ハイドンが拓き
モーツァルトが伸ばし
ベートーヴェンが橋渡し
どこかモーツァルト的な旋律の美しさや可愛らしさがありながらも、ベートーヴェンらしさが湧き出してき始めた名曲!
今回は、ベートーヴェン:交響曲第2番の解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】ベートーヴェン:交響曲第2番
ベートーヴェン:交響曲第2番についてのこんな解説があります。
第1(交響曲)がハイドン・タイプであるとすれば、この第2(交響曲)はむしろモー
ツァルト風。 ニ長調という調性が、《パリ》、《ハフナー》、《プラーハ》などを思い出させる。(中略)ハイドンの枠を越えて発展させて行ったその遥か先を行くほどの充実ぶりを示していることが、まず目につく新しい事態であると同時に、ベートーヴェンが、モーツァルトが歩んだ道の先を行こうとしていることを証明している。出典:諸井誠 著 「交響曲名曲名盤100」P48より引用
まさしく、第1交響曲の「ハイドン風」のおっとりとした雰囲気に対して第2交響曲の「モーツァルト風」の後期交響曲のもつ祝典的な明るさ。
しかし、確かにハイドンとモーツァルトの影響を感じさせるものはあるものの、ベートーヴェンらしい壮大さはすでに芽吹き始めているのが特徴です。
交響曲第2番が作曲されたと同じ頃、ベートーヴェンは有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」をしたためています。
ベートーヴェンの耳の病が本格化してきたために絶望して自死を決意して書かれた遺書のような内容の手紙です。この遺書が書かれたのが1802年10月6日となっていますが、交響曲第2番が完成したのが同年の3月とです。
つまりベートーヴェンの難聴の症状が進む中で、この明るい雰囲気の交響曲第2番が作曲されたわけですからその精神力に驚かされます。
ベートーヴェンの9曲ある交響曲の中では最も演奏される機会の少ない曲ではあります。ただ全体的に美しい旋律で満たされており素晴らしい名曲と言えます。
初演:1803年4月5日アン・デア・ウィーン劇場にて
指揮:ベートーヴェン自身
編成:
弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×2トランペット×2、ティンパニ
【各楽章を解説】ベートーヴェン:交響曲第2番
第1楽章 アレグロ・モルト:アレグロ・コン・ブリオ
ダダーン!
壮大な序奏が始まります。ゆったりと、そして厳かに奏でられていくところが、すでにこの後に展開するベートーヴェンの交響曲の華々しい歴史を予感させます。
序奏の後は、諸井誠先生の解説のありましたようにモーツァルトの「《パリ》、《ハフナー》、《プラーハ》などを思い出させる」ように展開していきます。
第2楽章 ラルゲット
優美な旋律が印象的な楽章で、ある意味ベートーヴェンの全交響曲の中でも最も歌心のある緩徐楽章のひとつです。
木管楽器たちの温かみのある響きや、支える弦楽器の優しい叙情性が心を打ちます。
第3楽章 スケルツォ
ベートーヴェンが初めて第3楽章にスケルツォを置いた楽章で、若い息づかいとフレッシュな感性が美しい楽章です。3拍子で刻まれる曲の中に弾ける躍動感があります。
第4楽章 アレグロ・モルト
速いテンポの勇壮な中にエネルギッシュな曲調を持った最終楽章で鮮やかに展開します。
バリバリと元気で躍動的な音世界の中を、全楽器たちが音楽する喜びを歌っているようなパワフルな楽章でもあり、最期を飾るにふさわしいフィナーレです。
【名盤2選の感想と解説】ベートーヴェン:交響曲第2番
ブルーノ・ワルター:指揮 コロンビア交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
温かい人間味を感じるワルターの名盤です。
ワルターの指揮するベートーヴェンは全て美しい名盤ですが、特に第6番《田園》とこの第2番の交響曲は素晴らしい。
ワルターの構築する牧歌的で深みのある音楽性は、第2交響曲に似つかわしく感じます。
ゆったりと落ち着いた雰囲気の中に宿る優美な響きにただただ感嘆。
おすすめの名盤です。
サー・ネヴィル・マリナー:指揮 アカデミー室内管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
マリナーの音楽の持つ気品が漂う名盤です。
マリナーの奏でるベートーヴェンは迫る緊迫感は少ないものの、本来ベートーヴェンの音楽が持っている懐の深い愛情のようなものを美しく表現しています。
その特性が交響曲第2番では特に強く表出されていて好感が持てます。
いつ聴いてもどこから聴いてもマリナーの香りの高い音楽性に触れられて嬉しい。
そんな名盤でもあります。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】
さて、ベートーヴェン:交響曲第2番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
- ハイドンが拓き
- モーツァルトが伸ばし
- ベートーヴェンが橋渡し
そう、この交響曲第2番の後に続く、交響曲第3番以降のロマン派の音楽への橋渡し的なベートーヴェンの交響曲群の片鱗が聴ける貴重な曲。
どこかモーツァルト的で旋律が美しくありながらも、ベートーヴェンらしい力強さが湧き出てきた感のある名曲でもあります。
演奏機会は少なくても、躍動感と美しい旋律がいっぱい。
ぜひじっくり聴いてみてくださいね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうごさいました。
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