アルパカと聴く幸福なクラシック

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シェーンベルク:浄められた夜【詩の感想と2枚の名盤解説】罪と許しの耽美(たんび)な音楽

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ひんやりと

冷たく宿る…

透明な思いやり♫

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今回は、「罪とゆるしの耽美(たんび)な1曲」シェーンベルク《浄められた夜》解説とおすすめ名盤を紹介です。 

【解説】シェーンベルク《浄められた夜》

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曲の解説

シェーンベルク《浄められた夜》のこんな解説があります。  

フランスでドビュッシーが頭角をあらわしてきた時代には、ウィーンシェーンベルクがでて、個性的な新しい音楽の様式を示した。そして、やがては、調性を否定した十二音音楽に到達するのである。しかし、このシェーンベルクも、最初は新ロマン主義的な作品を書いて登場した。初期の傑作「浄夜(浄められた夜)」もそうした傾向の作品である。

(中略)

ワーグナーの「トリスタン」やブラームスの作品からの影響を強く示すものであり(中略)微妙で多様な色彩的変化をおき、美しい雰囲気をかもしだす。

出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」P156より引用

シェーンベルク《浄められた夜》はドイツの詩人リヒャルト・デーメルの1869年に出版された詩集《女と世界》に収録されている一篇の詩をもとに作曲されています。

そして1899年の作曲から後、シェーンベルク自身の手によって編曲、改訂がされています。

つまり、

  • 1899年に弦楽六重奏曲版を作曲
  • 1917年には弦楽の合奏用に編曲
  • 1942年には弦楽の合奏用を改訂

という流れです。

 

弦楽六重奏曲版のささやくような妖(あや)しさと、合奏版のより深く感情が表出されたドラマ性。

どちらの版もそれぞれの魅力が閉じ込められており、それを静かに…こっそりと開き見る…、

 

いや…開き…「聴く」…かな…?

 

そんな楽しみを与えてくれる1曲、それがシェーンベルク《浄められた夜》なのですよね…。 

詩(ポエム)のあらすじ

冷え込む夜、暗く深い森にて、月がふたりの男女を照らす中で交わされる会話がそのまま詩(ポエム)となっています。

女は他人の子どもを身ごもっていることを告白します。

しかし、男は

「この清らかな夜の中、この子自身がふたりの愛情によって浄められる。お願いだ、この子を僕の子として産んではくれまいか?

と語ります。

そして、男女はお互いを受け入れ合う…。

そんな内容になっています。 

【詩(ポエム)を解説】シェーンベルク《浄められた夜》

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《浄められた夜》

詩:リヒャルト・デーメル

 

冬の落ち葉の森の中、こごえて2人、歩いてる

月が歩みをともにして、2人は月を見上げてる

 

月は、高い樫の木、上にあり…

さえぎる雲の、ひとつない

 

夜空に向けて、木々に刺したる影があり

女の声が語りだす

 

おなかに宿りし生命(せいめい)は、あなたを引き継ぐものでなく

あなたのそばに、罪を背負って寄りそっています

 

決して小さくはない過ちを、私は犯してしまいました

私に、もはや幸福などはありもしない…

けれども思いは捨てられず…

 

「母の幸福、生きがい」をこの手に感じてみたかった

思い、断ち切る術(すべ)知らず

知らぬ相手に身をまかせ…

今は身震い(ぶるい)おさまらず…

私は生命(せいめい)、さずかった…

これも報い(むくい)と受け止めて…

そして、あなたにめぐり合い…

 

足どり重く、その女…

 

見上げる空に、月は寄りそい歩みゆく…

女の暗いそのひとみ、月のひかりに吸い込まれ…

男の声は語りだす…

 

さずかった子どもは

君の魂にとっての荷物ではない

 

ほら、ごらん、世界はこんなに光を放ってる…

世にある全てのものを包み込む光だ…

 

君は、ぼくとともに冷たい海をさまよっている…

僕は君の思いやりを感じとり…

君も僕のまごころを感じとっている…

その尊い気持ちがおなかの子どもを浄めてくれる…

お願いだ…僕の子として産んではくれまいか…

君は僕の心に光を届け、照らしてくれた

君は僕自身をも、子どもにしてしまったのだよ…

 

男はおなかの子とともに、腰に手をはわし抱きしめる…

2人は静かな息とそよ風をともないキスをする…

2人は底の知れない白い月のもと、深い闇夜を歩みゆく… 

 

【3枚の名盤の感想と解説】シェーンベルク《浄められた夜》

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ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団  

 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

とびぬけて

  • 美しく
  • かぐわしく

ある意味で、

  • 退廃的…

そう、どこか世紀末的なデカダンス(退廃)すらも感じさせるくらいに《浄められた夜》の世界に耽(ふけ)ることのできる名盤です。

しかし、そんな世界の中に投げ出され存在している男女の心の思いは温かさを分け合い交換しあっている。

そんな「救い」をも含み、また音楽全体を包んでいる…。

そんな名盤でもありますね。 

ピエール・ブーレーズ:指揮 ニューヨークフィルハーモニック  

 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ゾクッとする…背筋…。

そんな「ひんやりと冷たい感情と、それを覆う夜の風景」が ありありと描かれている名盤です。

なんとも妖艶(ようえん)な魅力の女と、そうであるがゆえに受け入れてしまう「男の性(さが)の哀しさ」とともに浮かび上がる「静かな悦(よろこ)び…」。

全体的に絶望感すら感じさせる名盤でありながら、後半の男女2人が浄められていく場面の音楽は、前半の救いようの無さ

 

…からの…

 

圧倒的な

  • 美と、
  • 光と、
  • あたたかさ

に、包まれ救われていく男女の姿が見えてきます。

その救いの場面は静かに、おごそかに始まりますが、その曲調を少しずつ…少しずつと上げていきながら

  • 頂点へと
  • 悦びへと
  • 恍惚へと

導いていきます。

そんなちょっぴり、妖(あや)しくも悩ましい系の名盤です。 

ラサール四重奏団 マッキネス(va)ペギス(vc)  

 

 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

合奏版とはガラリと趣きが違っていて、男女の会話の一言一言がくっきりと聴こえてくるような感覚の名盤です。

合奏版は舞台となる「森全体や月の光、そして男女というそぞれの場面」が、時にはズームアップし…時にはズームアウトをするということを繰り返しながら、変幻自在に、そしてダイナミックに聴かせます。

それは、まるで大画面の映画のよう…。

しかし、この弦楽六重奏版は、「町にある小さな舞台で展開する名作演劇」のようです…。

より男女の感情が濃密であり、また身近に描かれているような感覚とでも言えましょうか?

ダイナミックな彩りには届かないものの、どこか不器用と言いますか「セピア色な、あるいはモノトーンな印象の名盤」です。

しかし、だからこそシェーンベルク《浄められた夜》という楽曲の持つ透明感が鮮明に表れているとも言えそうです。

そして、この名盤は、1984年度のレコードアカデミー賞を受賞したという実績もありますね。

 

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【まとめ】シェーンベルク《浄められた夜》

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さて、シェーンベルク《浄められた夜》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

シェーンベルクが描く「詩人デーメルの幻想的な世界」を、さまざまなバージョンで聴いてみると趣(おもむ)きの違いや作品の持つ別の一面が見えてきて楽しいですね。 

シェーンベルク《浄められた夜》を聴いて「心を日常から遊離させて気分転換する」というのもいいものですよ。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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「月の光」と言えばこのピアノ曲ですね。 

こんな癒やしの曲で「日常からの遊離」をはかるのもいいですね。

 

 

 

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