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クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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チャイコフスキー:マンフレッド交響曲【あらすじ|解説と名盤2選】叡智の男、苦悩の物語

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マンフレッドの叡智!

叶わぬもの、

それが、忘却…

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7つの精霊

「人の子よ、望みは何か、さあ言ってみよ」。

マンフレッド

「忘れたいのだ」。

第1の精霊

「何を、誰を、何故に?」

出典:バイロン 作  小川和夫 訳 《マンフレッド》岩波文庫P16より引用

 

恋人を自殺に追い込んでしまった「罪の思い」に苛まれる《マンフレッド》。

その「葛藤と苦悩の物語り」をチャイコフスキーが見事、音楽に結晶化!!

 

さて、今回は、チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》解説とおすすめ名盤を紹介です。

 

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【解説】チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》

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解説:《マンフレッド交響曲》の魅力


チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》についてのこんな解説があります。  

FM対談・その7

F:マンフレッドって人の名前…?M:ええ、浪漫派の大詩人バイロン卿の長篇詩のタイトル、ロールです。F:バイロンといえば《イタリアのハロルド》!M:(中略)ベルリオーズの自叙伝風交響曲。そういえば、これもバイロンの長篇詩に基づいてますね。《マンフレッド》は、標題交響曲として、ベルリオーズやリストに次ぐ重要作です。

出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P140より引用

 

「表題交響曲」としては

が、有名です。

チャイコフスキーの《マンフレッド交響曲》は、以上の3曲に比べると地味な存在であって演奏機会や録音も少ない印象があります。

ただ諸井先生の解説にありますように、

 

《マンフレッド》は、標題交響曲として、ベルリオーズやリストに次ぐ重要作

 

であって「原作者バイロンの詩情を音楽として結晶化」させた「感動的な表題交響曲」と言えます。

 

作曲の動機:《マンフレッド交響曲》

ロシア五人組のひとりで作曲家のバラキエフはバイロン作の詩劇《マンフレッド》を標題音楽として作曲することを思い立ちます。

しかし、バラキエフ自身はなぜか自分では作曲することはせずに作曲家のベルリオーズに持ち込みます。

しかし、この時ベルリオーズは老齢である上に病気持ちであったためオファーを断ります。

その後チャイコフスキー作曲の《フランチェスカ・ダ・リミニ》を聴いて感動したバラキエフはチャイコフスキーに白羽の矢を立てます。

チャイコフスキーは始めのうちは興味を示さなかったものの数年後に作曲に着手、完成させるに至りました。

(ちなみにバラキエフはチャイコフスキーに《ロメオとジュリエット》の作曲もすすめチャイコフスキーはこれにも応えています。)

 

【各楽章を解説】チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》

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それでは《マンフレッド交響曲》について、あらすじに沿いつつ各楽章を解説していきましょう。

チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

第1楽章 アルプスの山中をさまようマンフレッド

多くの学びの後に叡智を得たマンフレッドは語ります。

マンフレッド:

ああ、母なる大地よ

そして(あかつき)の日よ

また、おまえたち山々よ

なぜにお前たちはこうも美しいのか

おれには好きにはなれない

しかしそれゆえに自意識の闇に悩み、そのうえ恋人を自らの責任で死に追いやってしまうという苦しみに苛まれるマンフレッド。

そのうえ精霊に「不死の呪い」をかけられながらマンフレッドはアルプスの山中をさまよいます。

そう、もし、死にたくば「自ら命を断つという選択」以外の道を絶たれながら…。

 

そして、精神的な行き場を失ったマンフレッドは断崖絶壁から身を投げようとしますが、そこにいた狩人に引き止められます。

 

音楽は、そんな「マンフレッドの絶望」とでも言える感情を描いています。

 

第2楽章 アルプスの妖精

天上の諸々の色合いを集めて

虹の光は急流にいまだに弓なりに架かり、

アルプス山中の精霊を描いています。

チャイコフスキーらしい柔らかい曲調の1曲で、緊張感があり哲学的なテーマを持つ《マンフレッド》の中ではホッと一息できる場面です。

 

