アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方を解説します。

ドビュッシー:月の光【おすすめの名盤3枚の解説と感想】静かな夜に、いやしの瞑想曲

otf:id:happy-alpaca:20190817171031j:plain

瞑想を思わせる静けさ

目を閉じて、月のささやきを、聴きとろう!


ドビュッシー: 月の光

(youtubeをポチって音楽を聴きながら読んでみてくださいね。”iPhoneの場合は全面表示されてしまったら2本指で内側にむけてピンチインしてください。”)

ある秋の夜、ひとり部屋にたたずんでいると「りりり、りりりり」と虫の声。

カラカラと窓を開けてその声に耳を傾けながら、見上げてみると抜けるように見事な白い満月。

その静けさと、ときたま聴こえる虫たちのかすかな歌は秋を楽しむ醍醐味のひとつですね。

そんな、「静謐(せいひつ)」なイメージの1曲がこのドビュッシー作曲の「月の光」ですね。

【解説】ドビュッシー:月の光

この「月の光」という曲は、下記に引用した解説にある通り、ドビュッシーの作曲した「ベルガマスク組曲」という曲集の3曲目になります。

ドビュッシーの音楽は「印象派」という分類です。

「印象派」という分け方は、絵画の世界でもあるもので、その淡い色調から浮かび上がる心地よい優しさは、まさしく印象的で、繊細なタッチ。

ただ、ドビュッシー本人は自分の作る音楽がその「印象派」に属しているということを認めていなかったとのことですね。

こんな解説があります。

  「月の光」によって愛好されている、この「ベルガマスク組曲」は、ドビュッシーの初期のピアノ曲を代表する傑作である。(略)
「ベルガマスク(ベルガモ舞曲の意)」と名付けられているのは、まだ彼の頭のなかに、留学中訪れた北イタリアのベルガモ地方の印象が深く刻み込まれていたからであろう。
 「前奏曲」「メヌエット」「月の光」「パスピエ」の4曲からなっているが、旋律とハーモニーがとりわけ美しい「月の光」は、ドビュッシーの全作品をつうじて、もっともポピュラーなものとなっている。

出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」p312より引用 

それでは、この「月の光」を含む、全体としても美しい「ベルガマスク組曲」の一曲一曲について、書いておきたいと思います。

【各楽章を解説】ドビュッシー:月の光が入った「ベルガマスク組曲」

「月の光」の入った「ベルガマスク組曲」は4曲で成り立っています。

それでは、各曲について少し解説したいと思います。

第1曲:「前奏曲」

ドビュッシーは1884年にフランスで行われた、「ローマ賞」で大賞を受賞しました。

これは、すぐれた芸術家に送られる留学奨学金つきの賞とのことです。

ドビュッシーは、その奨学金でイタリアのベルガモ地方へ留学します。

でも、ドビュッシーはその土地に馴染むことが困難だったため、はやばやと留学を切り上げて、フランスに戻ってきてしまったそうです。

「ベルガマスク」とは引用の解説にもあったとおり、「ベルガモ舞曲」の意味ですね。

そうだとすると、ドビュッシーがあえて、ピアノ曲として作曲したところをみると、肌に合わないベルガモの地であったとはいえ、いくつかのいい思い出もあったのかもしれませんね。

この第1曲目の「前奏曲」の、スローモーションで弾ける水玉のような清らかさは、街にたたずむ泉のイメージのように感じます。

第2曲:「メヌエット」

優しい陽光の中で、流れる舞踊曲(メヌエット)は恋人同士が笑顔で交わす会話のよう。

時に、いたずらっぽく、時に、ふざけながら、
それでも、足の動きはかろやかに、手のひらの舞はなめらかに。

踊ろよ。みんな。手を差しのべて。

光も踊るよ。いつまでも。

第3曲:「月の光」

照らすよ、照らす。
夜のとばりが降りたなら、
静かに照らすよ。
月あかり。

海のみなもと話してる。

木々の葉っぱと話してる。

無口な石ころ話さない。
じっとだまってきいている。

なかなかお話してくれず、
それでも、月は話してる。
面白そうに話してる。
ささやくように話してる。

けっして、誰にも聞こえない。
ささやくようなその声で
今日も静かに話してる。

第4曲:「パスピエ 」

重い空からおちてくる、石だたみをたたく雨は、弾けて空に帰ろうとしても、その願いは叶わず地面の石に染みていく。

それでも、ますます落ちて、注ぐのは、空の世界を知りたくて、踊りながら存分に、たくさん遊んでみたいから。

第2曲の「メヌエット」とは少しだけおもむきの違うダンスという感じかな。

 

