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チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲【解説と名盤3選】

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う、美しい!

なのに残念エピソード

名曲!ほぼチェロ協奏曲

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チャイコフスキー作曲のチェロ協奏曲の名曲…いえいえ、違います。

けれども、古今東西のチェロ協奏曲と肩を並べるほどの美しい旋律が詰まった「ほぼチェロ協奏曲」

 

今回は、チャイコフスキー《ロココ風の主題による変奏曲》解説とおすすめ名盤を紹介です。

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

【解説】チャイコフスキー《ロココ風の主題による変奏曲》

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曲目解説 

ロココ様式とは、

  • 華麗にしてきらびやか
  • 繊細にして優雅
  • ため息出そうな耽美な魅力

そんな形容がピッタリの18世紀におけるひとつの美術様式のことです。

作曲の動機としては、チャイコフスキーの親友でチェリストだったヴィルヘルム・フィッツェンハーゲンのために作曲され、また献呈もされています。

形式としては単一楽章であり協奏曲の体裁を取っていないことから「チェロ協奏曲」と呼ばれることはありません。

ただ、有名なドヴォルザークのチェロ協奏曲に次いで演奏会でプログラムに採用されることが多いので一般の評価は非常に高いと言えます。

 

残念なエピソード

《ロココ風の主題による変奏曲》はチェリストのフィッチェンハーゲンの助言をもとに作曲され初演も本人が行いました。

ただこの初演の際にフィッチェンハーゲンは大きく変更を加えてしまいます。

チャイコフスキーからは「チェロの独奏部分は変更してもいい」と言われていたものの

  • 第8変奏を省いてしまい
  • 変奏の順番も入れ替えて

演奏してしまったのです。

楽譜の変更自体もフィッチェンハーゲン自身がチャイコフスキーの自筆譜に直接ペンで書き入れるという大胆さ。

ただ、初演自体の聴衆からの評価は高く、フィッチェンハーゲン自身はむしろ「変更したことによる功績を自負していた節」があります。

チャイコフスキーに宛てたフィッチェンハーゲンの手紙には演奏会における評価高かった旨の内容が書かれていたためそのまま出版はされました。

ただチャイコフスキー自身は、納得がいっていたわけではなく、やり場のない怒りの感情を押し殺していたと言われています。

そして、現在でもフィッチェンハーゲンの訂正した楽譜をそのまま用いて演奏されることが多いです。

ただ、一部チャイコフスキー自身の書いた原典版をもとに演奏や録音をする流れも出てきてはいます。

そして、有名なチャイコフスキーコンクールのチェロ部門でも課題曲になっている《ロココ風の主題による変奏曲》。

第12回の2002年大会からは、チャイコフスキー自身が作曲した純粋な原典版が採用されています。

初演:1877年12月1日モスクワにて

チェロ:ヴィルヘルム・フィッチェンハーゲン

指揮:ニコライ・ルービンシテイン

編成:

チェロ独奏

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×2

 

【各曲を解説】チャイコフスキー《ロココ風の主題による変奏曲》

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それでは、各楽章について解説します。

チャイコフスキー《ロココ風の主題による変奏曲》主題と第1変奏から第7変奏(原典版は第8変奏)までの8曲で成り立っています。

(本記事ではよく演奏されるフィッチェンハーゲンの改訂版をベースにして解説していきます)。

序奏:モデラート・アッサイ・クアジ・アンダンテ(中くらいの歩く速さで) 

(原典版でも同じ)

短い序奏から入ります。

 

主題:モデラート・センプリチェ(中くらいの速さで素朴に)

(原典版でも同じ)

主題が奏でられます。

チャイコフスキーらしい優しい語り口のメロディです。

 

第1変奏:テンポ・デッラ・テーマ(主題の速さで)

(原典版でも同じ)

歌がありメロディアスな《ロココ風の主題による変奏曲》の特徴をよく表した音運びです。

独奏チェロはじめ、管楽器や独奏チェロ以外の弦楽器も歌います。

 

第2変奏:テンポ・デッラ・テーマ(主題の速さで)

