国王
- リラの妖精
- 邪悪な妖精カラボス
プロローグ
フロレスタン14世という国王に待望の姫が生まれます。6人の妖精が招待され、洗礼式(命名式)が行われます。そして姫は「オーロラ」と名付けられました。それぞれの妖精は、姫に対して贈り物を届けていきます。
それが、
- 美しさ
- 優雅さ
- 寛容さ
- 美しい歌声
- 元気
そして、最後の6人目の妖精であるリラが贈り物をしようとしたその時、この場に招待されなかった「邪悪な妖精カラボス」が現れて姫に呪いをかけます。
「オーロラ姫は、16回目の誕生日に、自分の指を刺して、死ぬだろう!」この時リラの精は、呪いを解くべく言葉を贈ります。
「カラボスの呪いは強すぎて、この呪いを完全に解くことは出来ませんでした。でも、姫は実は死ぬのではなく、眠りにつくだけです」。
そして、「100年の眠りの後、王子が現れその口づけによって目を覚ますでしょう」と…。
第1幕
それから16年後、オーロラ姫は4人の若い王子たちにバラの花束を渡されながら求愛されます。
そして、そこに老婆が現れ、やはり花束をわたすのでした。しかし、その老婆の正体はあの「邪悪な妖精カラボス」なのでした。
花束の中には糸車の針が忍ばせてあります。
喜びに浮かれるオーロラ姫は、花束をもったまま踊ります。
「とがったものには気をつけなさい…」と、まわりに言われながら生きてきたにもかかわらず…。
そして、カラボスの忍ばせた針は姫の指を傷つけてしまいカラボスの呪いは実現され、姫は長い眠りについてしまうのでした。
そこにやってきたリラの妖精は、その場にいる全員に魔法をかけて眠らせるのでした。
第2幕
それから100年後、デジレ王子たち狩猟のため城の近くの森へと狩猟にやってきます。
日が暮れて帰る頃になってから、何かが起こる予感を感じた王子はひとりで森に残ります。
そこに妖精リラがやってきて、100年間眠り続けているオーロラ姫のことを伝え、王子は姫を救うべく、太いツルに絡まった城の中を進みはじるのでした。
しばらく行くと、王子の前にカラボスとその手下たちが現れ格闘になります。
王子は勇敢に戦い見事、追い払うことに成功。
姫のもとへとたどり着いた王子は口づけをし、姫は目覚まします。
それとともに魔法をかけられて眠っていた城の者たちも全員目を覚ますのでした。
第3幕
王子と姫との結婚式。- 長靴をはいた猫
- 白猫
- 赤ずきんちゃん
そんな、童話の主人公たちも城へと招待され歌と踊りで華やかに祝宴が催されオーロラ姫とデジレ王子に幸福な暮らしが訪れたのでした。
【各曲を解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
それでは、各曲について解説していきましょう。
プロローグ
序奏
これから始まるおとぎの国の物語《眠れる森の美女》 を思わせる序奏です。
暗躍する「邪悪な妖精カラボス」と「オーロラ姫の優美さ」の象徴のような旋律が入り交じる。
そう、チャイコフスキー特有の華やかさがギュギュギュッと詰まった宝箱のような勇壮で美しい1曲です。
1.行進曲
洗礼式に招待された貴族たち、 フロレスタン国王、王妃、ゆりかごの中のオーロラ姫が勇ましい行進曲とともに入場します。
2.踊りの情景
妖精たちの登場です。
3.パ・ド・シス
6人の妖精たちそれぞれが自己紹介をしていく踊りです。
- キョウチクトウ(美)の妖精
- 三色ヒルガオ(優雅さ)の妖精
- パンくず(寛容さ)の妖精
- カナリア(歌声)の妖精
- 激しさ(元気)の妖精
- リラ(知恵と善)の妖精
以上6人の妖精たちの個性的な踊りが繰り広げられます。
4.終曲
そして、最後には妖精たちと全員によるきらびやかな舞いが展開。
チャイコフスキー:バレエ音楽《眠れる森の美女》のひとつの聴かせどころです。
明るく優雅な旋律であり、またシンフォニックでもある素晴らしい1曲と言えます。
第1幕
5.情景
今日はオーロラ姫の16回目の誕生日。
人々は集まり踊りを披露します。
そこには糸紡(つむ)ぎをしながら舞う娘たちもおり、それを見つけた式典長は娘たちからその器具を取り上げます。
「縁起でもない、オーロラ姫が指を刺してしまったらどうするのだ?100年の眠りに落ちてしまうではないか」と言わんばかりに…。
6.ワルツ
