ブラヴォー、
モーツァルト!
ヨーゼフ2世の声
ピアノ協奏曲第18番の演奏会後に起こったエピソードです。
そして、ヨーゼフ2世のみならず同席していたモーツァルトの父レオポルトもその目に涙を浮かべながら感動したという記録もあります。
さて、今回は、そんなモーツァルト:ピアノ協奏曲第18番の解説とおすすめ名盤を紹介です。
- 【解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
- 【各楽章を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
- 【名盤3選の感想と解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
- 【まとめ】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
【解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番についてのこんな解説があります。
1784年の四旬節に(中略)実にひかえ目で愛らしい『ピアノ協奏曲 変ホ長調』(第14番)(中略)同じ年の秋には、盲目のピアニスト、フォン・パラディス嬢のおそらくパリ演奏旅行のために(中略)『協奏曲変口長調』(第18番)を、そして(中略)牧歌的な『同へ長調』(第19番)を書いた。(中略)モーツァルトはここで凱歌をあげたと言われている。
出典:アンリ・ゲオン 著「モーツァルトとの散歩」p222より引用
モーツァルトのピアノ協奏曲の名曲と言えば第20番から第27番までの8曲が有名です。
けれどもモーツァルトのピアノ協奏曲のナンバーで言うところの10番台の中にも素晴らしい曲がたくさんあります。
とくに1784年はモーツァルトにとって6曲のピアノ協奏曲(第14番から第19番)が産声を上げた年でした。
- 「6曲?」
- 「第14番から19番?」
どこかで聞いたような…。
そうです、モーツァルトの弦楽四重奏曲の第14番から19番の6曲、別名《ハイドン・セット》です。
モーツァルトが自身の尊敬するハイドンに献呈したという6曲の弦楽四重奏曲でとても優れた粒ぞろいだと言われています。
この弦楽四重奏曲の《ハイドン・セット》は有名ですが、いやいやなかなかどうしてピアノ協奏曲の第14番から19番だってステキな名曲たちなのですよね。
さて、作曲は1784年の9月30日にウィーンにて。
記録としては1785年2月13日にソプラノ歌手のラスキ婦人の演奏会での客演という形でモーツァルト自身がピアノを担当して演奏が行われています。
さて、解説にありますようにピアノ協奏曲第18番は、盲目のピアニストのマリア・テレジア・フォン・パラディスの依頼に応えるべく書かれました。
マリア・テレジア・フォン・パラディスは3歳のころ失明したと言われていますが生前、ピアノやオルガン、そして時には歌手としても活躍しました。
そんな芸術肌の女性に向けて作曲されたせいかモーツァルト:ピアノ協奏曲第18番は「調和的で柔らかくとてもチャーミングな1曲」となっています。
【各楽章を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
それでは、各楽章について解説します。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番は第1楽章から第3楽章までの3曲で成り立っています。
第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ(快活に速く)
かわいくコロコロ、はずむ音。
優しく語るは管弦楽…。
楽しく笑うピアノの音(ね)。
さあさ始まるモーツァルト、みんなで聴こうよ耳すまそ…。
第2楽章 アンダンテ・ウン・ポコ・ソステヌート(歩くような速さより少し遅く)
主題と5つの変奏から成り立っていて、もの悲しくも美しい旋律が聴ける名曲です。
まるでそのさま
碧(あお)い珠…。
ふかくて碧(あお)い
あおみどり
碧(あお)は時どき変わってく
紺色、ふかくて重い碧(あお)
青色、きれいな光る碧(あお)
緑はやさしい包む碧(あお)
ちょっぴり哀しみふくませて、
目には見えない哀しみが、
胸のあたりでゆらめいて、
キラリ光って優しくて、
碧く哀しいその珠の
美し珠のゆらめいて…
第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ(快活に速く)
タタタタタタ♫
タタタタタタ♫
タタタタタタ、タタタターン♫
はじけるピアノの音から始まる第3楽章は、無邪気に遊ぶ幼(おさな)子が屈託なくケラケラと笑う姿が見えてくるようです。
そして、
それに合わせてノッてくる、弦楽、管楽、楽しそう…♫
ワクワク踊るは胸の内、
タンタン鳴らすは足元ゆかいにはずむ音…♫
そんな情景見えてくる。
そんな輪の中入ってこ!
笑って踊ってケラケラと
歌って楽しくワクワクと…
そんな名曲3楽章…♫
底ぬけ
喜べ
駆けてゆけ!
そんな明るい3楽章…♫
【名盤3選の感想と解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
イングリット・ヘブラー:ピアノ
クリストファー・フォン・ドホナーニ:指揮
ウィーン交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
「天使のようなモーツァルト」と例えたくなる名演奏を行なってきたヘブラーの名盤です。
ヘブラーの演奏したモーツァルト:ピアノ協奏曲第18番はアルパカの調べた範囲では何種類かあります。
ミュンヒンガー指揮、シュトゥットガルト室内管弦楽団の演奏(1957年録音)。
コリン・デイヴィスの指揮とロンドン交響楽団の演奏(1966年録音)。
そして、今回紹介する名盤は、クリストファー・フォン・ドホナーニ指揮、ウィーン交響楽団の演奏(1959年録音)のものです。
どの名盤も素晴らしいモーツァルトらしさ、あるいはヘブラーらしさの感じられる名盤でヘブラー自身の声とも言えるピアノで歌った「天使の歌」です。
ドホナーニの名盤はフレッシュにはじけるヘブラーピアノが魅力でバックで支えるドホナーニとロンドン交響楽団のヘブラーとの歌の呼応が美しい名盤です。
純粋で飾らない、気品があって味わい深いへブラーのモーツァルト:ピアノ協奏曲第18番のおすすめです。
ウラディーミル・アシュケナージ:ピアノと指揮
フィルハーモニア管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
澄んだ響きと繊細さが素晴らしいモーツァルト:ピアノ協奏曲第18番の名盤です。
アシュケナージのピアノとともに歌うフィルハーモニア管弦楽団のサポートも美しくこの名盤を飾ります。
その美しさゆえに素朴にはじける幼子の純粋さのような雰囲気自体はあまり表出されていませんが「美しい名盤」としては群を抜いています。
モーツァルトのピアノ協奏曲の弾き振りとしては先駆的な名盤でもあってその意味でも素晴らしい名盤とも言えそうです。
アルフレッド・ブレンデル:ピアノ
サー・ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー室内管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
ヘブラーやアシュケナージの名盤にくらべますと理性や知性の要素が加味された印象のブレンデルがピアノで聴かせる名盤です。
モーツァルトの音楽は美しいがゆえに演奏も甘くなりがちですがその甘さを抑えながらも透明度の高いモーツァルトを実現しています。
バックのマリナーとアカデミー室内管弦楽団の演奏もたおやかな音運びで好感が持てますし、とても相性のいいコンビと言えます。
ブレンデルの構築する造形美、しかしそれが堅苦しくならない柔らかさで表現される不思議さをじっくり味わいたい名盤でもあります。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番
さて、モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
- ヨーゼフ2世の絶賛!
- 父レオポルトも感涙…
そんな隠れた名曲がモーツァルト:ピアノ協奏曲第18番です。
モーツァルトのピアノ協奏曲と言えば第20番以降の8曲が有名です。
けれども、ピアノ協奏曲に限らずその素晴らしい曲の裏に隠れた名曲が多いのもモーツァルトの大きな特徴です。
ぜひ、色々聴いてみてモーツァルトの名曲という宝物を発見してみてくださいね。
そして、その際にはどうか私、アルパカにも教えてください♫
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
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