物語としては、魔女を呼び出して議論をする場面です。

この際、自分とよく似た恋人アスターティを苦しめ、死に追いやってしまったことを打ち明けて解決策を求めます。

それに対して、

魔女

わたしの言いつけどおりにするというのなら、望みをかなえてやれないものでもないが。」

 

その言葉に過敏に反応するマンフレッドでしたがここでは魔女を追い払います。

 

第3楽章 山人の生活

アルプス山中で一面に緑が広がる田園風景を思わせます。

なんとも穏やかな光に包まれた名曲に仕上がっています。

 

第4楽章 アリマニーズの館

邪神アリマニーズの神殿での場面になります。

 

第1の宿命女神

「学問とは無知を別の種類の無知と取りかえることにすぎない」

ネメシス

「で、ほしいのは何だね?」

マンフレッド

「死者を喚び出してくれ、質問はそれにする」

そう、現れたのは今はなき恋人アスターティの亡霊…。

マンフレッド

「言ってくれ、俺を憎んではいないと、おれが受けているのは2人分の罪…

(中略)

滅びるまえに、かつておれの音楽だった声を一度聞きたい、なあ口をきいてくれ!」

 

アスターティの亡霊

マンフレッド!明日になればあなたの地上での苦しみも終ります

このアスターティの亡霊のひとことによって「精霊によりにかけられた不死の呪い」は解かれます。

僧院長

ま、冷たい、冷たいこと、心の臓まで冷たくなっていられる、だかせめてお祈りを一度…

 

マンフレッド

御老体!死ぬのはそれほど難しいことではございませぬな…

 

そして音楽もフィナーレを迎え、マンフレッドの数奇な運命と苦悩からの開放を象徴するような壮麗なオルガンが鳴り響きます。

そしてこのイメージこそ、マンフレッドが求めた「変容への渇望とその成就」の象徴と感じます。

以上、出典:バイロン 作  小川和夫 訳 《マンフレッド》岩波文庫より引用

【名盤3選の感想と解説】チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》

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アンドレ・プレヴィン:指揮 ロンドン交響楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

ドラマティックなチャイコフスキー《マンフレッド交響曲》をバランス良くまとめ上げた名盤です。

マンフレッドの持つ熱情的な精神の迫力ある描写は堂々としているし、ひるがえって優美な自然描写はと言えば、これまた繊細で美しい

なんとも変幻自在に色彩豊かに展開する感動的な《マンフレッド交響曲》。

同じくプレヴィン指揮の名盤であるチャイコフスキー《白鳥の湖》で聴かせてくれた艶やかさを思い出せてもくれる。

そんな名盤です。

 

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ:指揮 ロンドンフィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★☆☆

【名盤の解説】

やっぱりロシアの作曲家チャイコフスキーの名曲だったらロシアの香りも欲しいものです。

そんな名盤でしたらロストロポーヴィチが指揮したチャイコフスキー《マンフレッド交響曲》です。

全体的に音に厚みがあって好感が持てますしドラマティックでもあります

プレヴィンのような全体を見据えたバランス感には及ばないかもしれませんがロシア的な華麗さに触れたいときに聴きたい名盤です。

リッカルド・シャイー:指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

少し大人しい表現の名盤ですが、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の流麗な響きと華やかさがうれしいですね。

チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》にはもう少し劇的な要素も欲しいところですが、音の美しさが格別です。

いい意味で端正な面持ちのある名盤であって、長く聴き続けると味が出てくるような感覚があります。

 

【まとめ】チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》

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さて、チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

 

バイロンの劇詩の名作《マンフレッド》をもとに、チャイコフスキーの音楽が持つロマンティックな香りたっぷりに展開する名曲です。

 

「本を読んでる時間がない」。

 

「でも本は読みたい…」。

 

 

「ならばこんな解決策はいかがですか?」

 

そうバイロンの《マンフレッド》だったら、チャイコフスキー《マンフレッド交響曲》、聴いちゃいましょう♫

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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ドラマティックなチャイコフスキーだったらバレエ音楽ですね

 

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