城の庭園では若者たちが花を手にして、華麗なワルツに乗って舞います。
7.情景
さあ、オーロラ姫が4人の若い王子たちにバラの花束を渡されながら求愛されるシーンです。
ここで、オーロラ姫が登場です。
そうプリマバレリーナの華やかな踊りが展開する素晴らしい場面です。
8.パ・ダクシオン
4人の花ムコ候補との踊りになります。
- アダージョ
夢のように華やかに、そして華麗に展開するアダージョは、バレエ音楽《眠れる森の美女》の中でも有名な1曲です。 - アレグロ・モデラート
侍女たちの軽やかな踊りになります。 - オーロラ姫のヴァリアシオン
ワルツに乗って、オーロラ姫によるソロの踊りになります。 - コーダ
侍女たちによる踊りが展開した後にオーロラ姫が再び舞い、それに合わせるように王子たちも踊ります。
と、…気づくとそこに老婆が現れオーロラ姫に糸紡(つむ)ぎを渡します。
これを受け取ってしまうオーロラ姫…気が気でない国王と従者たち。
9.終曲
まわりの人々の悪い予感は的中、つまりオーロラ姫は自分の指を糸紡ぎで刺してしまいます。
音楽は不気味に展開し、オーロラ姫はそのまま眠りについてしまうでした。
そして、老婆の正体が邪悪な妖精カラボスであることを知ります。
4人の王子はカラボスに襲いかかりますが、カラボスは姿をくらまします。
そこにリラの妖精が登場し、オーロラ姫の眠りとともに周りの人々をも眠りにつかせるのでした。
第2幕
10.第1場:間奏曲と情景
ここで、オーロラ姫が眠りについてから100年後の時代へとタイムトラベルします。
ファンファーレとともに、森に現れるデジーレ王子とその従者たちが踊ります。
ちなみにデジーレとは「希望」という意味があります。
11.目隠し鬼ごっこ
家庭教師であるガリフロンに目隠しをしての鬼ごっこの場面です。
12.貴婦人たちの踊り
貴族たちによる踊りの場面が続きます。
13.ファランドール
ノリのいい明るい曲になります。
14.情景
デジーレ王子のもとにリラの妖精がやってきて、オーロラ姫の「100年の眠り」の話をしますがデジーレ王子は信じることができません。
そこで、リラの妖精は魔法の力でオーロラ姫の姿をデジーレ王子に見せます。
その姿にデジーレ王子は一目惚れするのでした。
15.パ・ダクション
チェロがソロを歌う優美な旋律が印象的な1曲です。
16.情景
デジーレ王子の揺れ動くオーロラ姫への思いが描かれています。
17.パノラマ
流れるような優美さと麗しさが感じられるとてもロマンティックな1曲。
18.間奏曲
第2場へ向けての間奏曲になります。
19.第2場:交響的間奏曲|情景と終曲
見通しが悪く、もやのかかっていた行く手に光が差してくるような感覚の1曲です。
城内に眠る国王や王妃と侍従たち。
そして、そこには美しいオーロラ姫も眠っています。
王子はそっとオーロラ姫に近づき、そっと口づけをします。
それと同時に城内全体に光が注ぎ、全員が目を覚ますのでした。
そして、オーロラ姫も目を覚まし、明るい希望を見据えながら2人は見つめ合います。
明るい曲調の音楽の中、希望の未来へ向けて手を取り合って一歩を踏み出すのでした。
第3幕
20.行進曲
2幕までで、ほぼ物語りは終わります。
この後からはオーロラ姫とデジーレ王子の結婚披露パーティの場面で盛り上がっていきます。
100年の眠りを終わらせた城内の人々がオーロラ姫とデジーレ王子の結婚式を盛大に行っていくという展開が第3幕。
そして、その始まりは、なんともめでたくも勇ましい行進曲です。
21.ポロネーズ
おとぎ話の登場人物たちがやってきて結婚式を盛り上げます。
- 青い鳥とフロリーネ姫
- 赤ずきんちゃんと狼
- 長靴をはいた猫
- シンデレラ姫と王子
- 白いネコ
などなど、おなじみのおとぎ話のキャラクターたちがオーロラ姫とデジーレ王子のお祝いにやってきます。
さらに、このキャラクターたちとリラをはじめとした妖精たちも踊りに加わって宴(うたげ)は最大限に盛り上がります。
こんな「ゆかいで豪華な余興」が楽しめる結婚式は中々ないですよね。
22.パ・ド・カトル
宝石の妖精たちの踊りになります。
- 金の妖精
- 銀の妖精
- サファイアの妖精
- ダイヤモンドの妖精
4人の妖精たちが様々な形をとって舞います。
23.パ・ド・キャラクテール
