
めぐりゆく
魔法のように…
めくるめく協奏曲!
循環形式というピアノ協奏曲では珍しいカタチ。後に有名な交響曲第3番でも採用されて注目を集めます。天才的な才能を発揮したサン=サーンス作曲の名ピアノ協奏曲。
今回は、サン=サーンス:ピアノ協奏曲第4番の解説とおすすめ名盤を紹介します。
【曲の解説】

「第4番」は、「第5番」と並んで人気のある作品で、1878年(43歳)に作曲された、中期の傑作である。 円熟した技法で書かれているが、ここではじめて循環形式を用いているのも、大きな特徴である。また、楽章の数は全部で2つしかないが、各楽章がそれぞれ2部ずつに分かれているので、実質的には4つの楽章からできていると考えてよい。こうした構成法は、翌年書かれた大作「交響曲第3番」で、大きく花開くのである。
出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P210より引用
サン=サーンスは10曲の協奏曲を書き残していますが、そのうち半分がピアノ協奏曲でした。中でも、演奏会で取り上げられることが多いのがピアノ協奏曲第4番です。解説にありますが、有名なサン=サーンスの「交響曲第3番」で用いられる「循環形式」がピアノ協奏曲第4番でも採用されています。
主題が変容を加えながら循環していく形をとっており、ピアノ協奏曲第4番の大きな特徴になっています。構造としては2楽章形式の協奏曲ですが、ひとつの楽章は2部構成になっています。交響曲的な壮大で重厚な要素を含んでおりながら、ピアノに対して高い技巧が要求される聴き応え十分な曲になっています。
作曲家のフォーレは、2台ピアノ用に編曲を行いました。
初演:1875年パリのシャトレー座演奏会にて
ピアノ:サン=サーンス自身
指揮:エドゥアール・コロンヌ
コロンヌ管弦楽団
編成:
ピアノ独奏
弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×2、トランペット×2、トロンボーン×3、ティンパニ
【各楽章を解説】

第1楽章
第1部 アレグロ・モデラート
第1楽章から変奏曲を採用していること自体がすでに個性的です。弦楽器が、ほんの少し憂いを帯びた旋律を歌うとピアノが続きます。この循環主題(A)が基となって第1変奏のチェロが現れ、他の弦楽器が支えます。第2変奏はチェロに変わって管楽器が中心となって曲を導きます。
第2部 アンダンテ
通常の場合における緩徐楽章に当たる部分になります。弦から始まりピアノが絡む経過句の後、そっと流れに乗るように木管楽器が柔らかく美しい旋律を歌い始めます。これが循環主題(B)となります。しかし間もなく、ピアノが循環主題(C)を響かせます。
物語の登場人物たちが、感情のゆらめきを次々と重ねるような印象であり、さまざまな彩りを音楽に加えていきます。通常の緩徐楽章のように穏やかな曲調のまま第1楽章は終わります。
第2楽章
第1部 アレグロ・ヴィヴァーチェ
通常ではスケルツォ楽章の役割を持つ部分になります。循環主題(B)をメインにしながら循環主題(A)を絡ませています。舞曲的な要素を持ちながらユーモラスに展開するエネルギッシュな部分です。
第2部 アンダンテ:アレグロ
ゆったりとアンダンテで曲が歌われた後、音楽は力を帯びます。第1主題は、循環主題(A)を土台にしたものですが、サン=サーンスの自由な発想で構築された実に華やかな音楽が展開されます。
循環主題(B)が形を変えてヴィルトゥオーゾ的にグイグイとピアノは歌い込みます。管弦楽も混じり合って支え合いながら、大きな盛り上がりを聴かせます。サン=サーンスらしく、目をみはるような華やかさと勢いのあるフィナーレです。
【名盤3選の感想と解説】

パスカル・ロジェ:ピアノ
シャルル・デュトワ:指揮
フィルハーモニア管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
漂う香りと味わい深さがありながら、ここぞというところではしっかりパワフルに響く名盤です。ロジェの弾くピアノの典雅な趣きと、管弦楽を彩り豊かに歌わせることに長けたデュトワの指揮が曲を盛りたてています。
繊細なニュアンスをロマンティシズムたっぷりに鳴らしたかと思うと、力強さも聴かせます。循環の中に変奏を加えたピアノ協奏曲第4番の変幻自在さをどこまでも自由でおおらかに表現しきっています。色彩豊かに高らかに鳴るサン=サーンスピアノ協奏曲第4番の名盤です。
ジャン=フィリップ・コラール:ピアノ
アンドレ・プレヴィン:指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
コラールのピアノが豪華なタッチですが決してうるさい感じにはなりません。プレヴィン&ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が支えながらバランスの良い名盤になっています。とても品位が感じられる演奏で聴いていて飽きることがありません。
ラストの盛り上がりで一気にエネルギーを開放しているような印象で聴いた後の感動が大きいです。設計されていながら何かを狙った時の嫌味はまるでなく気持ちよく聴ける名盤ともいえそうです。
フィリップ・アントルモン:ピアノ
ユージン・オーマンディ:指揮
フィラデルフィア管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★☆☆
【名盤の解説】
アントルモンの、粒立つ繊細なピアノをオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の安定感のある主張強いバックが支えます。ピアノと管弦楽との歌が対等であり、協奏曲というよりは交響曲に近い印象かもしれません。
しかし、ピアノも管弦楽もお互いに譲るといった弱さはありません。いい意味で両方の主張がつよくパワフルな名盤といえます。フランス的なたおやかさからは離れますがダイナミックに聴きたいときにイチ推しの名盤です。
【まとめ】

サン=サーンスのピアノ協奏曲第4番の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
めぐりめぐる…
魔法のように
めくるめく協奏曲!
「循環形式」をピアノ協奏曲に採用した珍しくも個性的なサン=サーンスピアノ協奏曲第4番。名曲なだけに名盤がとても多いので、めまいがしそうなくらいですね。作曲当時は新しく、今持って新しいといえます。
ぜひ、一度、聴いてみてくださいね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の醍醐味ですよね』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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