真理を望むファウスト!
神と悪魔からの試し!!
リストが描く壮大な「魂の物語」
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神秘の世界への
- あこがれ
- 愛情
- 情熱
しかし、それゆえの
- 野心
- 苦悩
- 闘争心
そんな感情、うずまく物語《ファウスト》!!
「超絶技巧」と言えばフランツ・リスト。
そのリストが描く、超絶エキセントリックなファウストの神秘世界!
解説とおすすめ名盤、紹介です。
【解説】リスト:ファウスト交響曲
曲を解説
リスト《ファウスト交響曲》を紹介した、こんな解説があります。
第1楽章がファウスト、第2 (緩徐)楽章がマルガレーテ、第3楽章前半がメフィストを表わしている。
メフィストは悪魔的スケルツォで描かれるが、後半テノール独唱と合唱がゲーテ原作第2部終幕の《神秘の合唱》を歌い上げる時、ベートーヴェン《第九》の《歓喜の合唱》を想起しないわけにはいかない。
(中略)悪魔性を秘めた超人ファウストの存在を(リスト)自らの中に感じていることではないだろうか……。
出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P90より引用
リスト《ファウスト交響曲》の原作はドイツの文豪ゲーテの戯曲《ファウスト》ですが、大作ですのでなかなか読みきれるものではありません。
ただ、リスト《ファウスト交響曲》は壮大でありながらも聴きやすく、原作の《ファウスト》のイメージを感じとるのにはいいかもしれません。
そして解説にありますようにリスト《ファウスト交響曲》は
- ファウスト
- マルガレーテ
- メフィストフェレス
という主要な人物が各楽章で描かれるというシンプルなかたちをとっているため聴きやすいのだと言えます。
作曲の動機
リストにゲーテの戯曲《ファウスト》を読むようにすすめたのは、リストの友人で音楽家のベルリオーズでした。
時にベルリオーズ27歳、リスト19歳、お互いが音楽家としての熱い情熱がほとばしり出てやまないころでした。
当時、ベルリオーズはゲーテの戯曲《ファウスト》を読んで痛く感動し、その中の場面のいくつかを作曲していたほどでした。
そんなベルリオーズの影響でリストもゲーテの《ファウスト》読みを読みはじますが、この
- 神秘的で
- 文学的で
- また思索的、
そんなゲーテの《ファウスト》にのめり込んでいきました。
時は流れます…。
ベルリオーズは、劇的物語《ファウストの劫罰》を作曲します。
そして、これをリストに献呈しました。
これに刺激を受けたリストは、それまでに作曲は続けてはいたものの発表をためらっていた《ファウスト交響曲》を最後まで完成させ、発表にいたります。
そして、この《ファウスト交響曲》は「リストの代表作」とも言える壮大な作品として誕生したのでした。
【各楽章を解説】リスト:ファウスト交響曲
それでは、各楽章について解説します。
リスト:ファウスト交響曲は第1楽章から第3楽章までの3曲で成り立っています。
第1楽章 ファウスト
第1主題 神秘の世界と人生の真実を解明しようとするファウスト
神秘や真理を探求するために悪魔と契約して、若さを手に入れたファウスト。
深い思索の時を経ながら精神的に悶(もだ)える様が描かれます。
第2主題 愛とやさしさに満ちるファウストの想い
マルガレーテを想う情緒的な感情が美しく奏でられます。
第3主題 大胆さと闘争心にあふれるファウスト
神秘と真理を求めて
- 大胆で
- 闘争心にあふれ
- そして、勇敢に
立ち向かうファウストの姿を想像します。
第4主題 苦悩するファウスト
神秘と真理の獲得への道は平坦ではなく「つかめた」と思えばその手を離れて逃げていく…。
そんな繰り返しの日々であればファウストならずとも苦悩の瞬間はまぬがれ得ない…。
そんな場面が再び描かれます。
第5主題 英雄としてのファウスト
《ファウスト交響曲》の第1楽章のラストを飾るのは「苦悩の時」を経て、ふたたび神秘と真理の世界の探求へ向けて飛翔せんとして立ちあがる姿が目に見えるようです。
第2楽章 マルガレーテ
清らかでいじらしく、また思いやりに満ちた《ファウスト》のヒロイン、 マルガレーテが描かれます。
第3楽章 悪魔メフィストフェレス
悪魔メフィストフェレスの破壊への願望は、地獄における全ての悪魔の本能!!
神と天使たちの、様々なるよきものを創造し人類を導いてきた営みを、根底から
- 否定し
- くつがえし
- 破壊する
そうメフィストフェレスは自分自身のテーマは持たない。
現にある創造物を否定し、破壊することによってアイデンティティを保つことでしか存在証明の出来えぬ哀れなる存在…。
強くあれ、
- 神秘!
- 真理!
- そして、ファウスト!!
「時(瞬間)よ止まれ、おまえは美しい」と言ってしまうファウスト。
その言葉を口にした時点で悪魔に魂を明け渡すとのルールがありました。
そう、つまり、その時点で「地獄堕ち」が決まったファウストなのでした。
しかし、その時、天国のマルガレーテの祈りによりてファウストの魂は天上の世界へと引き上げられ、最終的な勝利を手に入れる!!
そんな場面が描かれて《ファウスト交響曲》は終わりを迎えるのです。
そう劇的な合唱とともに…。
すべて無常なるものは影像(えいぞう「つまり幻」)たるにすぎず。
かつておよばざりしもの、すでに行なわれ、
名状すべからざる(言葉で表現できない)もの、すでに成就さる。
永遠に女性的なるもの.........
われらを導く。
すべて無常なるものは影像たるに過ぎず。
ショルティ:指揮 シカゴ交響楽団
ライナーノートより 文:岩井宏之
【2選の名盤の感想と解説】リスト:ファウスト交響曲
サー・ゲオルグ・ショルティ:指揮 シカゴ交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
構築感や整った音作りで聴かせてくれる聴きやすい名盤です。
厚みのある弦楽器のつややかな音も素晴らしい。
「情感」の部分では足りないものは感じるものの全体のバランスの良さは、聴いていて飽きさせません。
全体としての美感が印象的な、味わい深い名盤です。
レナード・バーンスタイン:指揮 ボストン交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
終始《ファウスト交響曲》に没入した「乗り移り型の情熱系」名盤です。
発散されてくる
- 熱!
- 情感!
そして、飛び散る汗が見えるよう!!
バーンスタイン2度めの録音にして最高の《ファウスト交響曲》♫
リスト《ファウスト交響曲》の、神秘に撃たれながら憑依されたい向きにはオススメ…て、それ怖(こわ)っ!!
でも、それくらいの過剰移入したある意味バランス無視の超絶名盤です!
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】リスト:ファウスト交響曲
さて、リスト《ファウスト交響曲》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
たっぷりな時間をとってじっくりゲーテの《ファウスト》を読む…なんて、そんな時間は日々忙しく立ち働いている私たちには厳しい…。
でも、ここに音楽の力を使って、そのイメージだけでも吸収しちゃうってのもアリかも…。
- 神秘的で
- 文学的で
- また思索的、
そんな、リスト:ファウスト交響曲の世界に没入してみませんか?
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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