ロマン派の予感
芽吹く!
- 楽天的で気品のある名曲
- 古典派からロマン派への橋渡しの始まり
- ベートーヴェンの始まりの交響曲
今回は、ベートーヴェン:交響曲第1番の解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】ベートーヴェン:交響曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第1番についてのこんな解説があります。
ベートーヴェンが最初の交響曲を書き上げたのは29歳の年。 チャイコフスキーやマーラーに遅れること1年。 ハイドンには2年、モーツァルトからは実に21年。 史上最大最高の交響作家としてはずいぶんとゆっくり。慎重だったのだろう。ベートーヴェンが交響曲の分野を重視していた証拠だ。
出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P46より引用
楽天的で気品のある名曲であり、「どことなくハイドン風」な交響曲という印象を持つ名曲です。
ただベートーヴェンによる記念すべき第1曲めの交響曲もベートーヴェンらしさは感じられ、堂々として男性的な曲に仕上がっています。
1800年にウィーンで初演された際には不評を買い「軍楽隊の音楽」というあざけりの言葉をぶつけられました。
しかし、交響曲第1番が生まれた同じ頃にはベートーヴェンを代表するような曲も生まれてもいます。
- ピアノソナタ第8番《悲愴》
- 初期の6曲の弦楽四重奏曲
- 七重奏曲
もちろん、交響曲第1番の初演が不評であったからと言っても、実は名曲であるということは言うまでもありませんが…。
初演:1800年4月2日ウィーン、ブルク劇場にて
指揮:ベートーヴェン自身
編成:
弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×2、トランペット×2、ティンパニ
【各楽章を解説】ベートーヴェン:交響曲第1番
第1楽章 アダージョ・モルト:アレグロ・コンブリオ
序奏のアダージョは個性的な和音から始まります。そして、その和音を保ちつつも主題に移行しないまま音楽は流れます。
そして始まる、スカッと明るいハ長調の楽しい主題。
ハイドンやモーツァルトの交響曲の基礎を踏襲しながらも、たくさんの新しい試みを行っていくベートーヴェンの挑戦が見え隠れ…。
そう、交響曲の歴史がバリバリと多くの新しさを伴いつつ発展していく、その始まりを見るような楽章です。
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・モルト
モーツァルトの交響曲第40番の第2楽章に似ていると言われます。しかしここでは、ハ長調の明るくもチャーミングな曲調であることは大きな違いです。
全体的に若葉が芽吹いていくような春の様子をうかがわせる温かい雰囲気の楽章になります。
第3楽章 メヌエット:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ
堂々としてノリの良い楽章です。「メヌエット」というよりは、スケルツォ楽章としての性格が強い切れ味の鋭いスピード感もあります。
第4楽章 アダージョ:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ
最終楽章に序奏が付けられていること自体が当時としては珍しいことであって、ベートーヴェンの挑戦を感じます。
しかし、ベートーヴェンは「秩序を壊すまでの挑戦」は戒めていたのでは…。
この美しい和声の織りなす心地よさと明るい気持ちの発露してゆく楽しさに満ちています。
これは古典派の音楽にあふれて止まない「本当の悦びのこころ」を表す音楽!
さあ楽しもう、「古典派の持つ悦び」と「ロマン派の持つ情感」を…。
【名盤2選の感想と解説】ベートーヴェン:交響曲第1番
フランス・ブリュッヘン:指揮 18世紀オーケストラ
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
ベートーヴェンの当時の響きを再現しつつも悦びでいっぱいの音世界を構築しています。
音楽そのものを楽しんでいる雰囲気が伝わってくるところが嬉しい名盤です。
古楽器での演奏は素晴らしいものですが、どこか乾燥したような味気ない演奏になる危険性もありますがこの名盤にはそういったものが感じられません。
18世紀の当時の響きを楽しみつつもベートーヴェンの若い感性の発露が充分に聴き取れます。
カルロ・マリア・ジュリーニ:指揮 ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
終始ゆったりとしたテンポで交響曲第1番の本来持つ魅力に迫った名盤です。
常に音楽の中から気品が漂うジュリーニだからこそ実現した美しい語り口が印象の名盤でもあります。
メリハリや激しい起伏を求める向きにはオススメ出来ませんが、たまには柔らかいベートーヴェンもいいものです。
特に第1番の交響曲には音の持つ柔らかさが大切でありますし、そこに重点を置くのであるならきっと気に入る名盤です。
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【まとめ】ベートーヴェン:交響曲第1番
さて、ベートーヴェン:交響曲第1番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
- ロマン派の予感
- 芽吹く!
- 始まりの交響曲♫
楽天的で気品のある名曲であり、古典派からロマン派への橋渡しの始まりのような印象も感じられる記念すべきベートーヴェンの始まりの交響曲。
さあ、素朴な明るさと悦びの感じられるベートーヴェン:交響曲第1番を聴いて楽しみませんか?
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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