紅(べに)をひけ!彼をつかまえ踊れや踊れ!
賭博しようぜ、酒飲もう!!
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- 【作曲の背景を解説】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
- 【原作が書かれた背景】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
- 【あらすじ(歌)を解説】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
- 【3枚の名盤を聴き比べ】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
- 【解説と名盤、まとめ】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
【作曲の背景を解説】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
躍動感みなぎるオルフ「カルミナ・ブラーナ」の元になったテキスト発見のエピソードを含む、こんな背景がありました。
現代ドイツの作曲家オルフの名を一躍有名にしたのが、この「カルミナ・ブラーナ」である。
この曲は、副題に、「楽器の伴奏をもち、舞台場面によって補われる独唱者のための世俗的舞曲」とあるように、舞台には衣装をつけた歌手と合唱団とが並び、歌の進行につれてその内容をあらわすバレエが踊られる、という一種の舞台形式のカンタータとして書かれている。
オルフがテキストとしたのは、1803年にバイエルンのベネディクト・ボイレン修道院から発見された、12(11の説もあり)〜13世紀ごろの古い歌を集めた写本で、当時の若者の喜びや、怒り、渇望、恋などを歌った歌詞に、オルフ独特のリズムによる曲をつけ、もとのテキストと同じ題で発表したものである。この曲は、執拗なまでに一定のリズムを反復させているのが大きな特色で、素朴な明るさと、力強さとをもった楽しい作品となっている。出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」p369より引用
【原作が書かれた背景】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
「カルミナ・ブラーナ」(ラテン語では「ボイエルンの歌」)の元となる原本(原作)である詩歌集は、ドイツのバイエルンにあるボイエルン修道院の図書室で発見されたという背景があります。
1803年にボイエルン修道院が国有化されることが決まり、図書室の蔵書を整理することになりました。
その調査の過程で見つかったテキストとのことですね。
その「カルミナ・ブラーナ」の内容は、西暦1000年の終わりごろから、1200年の初めごろに、たくさんの聖職者や修行僧、学生などの身分の旅人たちが書き記したものです。
当時の修道院は、旅人たちの宿泊所としても使われていたために、ボイエルン修道院に、こうしたテキストが詩歌集として残ったという背景があるようです。
キリストの教えのなかにも、「旅人をもてなすことの大切さ」が説かれていますので、このような、さまざまな職業を持つ、たくさんの旅人たちのテキストが残ったのでしょうね。
そのテキストである詩歌集に書かれていた内容は、信仰や道徳的なもの、あるいはキリストの降誕祭や復活祭に行われる演劇のこと。
また、まったくもって世俗的な恋、酒、賭博、社会への不満、愚痴などのことまで、自由闊達(かつたつ)に、そしてのびのびと、書かれていたようです。
このテキストが書かれた当時の風俗がうかがえて、興味深いものになっているようですね。
また、当時の修道院自体が、祝日には演劇や、音楽演奏などもされる文化的交流の場にもなっていました。
そんな風習がある当時の町のにぎわいなども想像できて楽しい気分になりますね。
現代人も、1000年近くまえの人たちも、同じような出来ごとで悩み、苦しみ、そして、喜び、また、幸福をかみしめていたことがわかります。
そんな背景をもつ内容のテキスト「カルミナ・ブラーナ」を音楽に昇華したのが作曲者のオルフです。
【あらすじ(歌)を解説】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
この曲は、第1部「初春に」第2部「酒場で」第3部「愛の誘い」という構成になっていて、その前に序曲、最後にエンディングとして、「おお運命の女神よ!」という曲が演奏されます。
この「おお運命の女神よ!」が映画やドラマ、また、さまざまな番組のBGMとして使われて有名な曲です。
それでは、オルフ「カルミナ・ブラーナ」の中でも印象的な歌について、あらすじを紹介したいと思います。
序曲「おお運命の女神よ!」
誰にでも、多かれ少なかれ、人生にドラマはあるものですね。
有名なメロディが合唱のかたちをとって、そのドラマが歌いこめられていきます。
そのあらすじは以下のとおりです。
- 人生に、確かなものなどあるわけない
運命にほんろうされて、貧しさも権力も
氷のごとく溶けて消える。
むなしき運命よ、あなたはまるで、回る車輪
すこやかなものをうち砕き、姿を見せず悩ませる
わたしはあなたのいたずらに身をゆだね
すこやかなる恩恵もたくましい力をも、わたしから奪い、苦しめる
わたしたちはいつもうれいと恐れにさいなまれる
さあ、運命の車輪にふみつぶされたものも
運をつかみとった幸運なる者も、振り落とされた者も、
弦を鳴らせ、強き者をも打ち倒す運命の一撃に、
わたしとともに泣き叫ぼう!