(原典版でも同じ)

はずむイメージの1曲になります。

明るい雰囲気を保ったまま音楽は展開していきます

 

第3変奏:アンダンテ・ソステヌート(歩くテンポより少し遅く)

(原典版では第7変奏)

チャイコフスキーらしい優美な旋律の1曲で印象的です。

チェロの優しい歌を各楽器たちがそっと支えている様がとても気持ちの良い1曲になっています。

 

第4変奏:アンダンテ・グラジオーソ(歩く速さで優雅に)

(原典版では第5変奏)

可愛らしくもケラケラと笑う楽器たちのまるで鬼ごっこの風景が楽しめるようなイメージです。

聴いていて微笑ましく思わずこちらまで顔がほころんでしましそうな変奏です。

 

第5変奏:アレグロ・モデラート(ほどほどに速く)

(原典版では第6変奏)

フルートの美しくも澄んだ音色で始まる第5変奏です。

ここではチェロ独奏が長く続くところが特徴でフルートが先導した音楽がチェロに引き継がれてチェロが歌い続ける形になります。

 

第6変奏:アンダンテ(歩く速さで)

(原典版では第3変奏)

悲しげなメロデイを歌うチェロと、それを支えるピチカートに演奏される弦楽器の演奏が特徴的です。

 

第7変奏:エ・コーダ、アレグロ・ヴィーヴォ(終結部、生き生きと速く)

(原典版では第4変奏および第8変奏から転用)

非常に明るく元気な展開を見せる終結部で、高らかに歌う独奏チェロと全楽器たちが愉快に楽しくはずみます

《ロココ風の主題による変奏曲》の最後を飾る力いっぱい駆け抜けていく手に汗握る名終結部です。

 

【名盤3選の感想と解説】チャイコフスキー《ロココ風の主題による変奏曲》

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ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ:チェロ
ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

ロストロポーヴィチのチェロとカラヤン指揮の名盤は演奏が堂々としている中にも深い美感に包まれていてさすがだなという印象です。

磨き抜かれていると言いますか彫琢された陶酔感のようなものがあります。

抜けるような透明感もあって、チャイコフスキーらしい華麗さが感じられる《ロココ風の主題による変奏曲》の名盤です。

 

ミッシャ・マイスキー:チェロ
オルフェウス室内管弦楽団
 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

優美な魅力のマイスキーのチェロとオルフェウス室内管弦楽団のバランスの良いアンサンブルがキレイな印象の名盤です。

とくにマイスキーの奏でるチェロの哀愁を感じさせながらも情に流され過ぎない絶妙な美しさがたまらない魅力になっています。

チャイコフスキーがチェロをメインにした曲を遺してくれたおかげで素晴らしい名盤に巡り会える喜びを得られました。

マイスキーのチェロで、じっくりと音芸術を堪能したいものです。

 

レナード・ローズ:チェロ
ユージン・オーマンディ:指揮
フィラデルフィア管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

レナード・ローズの繊細なニュアンスまで大切に表現する芸術性に息を飲む名盤です。

ローズの繊細さに比べるとオーマンディの指揮が若干骨太な気はしますがある意味バランスの良さはあるかもしれません。

ローズのチェロの名盤はジョージ・セル指揮のクリーヴランド管弦楽団の名盤もありあますがこちらはバックの演奏も繊細です。

ただ録音自体があまり良くありませんでバランス重視のオーマンディ指揮の名盤を選びました。

 

【まとめ】チャイコフスキー《ロココ風の主題による変奏曲》

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さて、《ロココ風の主題による変奏曲》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

初演を担当したチェリストのフィッツェンハーゲンの残念エピソードなどを紹介してきました。

でも現在でもフィッツェンハーゲンの改訂版が多く演奏されているのならやっぱり改定に対する一定の評価はしてもいいのかな?

「チェロ協奏曲」にはなり得なかった「ほぼチェロ協奏曲」の名曲チャイコフスキー《ロココ風の主題による変奏曲》の優美な魅力。

ぜひ聴いてみてくださいね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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