「子供の頃に戻りたい」そんな感情を持ったことはありませんか?
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【解説】シューマン:トロイメライ《夢》
こんな解説があります。
(シューマンが)子供ができる前、というより、結婚の2年前に書かれたものであり、子供の実在感はまだない頃の作品。空想の世界の中の子供は、彼の幼児記憶にさかのぼるものだろうし、また、幻想の小児は、彼のあこがれの象徴でもあろう。その意味で『子供の情景』は真にロマン的な音楽であるといえよう。13曲の表題つき小曲からなり、別して有名なのが『トロイメライ=夢』である。この組曲の演奏家を1人選ぶとなれば、したがって、この『夢』を見事に夢みることのできるピアニストでなければならない。
出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」p122より引用
【各曲の感想と解説】シューマン:トロイメライ《夢》
そもそも「トロイメライ(夢)」 という曲は、シューマンの作曲したピアノ曲『子供の情景』という全13曲ある曲集の中の一曲であり、第7曲目に配置されています。
この『子供の情景』という曲は解説にもある通りシューマンの「空想の世界の中の子供」の部分があらわれたもので、親しみやすい旋律で出来上がった曲集です。
その中でも、特別に有名な曲が「トロイメライ(夢)」というわけです。
『子供の情景』という曲集の全体としては下にしるした内容です。
- 第1曲 見知らぬ国と人びとについて
- 第2曲 不思議なお話し
- 第3曲 鬼ごっこ
- 第4曲 おねだり
- 第5曲 満ち足りた幸せ
- 第6曲 大変な出来事
- 第7曲 トロイメライ(夢)
- 第8曲 暖炉のそばで
- 第9曲 木馬の騎士
- 第10曲 むきになって
- 第11曲 おどろかせ
- 第12曲 眠りにおちる子ども
- 第13曲 詩人はかたる
【名盤を解説】シューマン:トロイメライ《夢》
アルバムとしては、技巧のすぐれた方や、感覚のすぐれた方の演奏のどちらにしても「心における子どものごとき純粋さ」が要求されるだけに、ある意味で非常にむずかしく高度な『技術』いや、『心』が必要なのかもしれませんね。
その中から新旧の技巧派ピアニストの2人から選んでみますね。
ウラディーミル・ホロヴィッツ:ピアノ
シューマンのこの曲を得意としたホロヴィッツならではの安定感ある演奏ですね。
この演奏を聴いていますと、本当の技巧とは、決して表面的に豪華なだけでなく、心に沈潜するインスピレーション、受容するふところのようなものが必須なのだと気づかせてくれますね。
マルタ・アルゲリッチ:ピアノ
マルタ・アルゲリッチのタッチは、みずみずしく、朝つゆが光を放つ瞬間の美しさをその音に込めたような演奏ですね。
ふだんは男性ピアニスト顔負けの技巧で圧倒するアルゲリッチですが、ここではまるで少女が寝息とともに夢の世界に遊ぶような感覚です。
日々の通勤、スマホをのぞくスペースすらない満員電車、それだけでも十分に疲れているというのに、会社についてみれば、うず高く盛りあがる仕事の山、山、山。
「おお、絶景」と、冗談をいうヒマもなく、ただただ仕事に追われて一日が終わっていく。
家に帰り、風呂に入ったら、カサカサと音をさせながら開けるコンビニ弁当をチンして食べはじめる。
そして、ふと時計をみれば10時、11時。
そして、翌朝、寝不足のままで満員電車での苦行を強いられ会社につけば仕事の苦行。
そんな毎日の中、ふと出るのが
「子供の頃は良かった。自由でのびのびと言いたいこと言って生きてたよなあ…(ため息)」
そんなひとこと…。
それならば、せめて
「耳を使って子供の頃に帰ろう」
そんな方法があってもいいとは思いませんか?
そんな時に「効く」曲がシューマン作曲の「トロイメライ(夢)」ですね。
【解説と名盤、まとめ】シューマン:トロイメライ《夢》
さて、シューマン:トロイメライ(夢)、名盤の紹介と解説はいかがでしたか?。
解説で紹介した諸井誠先生も著書の中で書かれていましたが、この「トロイメライ」を含む、『子供の情景』という曲は、音で表現された「言葉のないおはなし」なのだと思います。
せせこましい毎日の中、せめて夜、眠るときにでもボリュームをしぼり気味にして、シューマン:トロイメライ(夢)を流してみましょうか。
どうでしょう。
子供の頃に聞いたおはなしの世界を耳で聴きながら、そのまま眠りに落ちていくのもいいものですよね。
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そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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