第1部「初春に」
- ー見よ、今や楽しいー
今や、溶けては消える
あられ、雪、その他もろもろ
われわれもヴィーナスの命ずるまま
誇り高く
喜ぼう! - ーわたしに紅をくださいなー
お店のおじさん、
わたしに紅をくださいな
愛しい彼をゲットするには必要よ!
恋はこころに勇気を与え
恋するものに高貴な誇りをあたえたまう - ー円舞曲(えんぶきょく)ー
彼女らはおどる
輪になって
彼女らはみんな乙女なのだ!
第2部「居酒屋にて」
- ーむかしは湖に住まっていた(あぶられる白鳥の歌)ー
むかし、私は湖に住んでいた
むかし、私は美しかった
私が白鳥だったころは…
あわれな私よ!
今は黒く
はげしくあぶられる
焼串は回る
回るよ、回るはげしく燃えて、あぶられて
ああ、今、給仕が近づいてくる - ーわれら酒屋にあってはー
賭けをする者、酒にひたる者
両方やる者
その中にゃ、着物、とられて裸の者
金のつまった袋にかこまれる者、
さまざまさ
そこでは誰も恐れない
バッカスの神(酒の神)に身をゆだね
主婦も主人も兵隊も、
下男も女中もまぬけも賢者も若者も老人も
100人も飲む、1000人も飲む
愉快に飲めるだけ飲むだけさ
第3部「愛への誘い」
- ーゆれ動くこころー
わたしのこころは、はかりのように、ゆれ動く
気ままな恋と、つつしみが…
でも、わたしは欲しい方を選びたいの
かくも甘い思いのために
道徳のくびきがあるとしても - ー楽しい季節ー
楽しい季節だ
おお乙女たちよ
さあ楽しむがよいぞ
若者よ
おお、わたしの全身は燃える
乙女への恋のために焦がれて焦げる
新しい、まったくもって新しい恋なのだ
わたしのこころを焦がすのは
おいで、恋人よ
喜びいさんで
おいで、わたしの可愛いひと
もうわたしは死にそうだ
【3枚の名盤を聴き比べ】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
では、たくさんの個性がはじける様を描いたオルフ「カルミナ・ブラーナ」の個性はじけるアルバムの聴き比べをしてみましょう。
オイゲン・ヨッフム:指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
オルフ「カルミナ・ブラーナ」の若さと勢い、そして、それゆえの不器用さまでが表現されているようで、興味深い1枚です。
始まりの「おお運命の女神よ!」からして、若さゆえに運命の翻弄される者たちの深い悲哀が感じられますし、全編、なんとも元気が良い。
ちょうど徒競走(ときょうそう)で無邪気に子どもが駆け出して、あまりの勢いにつんのめりそうになりながら、ギリギリ寸前のところで持ち直しながら、それでも走る。
そんな背景を想像してしまいます。
その危なっかしい感じを保ちながら、「運動会で、我が子がトラックを駆け抜けるのを手に汗握って応援してしまいそうな演奏とも言えます。
しかし、危なっかしくもありながら、指揮者や演奏者が夢のようなチームを組んでいるので、普通ではありえないくらいの絶妙なバランスを持って音楽が運びます。
つまり、指揮者のオイゲン・ヨッフム、ソプラノのグンドゥラ・ヤノヴィッツ、テノールのゲルハルト・シュトルツェ、そして、バリトンのフィッシャー=ディースカウという「超」のつく名人たちがその光彩を放つのです。
そんな「つんのめりそうで、つんのめらない『絶妙バランスの名盤』」です。
小澤征爾:指揮 ベルリン・ベルリンフィルハモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
とにかく若々しい!
全体的にテンポよく音楽が進みます。
この歌の「詩歌集」が書かれたころの、背景や青春を謳歌するフレッシュな感情をもつ若者たちを想像すると楽しくなります。
酒や賭博をやっちゃうことも、なんだか罪悪感が取り去られていて、楽天的で面白いですね。
アンドレ・プレヴィン:指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
全体としては整然として、美しい。
柔らかい音のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とプレヴィンの楽団を活かしたドライヴが最高度に調和しています。
きれいな「カルミナ・ブラーナ」に仕上がってますね。
恋する若者たちの純粋な思いを想像するのは楽しいものです。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】オルフ「カルミナ・ブラーナ」
さて、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、名盤の聴き比べと解説はいかがでしたか?
オルフ「カルミナ・ブラーナ」の背景を想像しながら聴くと数段面白く聴けますね♬
どうも、引きこもりがちで、リア充からもかけ離れている毎日。
それならせめて、音楽の世界に引きこもっちゃうのもありかも…。
たくさんの個性あふれる人たちに出会えるはずですよ〜。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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