f:id:happy-alpaca:20190814212959p:plain 

以上、簡単にこの曲のイメージを書いてみました。 

【名盤を解説】ドビュッシー:月の光

ゾルターン・コチシュ

コチシュの奏でるピアノから、聴こえてくる「月の光」は、限りない透明感のある月であって、すでに目に見える月を通り越して、その奥底に潜むほんとうの「月」とも言えるものなのですよね。

たとえて言えば、人というのは顔や体で表現されているものですけれども、やっぱり、どう考えても「こころ」ってありますものね。

それと同じで、月にもその目にみえない「こころ」というか、本質のようなものがあるような気がしてならないのですよね。

そして、それはこのコチシュが表現している、ひとの心のやわらかい部分。

限りなくうすい膜のようなガラス素材のいつ壊れてもおかしくないくらいの繊細なこころ。

そんな「月」の個性そのものの表現ですね。

このコチシュさんの演奏がアルパカにとっての初めてのドビュッシー体験であり、ドビュッシー演奏の理想との出会いでした。

ミシェル・ベロフ

f:id:happy-alpaca:20200527115155j:plain

くっきりと、限りなく白い光を放つ「月」

その技巧はもちろん素晴らしいのですが、それでいて、このピアノの語り口のやわらかさはクセになります。

あたたい感性の部分を、触ってくる音のひとつひとつが、光の粒のような名盤です。

録音もクリアで鮮やかなのがいいですね。

サンソン・フランソワ

「ピアノ詩人」
そんな呼び方をされるフランソワのテンポは、コチシュよりも早めでありながら、変幻自在にそのテンポ自体を変えてくる。

そのところは、すごくインスピレーショナブルな感じで、さすがはサンソン・フランソワ、センスが光りますよね。

一般的にはこのフランソワのドビュッシー演奏は評価が高いですし、多くの方にオススメかもしれません。

さて、アルパカとしては、以上2枚を聴いてみて、やっぱりどちらかと言うとコチシュの演奏した方が好きかもしれません。 

これはあくまでも「アルパカの好み」のおはなしということで、ご了承いただけたなら幸いです。

つまり、テンポは淡々としていても、アルパカの思う「月」のイメージがコチシュの演奏に近いということなのですね。

なんだかとても、落ち着いて、ゆっくりと、だけれども、深くこころを見つめることができるようなそんな感覚ですね。

現代人にはむずかしい「心を静めるための簡単な方法」として聴くならば、最適なアルバムのひとつかもしれませんね。  

f:id:happy-alpaca:20190814213345p:plain

【解説と名盤、まとめ】ドビュッシー:月の光

さて、ドビュッシー:「月の光」、いかがでしたか。 

ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」の中の「月の光」。

一日のストレスが、なかなか取れずに、悶々としているときに、ほんの少しのお酒などを口に含ませながら聴きます。

そうすると、さて、明日もなんとか、がんばって持ちこたえてみるかな」という気持ちが出てきます。

今は夜ですか?

そして、空は晴れていますか?

それならば少しの間、窓をあけて空を見上げてみませんか?

その空の彼方には、あなたに静かにお話をしてくれるお月さまが、優しい光を投げかけてくれていることに気づけるかもしれませんよ。

 

さて、名盤の紹介と解説はいかがでしたか? 

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

↓こんな癒やしの曲もあります。 

↓静寂な時の流れのなかで…。 

↓子どものこころを思い出そう。

 

www.alpacablog.jp