「長靴をはいた猫」と「白い猫」が現れて、個性的でおかしな踊りを踊ります。
24.パ・ド・カトル
「青い鳥とフロリーネ姫」も踊ります。
25.パ・ド・キャラクテール
「赤ずきんちゃんと狼」「シンデレラ姫と王子」たちの踊りです。
26.パ・ベリション
「親指小僧兄弟達」と「人食い鬼」の踊り。
27.パ・ド・ドゥ
オーロラ姫とデジーレ王子の踊りになります。
29.サラバンド
お祝いに駆けつけた人びと全員での踊りになります。
30.終曲とアポテオーズ
終曲にふさわしく、チャイコフスキーらしい豪華な音楽と全員でのきらびやかな踊りがにぎやかに展開します。
オーロラ姫とデジーレ王子の輝かしい幸福な未来を思わせる素晴らしい終曲になっていますね。
【3枚の名盤の感想と解説】バレエ音楽《眠れる森の美女》
エルネスト・アンセルメ:指揮 スイス・ロマンド管弦楽団
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アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
「ほどよい重厚感をベースにしながらなんとも優美で軽やかさが失われない」《眠れるの森の美女》のシンフォニックな魅力を最大限に引き出した名盤。
古い録音の割には比較的クリアな音質で楽しめます。
目の前で舞うオーロラ姫やデジーレ王子がありありと浮かぶ、とても幻想的な魅力をも兼ね備えた名盤です。
ワレリー・ゲルギエフ:指揮 マリインスキー劇場管弦楽団
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アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
壮麗な美しさで全編がキラキラと輝いている名盤です。
洗練された切れの良さから感じられる聴きやすさは絶品で、チャイコフスキー《眠れる森の美女》の中に潜む「心地よい透明感」も楽しめます。
オーロラ姫、デジーレ王子、妖精たちをはじめ「軽やかに舞う登場人物たち」というイメージの名盤です。
ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
《眠りの森の美女》はもちろん、その他チャイコフスキーの3大バレエの《白鳥の湖》と《くるみ割り人形》のいいとこ取りの名盤。
アルパカが人生で初めてチャイコフスーの3大バレエ音楽に触れた思い出深い名盤でもあります。
チャイコフスキーの優雅で典麗な響きをこの上なく引き出しており、聴いていてホレボレしちゃいます。
チャイコフスキーの3大バレエを全曲で聴くとなると、忙しい私たちにとっては時間の確保は難しいものです。
このカラヤンの名盤に触れることで、チャイコフスキーの3大バレエの魅力の詰まった濃密なエッセンスが聴ける。
そんな名盤です。
ボリショイ・バレエ団
《眠れる森の美女》のバレエを映像で楽しみたいならコチラがオススメです。
世界的に有名なボリショイ・バレエ団の舞う《眠れる森の美女》の美しさは「圧巻!」のひとこと…。
なんとも優雅できらびやか、そして見ていて心から楽しめるバレエの芸術の極地。
一度は見ておきたい《眠れる森の美女》の映像版です。
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【まとめ】バレエ音楽《眠れる森の美女》
さて、チャイコフスキー:バレエ音楽《眠れる森の美女》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
- 100年の眠りに落ちるオーロラ姫
- その眠りを覚ますデジーレ王子
- 踊る!おとぎ話の主人公たち!!
古典的なおとぎ話の要素と、楽しい踊りと音楽が織りなすなんとも豪華なチャイコフスキーの名曲バレエ音楽《眠れる森の美女》。
さあ、《眠れる森の美女》の世界へとリープしよう(飛び込もう)!!
そこには日常を超えた美しくも華やかな音世界が広かっがています♫
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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こんなバレエ音楽も名曲 の詰まった宝石箱!!